インド「NDTV」によるタタ・ティアゴJTPの試乗レポートを日本語で紹介します。
タタ・ティアゴはインドで販売されているハッチバックの中でもかなり魅力的なモデルだ。ティアゴは乗り心地も操作性も良く、装備も充実しており、見た目も良い。それになにより、価格が安い。
とはいえ、ティアゴは決してパフォーマンス重視のモデルではないので、搭載されるエンジンは85PSの自然吸気3気筒エンジンと控えめだ。しかし、新たに登場したタタのパフォーマンスサブブランド”JTP”(ジェイエム・タタ・パフォーマンス)の手により、ティアゴが変身を遂げた。
JTPから登場する最初のモデルが、このティアゴJTPとセダンのティゴールJTPの2台だ。果たして、ティアゴJTPは本物のホットハッチなのだろうか。それとも、見た目を飾り立てただけのスポーティー風ハッチバックでしかないのだろうか。今回はそれを検証してみることにする。
タタ・ティアゴJTPはティアゴを強化したモデルだ。エクステリアでは専用のフロントバンパーが装備され、ホットハッチらしく性能を主張しているように感じた。フロントバンパーは標準車とまったく違うので見分けるのは簡単だ。
フロントグリルをはじめ、黒がアクセントとして使われており、エンブレムと排気管以外でシルバーが使われている部分は存在しない。ブラックアウトされたヘッドランプは新型ティゴールと共通で、ホイールは標準車より大径の15インチアルミホイールが装着される。
ボディサイドには派手すぎないサイドスカートも装備されている。リアバンパーも専用品で、フロントグリル同様の六角形パターンが入っており、ディフューザーも付いている。右側に配置される2本出しの排気管も目を引く。
ただ、ティアゴJTPのエクステリアで最も魅力的なのはバンパーでもディフューザーでも排気管でもなく、ボンネットとフェンダーにあるベントだろう。これらのベントはエンジンを冷却するために特別に設計されており、ターボエンジンを効率的に冷却することができる。
インテリアに関しては標準車と大きくは変わらない。ルーフライニングやピラーなどはブラックになっており、ダッシュボードもブラックで、シートは赤と黒のツートンとなる。シートには魅力的な赤いステッチやJTPのロゴも入っている。本革ステアリングは非常に上質で、シフトノブも本革巻きだ。また、エアコン周りはアクセントとしてボディカラーと同じ色で塗られる。
ただし、ティアゴJTPにはオートエアコンやナビゲーションシステムは装備されず、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応していない。それに、バックカメラが装備されない点も少し残念だ。
それでは本題に移ることにしよう。ティアゴJTPの最大の注目点はバンパーでも大径ホイールでもなく、搭載されるエンジンだ。ティアゴJTPにはJTSV (Jayem Tata Special Vehicles) が設計した1.2Lターボエンジンが搭載される。基本設計はクロスオーバーSUVのネクソンに搭載されるものと同じなのだが、パフォーマンスは向上しており、最高出力114PS、最大トルク15.3kgf·mを発揮する。
エンジンのレッドラインは6,000rpmと低いのだが、0-100km/h加速はわずか10秒でこなし、高回転域でも高い出力・トルクを発揮してくれる。つまり、どんどん回して楽しめる性格だ。
応答性はかなり良好で、過激とさえ表現できる。高いギアや低回転域ではターボラグも発生するのだが、適切に変速し、適切な回転数を使えば、運転するのはかなり楽しい。私にしては珍しく、ついレビューであることを忘れて楽しんでしまった。
5速MTの応答性も良いし、シフトストロークはもう少し短いほうが良いと感じたものの、ベース車が買い物用ハッチバックであることを考えれば仕方ないだろう。排気音が穏やかすぎる点は気になるのだが、ブローオフバルブ音は心地良い。ただ、オプションでもいいので専用のエグゾーストは設定するべきだろう。
エンジンを変えればパフォーマンスを向上するのは難しくないのだが、やはり難しいのはサスペンションのチューニングだ。しかし、ジェイエムのJ・アナンド氏はサスペンション作りの名人だ。ティアゴJTPには強化されたスプリングが装備され、ロール、ハンドリング、快適性を完璧に仕上げている。
JTSVはMRFおよびアポロと共同でタイヤの開発を行い、ハンドリングと制動性能を重視し、専用チューニングのサスペンションに合った専用のタイヤを作り上げている。
では、実際の操作性はどう仕上がっているのだろうか。さすがにポロGTI やミニクーパーSの域までは達していないのだが、インドのハッチバックとしては史上最高の完成度と言えるだろう。ティアゴJTSのハンドリングは本当に優秀だ。
ターンインは正確で、スロットルの微調整によりラインをしっかり修正することもできる。ティアゴJTSはドライバーの意図したラインを正確にトレースしてくれるし、怖さを感じることもない。
それでも欠点を挙げるなら、ステアリングはやや軽すぎるので、慣れるのに少し時間がかかる。ステアリングさえもう少し重くすればこの車はかなり改善するだろう。
ティアゴJTPの価格は639,000インドルピーだ。この価格でティアゴJTPの走りに近付ける車など他には一切存在しない。つまり、ティアゴJTPは唯一無二の車であり、独自の世界を作り上げている。
ティアゴJTPはインドの自動車業界にとって非常に重要な車だ。日常的な移動手段としてではなく、運転を楽しむために車を選ぶ人にも訴求できる車だ。つまり、タタ・ティアゴJTPはインドのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI だ。
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