インド「Evo」によるタタ・ハリアーの試乗レポートを日本語で紹介します。
オートエキスポ2018で「H5Xコンセプト」として発表された新型ハリアーは、今年インドで最も期待の大きかったSUVだろう。マヒンドラのXUV500や大成功を収めているヒュンダイ・クレタ、それにジープ・コンパスなど、競合車は数知れない。果たして、そんな戦場に挑んでいくことになる新型ハリアーはタタの新章を飾ることができるのだろうか。
ジョードプルでハリアーのメディア向け試乗会が開催される数週間前、タタでデザイン統括を務めるプラタップ・ボーズ氏と話す機会があった。その際、彼はプラットフォームの重要性について語った。
ハリアーが採用するOMEGARCプラットフォームはランドローバーのD8プラットフォームがベースとなっており、これはデザイナーにとっても理想的なプラットフォームだそうだ。プラットフォーム自体のプロポーションが良いので上に被せるボディデザインに難儀することもないし、それどころか魅力的なデザインが作りやすく、設計作業を楽しむことさえできたそうだ。
彼の言っていたことは決して嘘ではなく、事実、ハリアーはかなりスタイリッシュに仕上がっている。中性的で攻撃性も秘めているのだが、同時に高級感も兼ね備えている。適度に筋肉質で、派手すぎるわけでもない。
一方でフロントフェイスは大胆で目を引く。タタの新しいデザインの方向性は慣れるまでに時間がかかりそうなのだが、しかし慣れてしまえばきっとかなり魅力的に映ることだろう。
ボディサイズは価格的に競合するであろうコンパスやクレタよりも全幅・全長ともに大きく、個性的なデザインも考慮に入れれば、間違いなく道路でも大きな存在感を放つことだろう。
室内空間の広さもハリアーの魅力だ。ひょっとしたらクラス最大級かもしれない。もっとも、タタの車はどれも室内が広いので、ハリアーもそのDNAを受け継いでいるだけなのかもしれない。私の身長は180cm超なのだが、リアシートのニールームやヘッドルーム、ショルダールームは十分に感じられた。しかも、荷室も犠牲になっておらず、荷室容量は425Lも確保されている。
インテリアの質感の高さも魅力だ。木目とメッキおよびピアノブラックのアクセントの組み合わせは高級感があって見た目も良い。ダッシュボード中央から突き出た8.8インチのタッチスクリーンや航空機のレバーのようなサイドブレーキも高級感があって良い。ただし、このサイドブレーキのせいで実用性はわずかに犠牲になっている。
メーター内の7インチディスプレイはなかなか独創的で慣れるのには時間がかかりそうだ。シートも良く、それなりに快適ではあるのだが、太腿部分のサポート性には課題が残る。もう少し座面を改善するともっと良くなるだろう。
全体的に質感は高いのだが、ちゃちなルームミラーには場違い感があり、自動防眩機能が無い点にも疑問が残る。それに、フットレストも小さすぎるし、Apple CarPlayには対応していない。タタによると、今後追加予定らしいのだが、このクラスの車であれば最初から用意しておくべきだろう。
ハリアーには「Kryotec」と呼ばれる2.0Lの4気筒ターボディーゼルエンジンが搭載される。これはコンパスと共通のフィアット製エンジンで、最高出力140PS/3,750rpm、最大トルク35.7kgf·m/1,750-2,500rpmを発揮する。カタログスペックを見ても分かる通り、このエンジンは低~中回転域で本領を発揮し、特性はリニアだ。ジョードプルからキムザーまで高速を走ったのだが、クルージングは落ち着いていた。低回転域で力強いのでジョードプルの狂気的な渋滞でも非常に扱いやすかった。
現時点では6速MTのみの設定となり、4WDモデルやATモデルは後に追加予定となっている。シフトレバーの横にはノーマル、ウェット、悪路と走行モードを変えるダイヤルが付いているのだが、誤解を招きかねない。これはあくまでESPのセッティングを変えるスイッチで、このスイッチをいじったところで走破性が大幅に向上するわけではない。要するに、ハリアーは決してオフロードカーではない。一方で、エコ、シティ、スポーツの3種類のエンジンモードに関しては応答性に違いがはっきりと出ており、個人的にはスポーツモードを気に入った。
運転したラージャスターンは直線道路ばかりであまりハンドリングを試すことはできなかったのだが、少なくとも油圧式パワーステアリングは操作するのが心地良かった。ステアリングは正確でフィードバックも適度にあり、油圧式パワステにありがちな重さも感じなかった。
乗り心地の良さにも驚かされた。ハリアーの乗り心地はかなり良く、これまでのタタ車とはまったく別次元の乗り心地を実現している。
現時点ではまだ価格が発表されていないので、完全な評価を下すことはできない。予想としては、エントリーグレードが130万ルピー、最上級グレードが180万ルピー程度になるだろう。この価格はクレタとコンパスのちょうど間くらいだ。ただし、これはあくまでも予想でしかない。
現時点ではっきりしているのは、新型ハリアーの完成度がかなり高いということだ。走りも良いし、装備も充実しているし、室内空間も広いし、見た目も他とは違う良さがある。価格設定さえまともであれば、きっと圧倒的な競争力を持つことだろう。
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