英国「Auto Express」によるNIO ES8の試乗レポートを日本語で紹介します。


ES8

NIOは9月にニューヨーク証券取引所に上場して大ニュースとなった。中国に数多ある新エネルギー車ベンチャーの中でもNIOはテスラに対抗する企業であり、中国ベンチャーらしく歴史はないながらも、フォーミュラEへの参戦によってその存在感を放っている。

NIOはまずハイパーカー「EP9」を登場させた。この車はニュルブルクリンクのノルドシュライフェにおいて市販車最速記録を達成した。そして次にNIOが生み出したのはずっと現実的な7人乗りSUVのES8だ。

現在は中国でしか購入できないES8はテスラ・モデルXよりやや全長の短い完全電動SUVだ。デザインはドイツで行われたのだが、そのプロポーションは十分に未来的だ。現状、NIOに欧州市場進出の計画はないのだが、企業規模などを考慮すれば今後数年以内にヨーロッパに進出してくることも考えられる。

フロントにはNIOが言うところの「Xバー」グリルが装着されており、リアには「ハートビート」テールランプが備わる。ボディサイズは巨大で、全長5,022mm、全幅1,962mmもあるのだが、空力性能は高く、Cd値はわずか0.29だ。

rear

357kmという航続距離(NEDC基準)は高価なテスラと比べると見劣りするのだが、NIOには交換式のバッテリーが装備されており、わずか3分で交換作業を終えることができる。急速充電だと1時間未満でバッテリーを80%まで充電でき、90分で満充電できる。家庭用のコンセントで充電すると満充電に10時間かかってしまう。中国市場ではバッテリーを購入せずにレンタルするという選択肢もある。

2個の電気モーターにより四輪が駆動するので、ある程度の走破性もある。地上高も高いため、最大水深400mmまでなら渡ることができる。アダプティブエアサスペンションのおかげで、21インチホイールを履いていたにもかかわらず基本的に乗り心地は良好だった。高速域ではスタビリティ向上のために地上高が下がり、駐車時には重い荷物の積み下ろしができるようにさらに低く下がる。

圧倒的な出力およびトルクのおかげで、パフォーマンスはスポーツカー級だ。変速機が存在しないので、センターコンソールのシンプルなスイッチでドライブとリバースを切り替え、横のボタンを押してパーキングにする。アクセルを踏み込まなければ性能の高さも忘れてしまう。低速域に歩行者に注意を促すUFOのような音が出ることを例外として、基本的に走りはかなり穏やかだ。

ステアリングは初期応答が軽めなのだが、全体的なバランスは大半の中国車よりずっと優れており、欧州車の水準にも近付いている。一部のEVのように回生ブレーキの段階を調整することはできず、回生ブレーキはかなり強めだ。アクセルから足を離すとすぐに10km/h未満まで減速してしまうので、街中でブレーキを使う機会はめったにない。

Seats

NIOはAppleの業態を手本にしており、製造は江淮汽車に委託して専用の工場で作られている。質感は見たところ高そうで、外装パネルのチリも合っているし、内装には上質な素材が使われている。ダッシュボードやドアパネルにもナッパレザーが使われていた。

NIOはグローブボックスを無くし、代わりに助手席にオットマンを装備している。おかげで助手席のレッグルームはかなり広大だ。パワーシートはモデルX以上に後ろまでスライドし、リアシートに座る子供の世話もしやすそうだ。

一般的な3列シートSUVとは異なり、ES8の場合、ヘッドルームは限られているものの、3列目まで大人が座ることができる。3列目シートは荷室のレバーを操作することで簡単にフルフラットに倒すことができ、荷室を広げることができる。

マッサージシートやオートエアコンなどの機能はAIアシスタント「NOMI」を用いて音声操作することもできる。NOMIはダッシュボードの上部に鎮座しており、乗員の方を向くようにくるくる回る。ただし現状NOMIが理解できるのは中国語だけだ。応答性はそれほど良くはなく、聞き取りやすいようにはっきりと言う必要がある。

interior

ES8の最大の問題点は、多くのソフトウェアが未完成であるという点だ。自動運転機能や360度カメラ機能は今後アップデートにより追加される予定だ。ハードウェア自体はしっかり用意されているのだが、まだ開発が追いついていない状態だ。