英国「Auto Express」によるスズキ・ジムニーの試乗レポートを日本語で紹介します。


Jimny

今日本で新型スズキ・ジムニーを注文しても、来年まで手に入れることはできない。この小型本格SUVはそれほどまでに人気を博している。そしてスズキは、日本国外においても同じくらいの需要を獲得できると考えているそうだ。

その理由は当然、レトロな見た目にある。新型ジムニーは不恰好だった旧型モデルから圧倒的な進化を遂げている。今回のモデルチェンジは20年以上ぶりのフルモデルチェンジだ。

スズキには十分な時間があり、それゆえパッケージングも十分に検討されている。メルセデス・ベンツ Gクラスやランドローバー・ディフェンダーのような四角形のスタイリングのおかげで、新型ジムニーは実際よりも大きく見える。しかし、保守的で分かりやすいエクステリアデザインだけがジムニーの人気の理由ではない。

チーフエンジニアの米澤宏之氏によると、新型ジムニーは市場が求めているものをそのまま形にした車だそうだ。米澤氏は以下のように語った。

シンプルな車にしようと考えて設計しましたが、質感や機能性は向上させています。ただなにより重視したのは走破性です。

我々は今回、富士山近くの舗装道路およびオフロードで新型ジムニーに試乗した。新型ジムニーを体験して、米澤氏は目標を達成したどころか、それ以上の車を作り上げたことを理解した。イギリス市場に投入される予定のモデル(日本市場ではシエラの名前が付く)は旧型ジムニーより全長が50mm、全高が45mm、それぞれ拡大しているのだが、ホイールベースや全幅は変わっていない。

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エンジンは1.3Lガソリンエンジンに代わり、自然吸気の1.5L 4気筒エンジン(最高出力102PS、最大トルク13.3kgf·m)が搭載される。旧型モデルと比べると14PS/1.2kgf·m向上している。この差は1,070kgという軽さの車にとってはかなり大きい。

5速MTと4速ATが組み合わせられる新エンジンは、従来よりもパワフルなだけでなく、より軽く、より経済的になっている。

圧倒的にパワフルというほどではないのだが、パワーの出方は滑らかで、特に3,000rpm以上では十分に力強い。低回転域のトルクも太いので、急勾配や溝からの脱出に困ることもないだろう。それに、ちょっとした小川なら簡単に渡れてしまう。

新設計のラダーフレームシャシは剛性が従来より50%向上しており、3リンクリジットアクスル式サスペンションはオンロードにもオフロードにも対処できるように設計されている。結果、乗り心地は従来よりも大幅に向上している。

特にオンロードの走りは大幅に進歩している。コーナーでのロールは依然として存在するのだが、従来のような不安定さはなくなり、コーナーではラインをしっかりとトレースしてくれる。ステアリングは中立域付近にやや遅れがあるのだが、全体的に操作性は十分良好だ。ブレーキの応答性も圧倒的に改善している。かかりはじめの制動力は強力になっているし、ノーズダイブも起こりにくくなっている。

オンロード重視の競合車と比べると、やはりジムニーの強みはオフロードでの性能だ。泥道も砂利道も、あるいは35度の傾斜でさえも、ジムニーは何の困難もなく走り抜けていく。わざわざローレンジに入れる必要性も感じなかった。まるで小さなトヨタ・ランドクルーザーだ。

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ブレーキLSDトラクションコントロール (BLTC) のおかげでモーグル風のコースも簡単に運転することができた。BLTCは空転するタイヤにブレーキをかけ、反対のタイヤだけを回転させることでトラクションを確保する。

新設定のヒルディセントコントロールや最長2秒間作動するヒルホールドコントロールも急勾配の走行を助けてくれた。この価格でジムニーと同等の走破性を持つ車は存在しない。ダチア・ダスターですら太刀打ちできないだろう。

インテリアは従来より現代的になり、大きくて見やすいメーターやイグニス風のインフォテインメントシステムが装備される。静粛性も向上しており、シートも従来より快適になっている。インテリアの質感も全体的に向上しており、それでいて手すりなどオフロードカーらしい装備もしっかり付いている。

視界は全方向にわたって良好なのだが、リアカメラは装備されない。ただし、クルーズコントロールや自動ブレーキ、車線逸脱警報などはしっかり装備されている。

ちゃんと目的に適った車を真面目に作れば、そうそう頻繁にモデルチェンジをする必要なんてないはずなんです。

米澤氏はそんなことも話していた。ひょっとしたら、この新型ジムニーも20年以上の歴史を紡いでいくのかもしれない。