英国「Auto Express」によるジープ・コンパスの試乗レポートを日本語で紹介します。
ヨーロッパにおいてSUVはオフロードではなくオンロードを走ることがほとんどで、本格SUVのイメージの強いジープは欧州市場では左翼的な選択肢だ。それでもジープは欧州市場に新型コンパスを投入する。今回はイギリス国内で新型コンパスを試した。
コンパスの全長は4.4mで、このクラスのSUVはかなり競争が激しい。日産・キャシュカイをはじめ、シュコダ・カロック、プジョー・3008、フォルクスワーゲン・ティグアンなどが主な競合車となる。
競合車同様、コンパスにもさまざまなバリエーションが設定される。FFモデルは120PSの1.6L MultiJetディーゼルエンジンおよび140PSの1.4L MultiAirガソリンターボエンジンが設定され、全車6速MTとなる。MTの4WDが欲しい場合、140PSの2.0Lディーゼルエンジンしか選択できない。9速ATの4WDモデルは170PSの2.0Lディーゼルと170PSの1.4Lガソリンターボが設定される。
グレードは4種類設定され、エントリーグレードの「Sport」には16インチアルミホール、エアコン、クルーズコントロール、本革ステアリング、前方衝突警報が標準装備される。その上の「Longitude」には17インチアルミホイール、フロントフォグランプ、リアカメラ、8.4インチディスプレイ(Apple CarPlay, Android Auto対応)、デュアルゾーンオートエアコン、キーレスエントリーシステムが装備される。
さらに上の「Limited」にはさらに大径の18インチホイールやシートヒーター付き電動レザーシート、ステアリングヒーター、雨滴感知式ワイパー、ブラインドスポットディテクション、パーキングアシスタンス(縦列・垂直駐車対応)が装備される。
最上級グレードの「Trailhawk」はオフロード走行を重視したパッケージとなっている。このグレードは9速ATの4WD車のみ選択でき、ハロゲンプロジェクターヘッドランプ、専用リアバンパー、専用フロアマットなどが装備され、地上高も標準車より高くなる。このグレードではホイールが17インチまで下がり、ヒルディセントコントロールも装備される。
今回は2.0Lディーゼルエンジンを搭載するMTの4WDモデル「Limited」に試乗した。価格は31,495ポンドと一見高いようにも感じるのだが、4WDであることは留意してほしい。キャシュカイの場合、1.6Lディーゼルの4WDモデルが30,730ポンドだ。つまり、少なくとも価格的にはコンパスにも十分に競争力はありそうだ。
残念ながら、走行性能についてはそれほど競争力があるわけではない。エンジン始動時には古臭い振動を感じ、間違いなくディーゼルであるということを改めて実感する。エンジンが温まれば静かになるのだが、ストップ&スタートの連続する街中ではディーゼルらしさを何度も感じることになる。
MultiJetエンジンは最大トルク35.7kgf·mをわずか1,750rpmから発揮してくれるのだが、この排気量のディーゼルエンジンとしてはパワーバンドが狭いように感じた。最高出力は3,750rpmで発揮されるらしいのだが、そこに至るずっと前に息切れを感じてしまう。基本的には2,500rpm程度でシフトアップすることになるだろう。とはいえ、少なくとも変速は十分に滑らかなので頻繁な変速をしても問題なく運転することができる。
高速での定速巡航時は快適性も高いのだが、そこに至るまでにシャシの限界が見えてしまう。サスペンションはソフトでコーナーではかなりのロールを呈する。ステアリングはアシスト過剰気味で、慎重に操作しなければならない。
乗り心地が良いならこの程度の代償も気にならないのだが、コンパスはちょっとした路面の段差にも揺すられてしまう。特に橋の継ぎ目や道路の浅い凹みには弱い。総合すると、この車の乗り心地はイギリスの道路では厳しい。キャシュカイのような快適性もなければ、セアト・アテカのような操作性があるわけでもない。
インテリアに関しては、ソフトな素材が適切な場所に使われていて質感は高いのだが、デザイン自体はごちゃごちゃしている印象だ。特にセンターコンソールはボタンだらけだ。とはいえ、エアコンの操作系が物理ボタンとして用意されているのは嬉しいところだし、ディスプレイが高い位置に配置されているので、視線移動は少なくて済む。インフォテインメントシステムの応答性もかなり良好だった。
リアシートには身長180cm超の人にも十分なレッグルームがあるのだが、パノラミックサンルーフのせいでヘッドルームは少し物足りない。荷室容量は438Lで、フロアの高さを調節することもできる。荷室容量に関してはキャシュカイを超えてはいるものの、シュコダ・カロックには負けている。
auto2014
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