米国「TRUCK TREND」によるフォード F-150(2018年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


F-150

F-150はアメリカで40年間にわたってピックアップトラックのベストセラーであり続け、また35年間にわたって最も売れている車の座を守り続けている。そんなF-150の最新モデルは2014年に登場しており、フォードは人気に甘んじて手を抜くこともなく、2018年モデルでは大きな改良を施している。

2017年は1917年に誕生したモデルTTから数えてピックアップトラック100周年の年であり、また同時にFシリーズの誕生から70周年の節目の年でもある。そんな年に行われたマイナーチェンジでは「向上心を忘れずに革新を続けること」がテーマとなっているそうだ。

新型F-150には新設計エンジンや10速ATが設定され、リア部分の強化によって最大牽引重量がクラス最高の5,990kgまで増加し、最大積載量はやはりクラス最大の1,480kgとなっている。新型では4種類の新設計ホイールや4種の新インテリア、5種類のエンジン、2種類のATをそれぞれ好みに応じて選ぶことができる。

新型F-150を見てまず気付くのは新しい2本横桟フロントグリルやコの字型のヘッドランプにより強調される大胆なエクステリアデザインだ。立体的なノーズや巨大なタイヤを見れば、圧倒的なパワーや荒々しさが予感される。リアについても、テールランプやテールゲートのデザインが変更されている。

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ベースグレードに搭載されるのは294PS/36.6kgf·mの3.3L V6エンジンで、他に330PS/55.3kgf·mの第2世代2.7L EcoBoost V6エンジン、直噴化などの大幅改良を受けた400PS/55.3kgf·mの5.0L V8エンジン、380PS/65.0kgf·mの第2世代3.5L EcoBoost V6エンジンが設定される。また、3.5L EcoBoostの高出力版が「ラプター」に搭載され、こちらは最高出力456PS、最大トルク70.5kgf·mとなる。

3.3Lを除く全エンジンにフォードの「SelectShift」10速ATが組み合わせられ、ベースの3.3Lエンジンには6速ATが組み合わせられる。また、新型F-150はピックアップトラックとしては初めて、全車にアイドリングストップが標準装備されている。また、2018年春には3.0L V6ターボディーゼルエンジンも追加される。

今回は2.7Lおよび3.5LのEcoBoostエンジン搭載車に試乗した。この2種類がF-150の売り上げの65%を占める。滑らかな10速ATのおかげでどんな状況でも十分な出力・トルクが発揮される。この新設計ATは常に適切なギアを選び、必要に応じて段をスキップすることもある。

ステアリングはリニアで、ブレーキも滑らかで速度の調節がしやすかった。今回はオンロードだけでなくオフロードも走行したのだが、F-150は走破性も高く、滑りやすい路面でもトラクションをしっかりと確保してくれた。タイトな森の中では360度カメラの有り難みも実感した。

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ストップ&ゴー対応のアダプティブクルーズコントロールはこのセグメント初の採用であり、競合車にはない装備となる。フォードによると、このシステムはトラック向けに開発されたもので、牽引時にも使用することができるそうだ。他に、ブラインドスポットモニターや360度カメラ、車線維持システムなどの先進安全装備も設定される。

40年間にわたってピックアップトラックの先頭を走るフォードは保守的になってもおかしくない立ち位置にいる。しかしフォードは新型F-150に新技術を惜しみなく投入し、ピックアップトラックをより便利で扱いやすい道具へと変貌させた。エンジンのパフォーマンスや牽引重量、積載重量を考慮すれば、新型F-150も間違いなく売れることだろう。