英国「Auto Express」によるランチア・イプシロンの試乗レポートを日本語で紹介します。
イプシロンは1996年から欧州市場でランチアブランドで販売されており、年間販売台数85,000台を記録したこともある。そして、イギリスに上陸するイプシロンはクライスラーのバッジを装着する。今回はイギリス仕様車ではなく、ランチアのバッジが付いたモデルに試乗し、イギリスで通用する車なのかを試してみることにした。
クライスラーもランチアもフィアットの傘下のブランドであり、イプシロンは500のプラットフォームをわずかに延長して使っている。500のようなレトロ的魅力はないのだが、イプシロンも他の車にはない個性があり、それはイプシロンの長所とも言える。
ホイールベースが500よりも300mm延長しているので、室内には4人の大人が快適に座ることができるし、荷室容量も245Lと十分に確保されている。また、新型モデルはイプシロンとしては初の5ドアとなっている。
内装の質感はかなり高い。どのグレードもダッシュボードにはソフトな素材が使われており、上級グレードには上質なレザーも使われている。それでも不満を言うなら、インテリアデザインはやや退屈にも感じた。
エンジンは500でもお馴染みのものばかりで、今回試乗したのは0.9L 2気筒ターボのTwinAirエンジン搭載車だ。このモデルのCO2排出量は99g/kmで、カタログ燃費は23.8km/Lとなる。他に1.2Lガソリンエンジンと1.3Lディーゼルエンジンも設定されるのだが、いずれもCO2排出量は100g/kmを切る。
TwinAirエンジンは音も元気が良く、85PSという出力も街中を走り回るには十分だった。ただし、経済性はあまり高くない。燃費計の表示によると試乗時の平均燃費はわずか12.4km/Lで、カタログ燃費のほぼ半分の数字だった。同じルートを走行した場合、1.2Lガソリンエンジンのほうが燃費は良かった。
舗装の悪い道やコーナーでの挙動は500とほとんど同様だった。乗り心地は基本的に普通の道では快適なのだが、大き目の段差の衝撃は室内までしっかり伝わってしまう。コーナーでのロールは多めで、ステアリングはダイレクト感に欠ける。
実質的に、イプシロンはより実用的でより安価なフィアット・500だ。リアドアは上手く隠されているのでデザインは犠牲になっていないし、小排気量エンジンや軽いステアリングは街中を走るのにはぴったりだ。乗り心地は完璧とは言えないし、エクステリアに比べるとインテリアのデザインは見劣りするのだが、この車にはたくさんの魅力がある。
auto2014
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