カナダ「Driving」によるリンカーン・ノーチラスの試乗レポートを日本語で紹介します。


Nautilus

自動車メーカーは車名に数字やアルファベットを並べるのが好きだ。シンプルだし、市場ごとに別の名前を用意する必要もない。しかし同時に、独創性には欠けるし、ベテランの自動車評論家すら、ときにどの名前がどのモデルのものだったか曖昧になることもある。なので、リンカーンがMKXの名前を捨て、ノーチラスと名前を変えたのは喜ぶべきことだと思う。

名前が変わったとはいえ、MKXからフルモデルチェンジしたわけではなく、あくまでマイナーチェンジだ。製造拠点もオンタリオ州オークビルにあるフォードの工場のままだ。プラットフォームやボディは不変なのだが、フロントのデザインやエンジン、トランスミッションは刷新され、内装にも手が入っており、先進安全技術も追加されている。

MKXのベースグレードに搭載されていた3.7L V6エンジンは廃止され、253PS/38.7kgf·mを発揮する新設計の2.0L 4気筒ターボエンジンが新規搭載される。307PSの3.7Lエンジンと比べると出力は低下しているのだが、トルクは若干向上しており、燃費も8.0km/Lから9.3km/Lまで向上している。なお、上級グレードに搭載される340PS/52.5kgf·mの2.7L V6ツインターボエンジンは継続搭載される。

トランスミッションは従来6速ATが採用されていたのだが、ノーチラスにはリンカーン初の8速ATが採用されている。全車4WDで、基本的に前輪のみを駆動するのだが、走行状況に応じて後輪に最大100%の駆動力を送ることができる。

価格は最も安価な「Select」が50,450カナダドルで、上級グレードの「Reserve」は55,350カナダドルとなる。V6エンジンは「Reserve」のみで選択でき、価格は3,000カナダドル高くなる。

rear

MKXのダブルウインググリルはあまり好きになれなかったのだが、ノーチラスのメッシュグリル(ナビゲーターやコンチネンタルと共通)は魅力的に思えた。キャラクターラインはリアエンドまでクリーンに流れ、横長のテールランプや角型の排気管とも調和している。全体的に見た目は良いと感じた。

インテリアデザインも良く、”滝”型のセンターコンソール下部には収納スペースも用意されているし、ナビゲーターと共通の液晶メーターも装備される。ただ、従来から変わっているとはいえ、ナビゲーターほどの高級感はなく、姉妹車であるフォード・エッジと大して変わらない部分も見受けられた。

エッジとの最大の違いは変速機の操作だ。変速操作はセンターディスプレイの隣に縦に並ぶボタンで行う。これにより小物置き場が増えているし、最近流行りの電子シフトよりはよっぽど使いやすい。ただ、普通のシフトレバーと比べると、ボタン式はいちいち正しいギアに入っているのか確認する必要があるので使いづらい。

まずは4気筒エンジンを搭載するモデルに試乗した。ほとんどの消費者にはこちらが適しているだろう。加速は滑らかだし、静かで十分に力強い。8速ATの実力も高く、変速ショックはほとんど感じられない。

ステアリングはやや軽すぎるようにも思えたし、フィードバックも少し不足していたのだが、少なくとも応答性は良好だった。スポーツモードにすると車全体が引き締まる。また、モードを細かく設定することもできる。例えば、ステアリングをスポーツモードにして、変速はノーマルモードにする(私はこのセッティングが気に入った)ということもできる。

interior

ただ、サンタバーバラの急勾配を登っているときなどには、2.0Lエンジンに不足を感じることもあった。力強さを重視する人は、財布が許すのであれば2.7LのV6モデルを選ぶのも良いだろう。

いずれのエンジンを搭載するモデルも室内は穏やかで、タイヤノイズも抑えられているし、乗り心地も良好だ。アダプティブサスペンションには段差の衝撃を吸収する機能があり、タイヤが段差に乗り上げたのを感知するとミリ秒単位でダンピングを調整する。

ブラインドスポットモニターや自動防眩ミラー、ワイヤレス充電、ナビゲーションシステム、LEDヘッドランプ、シートヒーター付き10ウェイパワーシートは全グレードに標準装備される。上級グレードの「Reserve」にはステアリングヒーターや雨滴感知式ワイパー、REVELオーディオシステム、2列目シートヒーター、20インチホイールなどが標準装備となる。

リアエンターテインメントシステムや360度カメラ、アダプティブクルーズコントロール、22ウェイパワーシート、前方衝突緩和システム、自動駐車システムは「Reserve」のみにオプションとして設定される。「Reserve」をフル装備にすると価格は66,000カナダドル程度まで膨れ上がる。

ノーチラスはスタイリッシュで快適なSUVだ。目を引くような先進装備が付いているわけではないのだが、現在カナダでのリンカーンの売り上げの多くを占めるMKXの後継車として、ノーチラスもきっと売れることだろう。メイド・イン・カナダであるという点もカナダ市場においてはプラスになるはずだ。