豪州「CarAdvice」によるロータス・エリーゼ スポーツ 220のレビューを日本語で紹介します。


Elise

自動車評論家など大した職業ではない。車好きにとっては魅力的に映るかもしれないが、その実、くだらない仕事だ。

これを読んでいる人は「なんでだよ!?」と叫びたくなるかもしれない。最高にして最速の車を最高のサーキットで走らせることは、私を含め多くの人にとって憧れだろう。しかし、F1やWRCを長年見続けていると、その空虚さに気付いてしまった。

私がしたかったのは、タルガのような、スポンサーに縛られることのない、人と競うことのできるレースだった。そして、年をとるにつれ、私は公道で走ることのできるレーシングカーが欲しくなった。ロータスが欲しくなった。

そうして、私はロータスを購入した。私が買ったのは特別高価なモデルではない。私が買ったのは、ロータス・エリーゼ スポーツ 220だ。

何年も前、私はWRXを所有していた。毎週末のようにサーキットに出掛け、他の人とラップタイムを競っていた。そしてより速く走るため、大金を投資して車を改造した。

それからも速い車に乗り続け、私の欲望はそれなりに満たされたのだが、自分自身の所有する車で他人と直接競争するようなことはなかった。

幸いにも、2006年に私が設立したCarAdviceは今では30人のフルタイム正社員を擁する会社にまで成長し、それなりに良い車にも乗れるようになった。今や私は、家族用のジャガー・F-PACEのほかに、アストンマーティン・ヴァンテージ、メルセデス・ベンツ SLS AMGを所有している。

つい最近も、妻にこれ以上車を買うことはないと約束した上で(妻がこれを読んでいないと願いたい)、ポルシェ・911 GT2 RSのオーダーをキャンセルして488ピスタを購入しようとした(フェラーリには拒否されているのだが、私はまだ諦めていない)。

その上、妻を裏切ってロータスを買った理由は何なのだろうか。その理由は非常に単純だ。エリーゼなら、オプション含めて10万ドル未満で購入でき、それほどメンテナンス費用をかけずに、週末にサーキットに出掛けたり、タルガのようなイベントに参加したりすることができる。

もし車を傷つけてしまったとしても修理費用はそれほど高くはつかないだろうし、他のどんな競合車と比較しても、エリーゼは安く維持することができるはずだ。

rear

ただ、妥協点も存在する。私はマニュアル車を運転するのが好きなのだが、DCTモデルを選択するべきだったのかもしれない。DCTならレース中に変速操作に煩わされることなく、ライン取りに専念することができるからだ。

それに、ご存知かもしれないが、ロータスの車は乗り降りがしづらい。ただし、エヴォーラだけは例外だ。

こういった欠点は気になるのだが、私も含め、ロータスオーナーのほとんどはロータス以外にも車を所有している。つまりこれは、あくまで週末にレースをするための車だ。

サーキットまで合法的に公道を走っていけるかどうかは非常に重要だし、それができるからこそ頻繁にサーキットに行こうと思える。サーキットでしか走れない車は輸送にかなりの手間がかかってしまう。

個人的に本当はエキシージのほうが好きなのだが、私の腕ではエキシージの性能の100%を出す自信がなかった。しかしエリーゼなら自分の思い通りに操れるような気がした。パワーウェイトレシオは私のようなレーサー気取りにはぴったりだし、軽量な後輪駆動車は運転技術を学ぶのにもってこいだ。

当然、ボディカラーはオレンジを選んだ。エキシージにオレンジは似合っているし、それにCarAdviceのイメージカラーのオレンジとも合っている。

オプションとして付けたのは1,397豪ドルの特別塗装色のほかに、ブラックパッケージ(839豪ドル)、フロアマット(139豪ドル)だけだ。後から社外品のオーディオは付けたのだが、この車は実質的にレーシングカーであり、またオープンカーでもある点もとても気に入っている。

エリーゼに搭載されるのはトヨタ製の1.8Lエンジンで、スーパーチャージャーが追加されており、最高出力220PS、最大トルク25.5kgf·mを発揮する。スペック的には大したことがないように思えるかもしれないが、乾燥重量はわずか845kgで、車両重量は904kgだ。

MT車の0-100km/h加速はおよそ4.5秒とかなり速い。最新モデルのエリーゼにはエキシージと共通の剥き出しのシフトレバーが積まれているので、うっかり硬貨でも落としてしまったら大変なことになる。

また、フロントフェイスもマイナーチェンジによって変更されているのだが、基礎となるプラットフォームの設計はそれほど新しくはない。それに、先進安全技術など装備されていない。公道用ゴーカート以上の装備は用意されていない。

interior

意外かもしれないが、乗り降りのしづらさを除いて、エリーゼは日常的にも非常に扱いやすい車だ。普通の車と比べても乗り心地は比較的良好だ。車重が軽いことも関係しているのだろうが、かなり快適だ。

収納スペースに関してはほとんど存在せず、iPhoneすら安定して置けるような場所はない。とはいえ、少なくともUSBポートは装備されている。

実際に運転してみると、かなり俊敏で、車との一体感がある。パワーステアリングも含め、運転を支援する装備はまったく備わっていないのだが、おかげでどんな移動すらも冒険のように楽しむことができる。当然、渋滞まで楽しめるわけはないのだが、そもそも街中でロータスに乗ることが間違いだ。

トランスミッションは相当に滑らかで、パワートレインの協調も見事なので、非常に扱いやすい。実際にシドニー・モータスポーツ・パークで走らせてタイヤが擦り切れるまで(私が空気圧を間違えたことにも原因がある)楽しむことができた。

エリーゼなら全開で走らせることができるし、40ラップ以上走ったのだが、予想外の挙動を見せることはほとんどなく、危険もほぼ感じることはなかった。アンダーステアも呈したのだが、タイヤを変えれば改善できるだろう。

現時点までで最大の不満点は、イモビライザーを無効化しないとエンジンをかけることができない点くらいだ。この車はキーを挿入してからボタンを押さないとエンジンが始動してくれない。

私のエリーゼは2018年のタルガ・ハイカントリーにも参戦する予定だ。私はこれから、暇さえあればエリーゼでサーキットや山道に行って走りを鍛えるつもりだ。

正直なところ、タルガ・ハイカントリーで優勝するつもりなどないのだが、自分のすべてを尽くすことができればそれでいいと思っている。人生とはそういうものだ。