カナダ「Driving」によるヒュンダイ・パリセードの試乗レポートを日本語で紹介します。


Palisade

つい最近までは小型車を欲しがる人も多かったはずだ。ところが今や大きい車が好まれるようになり、多くのメーカーが3列シートSUVの開発に力を入れるようになってきた。

ヒュンダイ最新の3列シートSUV「パリセード」は、廃止されたサンタフェのロングホイールベースモデル「サンタフェXL」の後継車として登場した。パリセードはサンタフェXLよりも全長、全幅、全高すべてが巨大化しており、3列の席も荷室もそれぞれ広くなっている。ただし、ボディサイズは大きいながらも、走りは素早く軽やかで、まるで半分のサイズの車に乗っているかのようにすら感じる。

パリセードはサンタフェのバリエーションのひとつではない。まったく別のモデルで、完全新設計のプラットフォームを使っており、製造はグローバル仕様も韓国で行われる。ヒュンダイの姉妹企業のキアも同じ骨格を使った3列シートSUV「テルライド」を発売予定だ。

今回は2日間にわたってパリセードに試乗した。公道だけでなく、瑞山市にあるヒュンダイのテストコースでの試乗も行った。ただし、今回試乗したのは2.2Lのディーゼルエンジン搭載車で、このモデルは韓国をはじめグローバルで展開される予定なのだが、カナダやアメリカでは発売されない。

北米市場には最高出力295PS、最大トルク36.2kgf·mを発揮する3.8L V6エンジンおよび8速AT搭載車のみが投入される。試乗車は4WDで、その点ではカナダ市場に合った仕様だった。現時点ではカナダに2WDが投入されるか分からないのだが、いずれにしても2WDはエントリーグレードでしか選択できないだろう。

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試乗車はどう見ても上級グレードで、シートヒーターおよびベンチレーターが1列目だけでなく2列目(試乗車はキャプテンシート仕様だったが、ベンチシート仕様の8人乗りも設定される)にも装備されており、ヘッドアップディスプレイやパノラミックサンルーフも装備されていた。

走行モードを変えるダイヤルもあり、ソフトなコンフォートモード、硬めのスポーツモード、そして他にエコモードや各モードを運転状況に応じて自動的に変更するスマートモードが用意されていた。また、4WDシステムのモード設定もあり、スノーモードなど路面状況によって設定を変更することができる。普通のドライバーはせいぜい砂利道くらいしか悪路など走らないのだろうが、山の中の泥道でも問題なく走ることができた。

砂浜での高速走行もテストしてみたのだが、特に問題は感じなかった。当然、パリセードにも限界はあるし、深い砂で悪戦苦闘している他のテスト車もいた。要するに、走破性について全面的に信頼することはできない。ただ、ちゃんとしたタイヤを履いていれば、カナダの冬で苦労することもないだろう。

インテリアはデザインも質感も良く、特に木目パネル(メタリックも選択できる)や中央のディスプレイは気に入った。ギアセレクターは電子式で、トランスミッションとは物理的に繋がっておらず、おかげでセンターコンソール内には広大な収納スペースが確保されている。個人的にボタン式のギア選択は好きではないし、実際変速時にはボタンを注視しなければならない。

変速以外の操作はシンプルで直感的なのだが、ボタンに書かれた青くて小さな文字は日光の下だと読みづらいかもしれない。エアコンの操作ボタンはプラスチック製でやや質感が低いのだが、少なくともボタンの文字は読みやすい。インフォテインメントシステムはタッチパネルも使えるのだが、ちゃんとボリューム調節用の物理ダイヤルも付いており、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。

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パリセードは巨大なのだが、室内は見た目以上に広大だ。2列目はかなり広いのだが、3列目も大人が(少なくとも短時間なら)座るのに不足はない。クッションはフラットなのだが、レッグルームは広く、膝が前に当たってしまうこともない。

ガソリンエンジンについてはまだ分からないのだが、少なくとも操作性は良かった。ステアリングには十分なフィードバックがあり、応答性も良いのでこのサイズの車からは想像できないような敏捷性を感じる。ソウルの道は決して舗装が良いとは言い難いのだが、乗り心地や静粛性も良好だった。

ヒュンダイ自身、3列シートSUVへの参入が遅かったことは認めている。フォルクスワーゲン・アトラススバル・アセントなどの新規車種もパリセードよりは登場が早かったし、フォード・エクスプローラー日産 パスファインダーなど、長い歴史を持つライバルも多い。

価格は発売日直前くらいに発表されるのだろうが、ここがまた難しいところだ。しかし、ヒュンダイといえば昔からコストパフォーマンスが高い。パリセードも十分に安価であれば、きっと新しい波を起こしてくれることだろう。