英国「Auto Express」によるジャガー Sタイプの試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2004年当時のものです。


S-Type

理解するまで時間がかかったのだが、ジャガーもようやく、多様性こそが成功の鍵であるということに気付いた。ジャガーはこれまでの伝統を打ち破り、新しい道を歩むことを決定した。

そうして登場したのがXタイプだ。XタイプにはFFモデルやステーションワゴン、それどころかディーゼルエンジン搭載車まで設定された。この車の登場によって昔からのジャガー信者は不快感を示したのだが、2003年にジャガーは歴代最高の販売台数を記録している。

そして、好調な販売台数をさらに伸ばすため、ジャガーは完全新設計の2.7Lディーゼルエンジンを設定する新型Sタイプを投入する。このツインターボディーゼルエンジンは、ジャガーにとってだけでなく、フォードの高級車部門やPSA(プジョー・シトロエン)にとっても重要となる。このエンジンはフォードとPSAが共同で開発し、次期型ランドローバー・ディスカバリーやプジョー 607の後継車にも搭載される。

最高出力は209PSと十分だし、最大トルク44.4kgf·mはジャガーの4.2L V8にも勝る。6速MTおよび6速ATが組み合わせられ、価格は2.5L V6と3.0L V6の中間となる。

今回は2.7Dスポーツに試乗した。このモデルには標準車よりも強化されたサスペンションが装備される。レトロなデザインは変わっていないのだが、ノーズはより柔和な印象となり、リアに目を向けると、テールランプやトランクリッドのデザインが変更されている。ジャガーいわく荷室は拡大しているそうなのだが、依然としてトランクの狭さはSタイプの弱点で、開口部は狭いし、荷室は浅い。

rear

コールドスタート時にはディーゼルエンジンらしさがしっかりと顔を出す。特に車外からだとガラガラ音は気になる。ただ、遮音がしっかりしているので、室内はかなり静かだ。実際に走り出してみると、応答性はかなり良好だ。発進時はややギクシャクすることもあるのだが、ATだとそれもあまり気にならない。

中回転域のトルクは凄まじく、高速域の静粛性はBMW 530dと同じくらい優れている。高速道路を頻繁に走るなら、このディーゼルの穏やかな性格と圧倒的なトルクはガソリン車より魅力的だし、14km/Lという燃費もまた魅力的だ。

ただ、6速MTはあまり優秀ではない。ストロークが短く、変速も正確なので、スポーティーな感じはあるのだが、クラッチは重いし、低いギアはやたらショートギアードだ。Sクラスの快適性の高さを考えれば、ジャガーの顧客にはATが合っているだろう。ただし、AT車のほうが燃費が悪いので、カンパニーカーとして使う場合、税額が3%上乗せされてしまう。

530dなどの競合車と比べると、シャシにシャープさがあるわけではないのだが、ステアリングは正確で足回りもしなやかだし、スポーツサスペンションが生み出すハンドリングは良好なので、安心して運転することができる。

Sタイプの販売のうち40%以上をディーゼルが占めると想定されており、ジャガーはディーゼルの追加により、欧州市場における市場シェアを2倍にしたいと計画しているようだ。実際、ディーゼルモデルはSタイプの中で最も魅力的と言えるだろう。