英国「Auto Express」による新型 トヨタ・スープラ(プロトタイプ)の試乗レポートを日本語で紹介します。
トヨタが2019年のデトロイトモーターショーで新型スープラを発表するまでにはまだ時間がある。しかし、スープラの開発を担当したGAZOO Racingは9月初頭、マドリードでカモフラージュの施されたプロトタイプ車に試乗させてくれた。
カモフラージュのおかげでスープラの細かい部分のデザインは分かりづらくなっていた。しかし、じっくり眺めるとモータースポーツにインスパイアされたであろう要素(ダブルバブルルーフやウイング、LMP1風のリアディフューザーなど)も見えてきた。
GAZOO Racingはスープラのプロポーションを慎重に検討し、ホイールベースやトレッドはスポーツカーとして理想的な値を達成できたと語っている。
BMW製の3.0L 直列6気筒ターボエンジンを可能な限りエンジンベイの後方に配置することで前後50:50の重量配分も実現しており、いわゆるフロントミッドシップのスポーツカーとなっている。
トランスミッションは8速ATで、これはスープラが姉妹車であるBMW Z4と共有するわずか6種類のコンポーネンツのうちのひとつだ。
実際にスープラの運転席に座ってみると、非常に自然な感じがした。後輪のすぐ上に座っている感じがして(実際、着座位置は後輪に近い)、ボンネットは昔ながらのスポーツカーのように前に長く伸びている。脚を伸ばし、ステアリングを胸のすぐ前に引き、腕を曲げてステアリングを握る。スープラに包み込まれているような気分だった。
そして音も見事だった。直列6気筒の音はそれほど大音量ではないのだが、トヨタ・GT86(日本名: 86)のオーナーからすればまったく馴染みがないであろう深みのある音を発する。
実際にスープラを運転して最初に感じたのは、その見事なバランスの良さだ。アクティブダンパーはポルシェ・718 ケイマンのごとくピッチやヨーをコントロールしてくれる。ステアリングはリニアで動きもクリーンで、すぐ自信を持って運転できるようになる。
トヨタによると最高出力は300馬力程度らしいのだが、全開加速でも十分に落ち着きは保たれており、300馬力という出力にもしっかり対処できていた。スープラはケイマンGTSと同じくらい速く感じられ、同時にアルピーヌ・A110と同じくらい正確に感じられた。
今回はサーキットでもスープラを運転できた。サーキットではステアリングとシャシが一体になり、流れるような走りを見せてくれた。コーナーでの修正舵はほとんど必要なく、中速でも高速でもシャシは姿勢変化に対して柔軟で、非常に安定していた。
ブレンボのブレーキも強力で扱いやすく、全体的な走りを体験して、トヨタとGAZOO Racingの開発力の高さに畏敬の念を抱いた。確かに良い車であろうとは期待していたのだが、これほど楽しい車に仕上がっているとは思わなかった。まさしくピュアスポーツカーだった。
今回プロトタイプに試乗してみて、スープラの実力の高さを強く実感した。来春、市販モデルが登場する頃には、718 ケイマンやアルピーヌ・A110、アウディ・TT RS、フォード・マスタングGTなどの競合車はかなりの苦戦を強いられることになるだろう。
どちらが幸せだろう