英国「Evo」によるルノー・クリオ ルノー・スポール 220 トロフィーの試乗レポートを日本語で紹介します。


Clio 220 Trophy

旧型のクリオ ルノー・スポールと同じように、新しいクリオ ルノー・スポールも進化を遂げた。新しく誕生したクリオ R.S. トロフィーも、きっとこれまでのクリオ R.S. 同様、期待に応えてくれる車になっているはずだ。

クリオ220に搭載される1,618cc 4気筒ターボエンジンは日産・ジュークNISMOに搭載されるエンジンに近く、最高出力は220PSを発揮する。従来のクリオ200と比べると20PS向上しており(ちなみにジュークNISMOより2PS向上している)、最高出力の発生回転数はクリオ200より50rpm高い6,050rpmとなっている。

トルクも向上しており、4速と5速のオーバーブースト機能を使えば、最大トルクが24.5kgf·m/1,750rpmから28.5kgf·m/2,000rpmまで向上する。その結果、0-100km/h加速は従来よりも0.1秒速い6.6秒となり、最高速度も5km/h向上して235km/hとなっている。

賛否両論あった6速DCTは変わらず搭載されるのだが、改良によってレースモードでは変速が50%速くなっているそうだ。

地上高はフロントが20mm、リアが10mm低くなっており、よりアグレッシヴなプロポーションとなっている。ダンパーのチューニングも変更され、リアのスプリングは標準のクリオ200比で40%、200シャシーカップ比で約25%強化されている。ステアリングラックは10%クイックになり、タイヤはミシュラン Pilot Super Sportを履く。

rear

走行モードを選択することもでき、モードに応じてトラクションコントロールやステアリング、トランスミッション、スロットルレスポンスが変化する。変速を最も速く行いたいならレースモードを選ぶ必要があるのだが、このモードだとトラクションコントロールやスタビリティコントロールが完全オフになってしまう。電子制御オンで素早い変速を楽しみたいこともあると思うのだが…。

スプリングレートが強化されたことでハードコアな車になったのではないかと疑う人もいるだろうが、新しいクリオも依然それなりにしなやかだ。クイックになったステアリングのおかげでアジリティの高さを実感できるのだが、ただフィードバック自体はほぼ存在しない。

トランスミッションは特にレースモードでは従来よりずっとまともになっている。GT3のPDKのような毛が逆立つほどの変速を期待してはいけないのだが、最先端のホットハッチに釣り合う変速をしてくれる。

ただ、それなりに攻めないと新型の良さはあまり見えてこない。エンジンは回すほどに魅力を見せるのだが、5,500rpmあたりまで回さないとキャラクターは薄い。

同様に、シャシにも魔法のような魅力があるのだが、普通に運転する限り、その本領は90%の状況ではまったく発揮されない。ただ、その本領が発揮されるとき、フォード・フィエスタSTと同等の操作性や敏捷性を見せ、さらにフィエスタSTを超えるほどのグリップ性能や獰猛さも発揮される。

interior

こういった状況はかなり刺激的で、ルノー・スポールの血を肌で感じることができる。ただ結局こういう状況はかなり稀で、普段はむしろ苛立たしいと感じることのほうが多い。エンジンは普通の走行状況ではかなり退屈で、それに組み合わせられるDCTは優秀ながらも楽しさは感じられない。なので、結局はパドルシフトを使う意義もあまりない。

今回は最大のライバルでもあるフォード・フィエスタSTとともに試乗を行ったのだが、やはり総合力ではどうしてもフィエスタSTには敵わないと結論付けざるをえない。

フィエスタSTにとってのもう一台のライバル(すなわちルノーにとってもライバルになるのだが)はプジョー・208 GTi by プジョースポールだ。名前はやたらと長いのだが、プジョースポールによるチューニングはルノー・スポール同様に見事だ。

併売されるクリオ ルノー・スポール 200は19,130ポンド~という価格設定で、フォードやプジョーもこれと同等だ。そしてよりパワフルなトロフィーの価格は21,780ポンドとなる。

この値段だと、フル装備のフィエスタSTも買えてしまう。とはいえ、ルノーのほうがインテリアの質感は高いし、装備内容も充実しているので、ルノーが割高というわけではない。