米国「Car and Driver」によるトヨタ・プリウス(2001年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。
※内容は2001年当時のものです。
トヨタ・プリウスはただ駐車場に停まっているだけで地球を守っているように思える。ずんぐりとした異質なボディは4本の小さなタイヤに支えられており、虫も殺せなさそうに見える。
他の車とは違い、ダッシュボードは大量のボタンや計器類に汚染されてはいない。エンジンはかなり静かで、わずか1Lで19~22kmも走行することができる。窓には無害であることを証明するSULEV (Super Ultra Low-Emission Vehicle) のステッカーが貼られている。ステアリングは羽のように軽く、地面から浮いて走っているのではないかとさえ思わせる。
トヨタはSUVやピックアップトラックも販売しているのだが、シエラクラブなどの環境保護団体はそんなことも忘れてトヨタを称賛している。現実的には、アメリカに現状4,500台程度しかいないプリウスよりもずっと多く、燃費の悪い車を販売しているはずなのだが…。
環境主義者にとって、プリウスやホンダのインサイトは、実用性や価格を犠牲にせずに低公害な車を作ることができるという他ならぬ証拠だ。ただ、この理論が必ずしも正しいとは思えない。今回、約1,500km(ほとんどは一般的な通勤に近い利用方法)にわたって試乗を行ったのだが、その間の平均燃費は14.95km/Lだった。これは1999年2月に試乗した日本仕様車とほとんど変わらない値で、EPA燃費と比べると20%悪化している。
以前に試乗した日産・セントラGXEの平均燃費は12km/Lだったし、トヨタ・エコー(日本名: プラッツ)は14km/Lを記録した。プリウスと比べると、エコーは室内は同等の広さだし、0-100km/h加速は4.2秒も速いし、価格は6,591ドルも安い。もちろん、セントラにもエコーにも、電気モーターや発電機やCVTは搭載されていない。
本来、プリウスは燃費面では他のどんな車も打ち負かさなければならないはずなのだが、今回のテストではそんな期待を裏切られた。なので、トヨタに連絡を取り、何かが間違っていたのではないかと問い合わせた。
トヨタ自動車 北米研究開発センターのデイヴィッド・ハーマンス氏によると、プリウスは冬期に燃費が悪化する傾向にあるそうだ。気温が低くなるとクーラントの温度を保ち、またエアコンを動かすため、エンジンが常時稼働しつづけるそうだ。一方、暖かい日には停車時や電気モーター駆動時にエンジンが停止するようになっている。
今回、我々が試乗したのはミシガン湖が凍てつくような季節だった。つまり、「寒冷地においては燃費が悪化するおそれがあります」という註釈を付けなかったEPAに責任があるのだろう。
日本で試乗した初期型と北米仕様車の実燃費はほとんど変わっていなかったのだが、少なくともEPA燃費は18km/L(シティ)/17km/L(ハイウェイ)から22km/L/19km/Lまで改善している。今回のテストではどちらの値も下回ってしまったのだが、カタログスペック上とはいえ、燃費をさらに改善した点は称賛に値するだろう。
1.5Lエンジンの最高出力は発生回転数を4,000rpmから4,500rpmに上昇させることで、初期型(日本仕様)の58PSから71PSまで向上している。結果、物足りなかった加速性能はわずかながら改善して、0-100km/h加速は14.1秒から13.0秒まで短縮し、0-400m加速は19.7秒(114km/h)から19.2秒(117km/h)まで短縮している。
アクセルを踏み込んだ際のエンジンの応答性も従来より向上しており、高速道路の合流時に感じる不安も緩和されている。回生ブレーキは変わらず敏感で調整するのが難しい。110km/hからの制動距離は55.8mと良好な値を記録したのだが、雪道ではちょっと触れただけですぐにABSが作動してしまう。
ハイブリットシステムを広める意味では意義のある車でしたが。
auto2014
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