米国「Cars.com」によるフォルクスワーゲン・パサートGT(2018年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


Passat GT

フォルクスワーゲン・パサートは優秀なミドルサイズセダンだ。しかし、V6モデルは高価なため、売り上げの大半は4気筒ターボモデルが占めている。V6エンジンはこれまで最上級グレードの「SEL」にしか設定されておらず、レザーインテリアやフェンダーのプレミアムオーディオシステムなどの贅沢装備がてんこ盛りとなり、価格は35,500ドルを超えてしまっていた。フォルクスワーゲンはV6モデルの販売を強化するため、新たにパサートGTというモデルを追加した。

まずはっきりさせてしまうが、「GT」という名前が付いているとはいえ、パサートGTはスポーツセダンではない。変更点を見てみると、GTという名前は不適切なようにすら思える。とはいえ、見た目はスポーティーだし、価格や装備内容を考慮すれば魅力的なグレードであることは確かだ。

見た目は基本的にR-Lineと共通で、フロントバンパーにはゴルフGTIのような赤いGT専用アクセントが入っており、LEDヘッドランプも標準装備となる。ウインドウトリムやドアミラー、ルーフはブラックアウトされており、ブラックのリアスポイラーも装備される。

パサートGTには最高出力284PS、最大トルク35.7kgf·mを発揮するVR6型3.6Lエンジンが搭載され、優秀な6速DSGが組み合わせられる。また、専用のスポーツエグゾーストも備わる。パサートGTにはFFモデルしか設定されず、スプリングやショックアブソーバーを刷新した専用チューニングのスポーツサスペンションが装備されたことで、地上高は15mm低くなっている。ホイールは19インチとなり、よく似合っている。

rear

シートはダークグレーにライトグレーのアクセントが入ったフェイクレザーで、本物のレザーとは見違えようがないのだが、昔のジェッタのフェイクレザーほど酷いものではない。ただ、ファブリック素材のシートが選択できないのは非常に残念だ。インテリアは全体的に暗めで、ドアピラーや天井もブラックで統一されているし、インテリアパネルもピアノブラックになっている。

ドアシル部分には「GT」のロゴが入っている。ステアリングは本革なのだが滑りやすく、運転を楽しみたい人には合わないだろうが、少なくとも触り心地は良い。フォルクスワーゲンらしく、インテリアのラインは整っているし、パッケージングも優れているのだが、やはり見た目は地味だ。

「GT」と名が付いているものの、走りのフィールはパサートの標準車とさほど変わらない。ただ、スポーツエグゾーストのおかげもあってV6エンジンはトルキーだし音も良い。パワーも十分にあり、DSGをスポーツモードにすれば応答性が向上して発進加速や追い越し加速はより楽しくなる。

しかし、スポーツサスペンションに関しては車の性格をほとんど変えておらず、ステアリングにはまったく手が入っていない。ステアリングは比較的スローで重めなので、操作性自体は良いのだが、ワインディングロードを走らせてもさほど楽しくはない。

interior

とはいえ、19インチホイールを履いていながら、乗り心地は犠牲になっていない。路面の衝撃はしっかりと吸収してくれる。乗り心地に関しても標準車との差はあまりない。パサートは巨大で快適な、扱いやすいファミリーセダンなのだが、それはGTでも変わっておらず、スポーティーになったのは見た目と排気音くらいだ。パサートGTは安価なBMWを目指したのではなく、低価格なプレミアムセダンを目指したのだろう。

パサートGTにはデュアルゾーンオートエアコンやブラインドスポット警報、前方衝突警報、エマージェンシーブレーキ、ドアミラーヒーター、サンルーフ、6.3インチタッチスクリーン(Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応)が装備される。メーカーオプションは一切設定されず、諸経費込みで価格は29,995ドルとなる。トヨタ・カムリのV6モデルはパサートGTより4,000ドル以上高価だし、4気筒ターボのホンダ・アコードもパサートGTより数百ドル高い。

装備も充実しているし、見た目も個性的で、その割に価格も安いので、クロスオーバーSUVに関心を向けている消費者にも訴求できるだろう。パサートGTの追加により、3.6Lモデルの最安価格は5,000ドル以上安くなった。それに、フォルクスワーゲンには6年/12万kmの保証も付いている。スポーティーで低価格で、かつ装備も充実したファミリーセダンが欲しいなら、パサートGTがぴったりだろう。