英国「Auto Express」によるフォード・フィエスタST、ミニクーパーS、フォルクスワーゲン・ポロGTIの比較試乗レポートを日本語で紹介します。


Fiesta Mini and Polo

車好きならこの記事の結果が気になることだろう。旧型フォード・フィエスタSTは非常に優秀なホットハッチであり、新型にもその名に恥じない実力が求められている。

標準のフィエスタはクラスの中でもかなり優秀なモデルで、特に運転する楽しさがフィエスタの強みなだけあって、フィエスタSTの実力にも期待が高まる。新型STの基本的な構成は旧型と変わらない。強力なターボエンジンと、楽しさを追求したシャシチューニングだ。しかし、新型フィエスタSTも最高の小型ホットハッチの称号を再び得ることはできるのだろうか。

フィエスタSTに対峙する競合車として、今回は2台を用意した。マイナーチェンジを受けたミニクーパーSは運転する楽しさでフィエスタに匹敵するし、フォルクスワーゲン・ポロGTIは最新のドイツ製コンパクトホットハッチで、成熟した走りと先進性を売りにしている。ミニもポロも排気量はフィエスタよりも大きい。果たして、最高の小型ホットハッチの称号を得るのはどの車なのだろうか。


フォード・フィエスタST

Fiesta

今回試乗したのは最上級グレードである「ST-3」の3ドアモデルで、価格は21,495ポンドとなる。価格帯は他の2台と同等なのだが、「ST-1」なら18,995ポンドで購入できる。

ドライバーズカーとして考えると、ベース車であるフィエスタは理想とも言える。そのフィエスタにパワーを追加し、サスペンションを改良することで、フォードは再び至高のホットハッチを生み出そうとした。

STの魅力のほとんどはシャシにある。俊敏だし好みに応じた調整も可能で、舗装の悪い道での乗り心地も十分に良好だ。硬いながらもしっかりと抑えが効いている。ダンピングがしっかりしているのでハードなコーナリング時にも自信を持って運転できるし、段差があってもそれほどハーシュネスは酷くないのでバランスを崩すこともない。とはいえ、今回テストした3台の中では最も乗り味はハードだった。

フィエスタは前輪駆動車ながらも激烈なターンインを見せ、コーナーではタイヤがしっかりとグリップして曲がっていく。走りは非常にナチュラルで楽しく、真剣に運転するのにも向いている。

ステアリングも見事で、クイックかつ正確で、路面の情報は今回の3台の中では最もよく伝わってきた。オプションのLSDのおかげもあってコーナー出口でのトラクションも十分に確保されているのだが、楽しさを削ぐような過剰なLSDの介入はない。

それに、6速MTは標準の1.0L EcoBoostのフィエスタより正確で操作感も良く、ミニよりも没入感がある。

シャシは非常に優秀な一方、エンジンに関しては旧型ほど個性的なわけではない。新設計となる200PSの3気筒ユニットは従来型の4気筒エンジンほど回して楽しめるような性格ではないし、それどころかミニの4気筒エンジンよりも退屈だ。とはいえ、パフォーマンスは十分にあり、低回転域トルクに富んでいるので公道走行では非常に力強いし、排気音も心地良い。

フィエスタは無変速加速ではどのギアでも3台の中では最も速く、3速固定および4速固定での50-80km/h加速、5速固定および6速固定での80-110km/h加速ではミニやポロより速かった。ただ、0-100km/h加速では変速の素早いDSGを採用するポロ(6.5秒)よりも遅い7.1秒を記録した。


ミニクーパーS

Mini

ミニクーパーSはマイナーチェンジ後のモデルのミニの中では(JCWの登場までは)最もホットなモデルなのだが、今回の3台の中では最高出力が最も小さく、2.0Lの4気筒エンジンは192PSを発揮する。価格は今回の3台の中では最も安いのだが、装備内容を他の2台と同等にするためにはさらにオプションを追加する必要がある。

マイナーチェンジでの変更点はそれほど多くないのだが、変わらず運転するのは楽しい。ミニらしいダイレクトなステアリングやグリップ力の優れたシャシのおかげで、ワインディングロードを走るのがとても楽しくなる。思った通りの応答性を見せてくれるのでスロットルとステアリングの操作で意図通りのラインを描くことができる。田舎道での走りではフィエスタSTと同等の楽しさを実現している。

ミニはドライビングポジションも見事で、シートは快適だし、またダンピング性能も優秀だ。舗装の悪い道であっても不安定感を感じさせることなくしなやかに走ってくれる。

クーパーSはフィエスタSTよりは快適性が高いのだが、ポロほど快適なわけではないし、どうしても硬さは感じてしまう。ただ、ハンドリング性能を考慮すればそれくらいの犠牲は仕方ないだろう。

エンジン音は他の2台ほど主張があるわけではないのだが、ミニの4気筒エンジンはポロのエンジンよりも個性的だし、フィエスタの3気筒エンジンよりも滑らかだ。スペックは他の2台に劣るのだが、その差はわずかだし、実際に運転していて差を感じるわけでもない。ただ、サーキットでは他の2台に遅れを取っている。

ミニの0-100km/h加速は7.4秒で、50-110km/h加速は6.6秒で、いずれも3台の中で最も遅かった。無変速での加速ではフィエスタよりは遅かったものの、4速固定の50-80km/h加速ではポロより0.1秒速い4.1秒を記録した。同様に、5速固定および6速固定での80-110km/h加速でもポロより速かった。

変速に関してはフィエスタほど楽しいわけではない。とはいえ、DSGを採用するポロよりは運転しがいがあるし、楽しい。


フォルクスワーゲン・ポロGTI

Polo

フォルクスワーゲン・ポロGTIは他の2台よりも高価で、ベース価格は21,520ポンドとなり、5ドアしか設定されず、MTも選択できない。現時点ではDSGしか設定されず、それが価格にも響いているのだが、果たしてポロGTIは金額なりの魅力を有しているのだろうか。

200PSのエンジンとDSGのおかげで、ポロGTIは3台のうちでパフォーマンスを引き出すのは最も簡単だ。ただアクセルを踏み込むだけでDSGが勝手にシフトダウンして最大限に加速してくれる。ローンチコントロールを使用すると3台中最速の0-100km/h加速6.5秒を記録し、同様に50-110km/h加速も3台中で最速だった。

ただ、DSGは確かに加速性能面では優秀なのだが、ワインディングロードでは欠点が目立った。シフトパドルを操作しても思ったほど素早くは変速してくれないし、コーナー前後の重要な場面で変速がもたついてしまったことも何度かあった。ホットハッチにとってこのような問題は致命的だ。それに、操作する楽しさでもMTには劣る。

とはいえ、ポロGTIのエンジンは3台中最大の32.6kgf·mというトルクをわずか1,500rpmから発揮する。おかげで、加速する際にやたらシフトダウンする必要もない。ただし、ギア比がロングなので6速固定での80-110km/h加速は3台の中で最も遅い8.2秒で、ミニより1.3秒、フィエスタより1.9秒遅かった。

ポロGTIはパワフルなのだが、エンジンはフラットな性格だし、フィエスタやクーパーSのような個性的なユニットと比べると楽しめない。フィエスタの3気筒エンジンもミニほど個性的なわけではないのだが、少なくともエンジン音はポロより心地良い。

シャシに関しても同様のことが言える。実力は高いのだが、どこか冷たい。専用サスペンションのおかげでグリップ性能も敏捷性も高いのだが、軽いステアリングやニュートラルなコーナリング姿勢は他の2台ほど活き活きとはしていない。とはいえ、乗り心地(特に低速域)は3台の中で最も良好だ。

高速走行時の静粛性もポロGTIが最も高く、日常的に使いたいならポロが適しているだろう。ただ、そういう魅力があるとはいえ、ホットハッチで最も重要な楽しさが欠けてしまっている。


1st: フォード・フィエスタST
フィエスタSTは依然として最高の小型ホットハッチであり、同時に現在販売されているあらゆる車の中でもトップレベルの魅力を有する車だ。フィエスタSTは速いだけでなく、運転するのが相当に楽しく、日常的に使える実用性も兼ね備えているし、なによりコストパフォーマンスが高い。ハッチバックどころかスポーツカーでもフィエスタSTほど楽しい車はほとんどない。それだけに、エンジンがシャシに見合うだけの個性を持っていないことは残念だ。

2nd: ミニクーパーS
フィエスタSTがミニクーパーSを差し置いて勝利を勝ち取ったのは当然の結果だったのだが、ミニクーパーSもフィエスタSTと同じくらいに楽しいし、クーパーSの力強い2.0Lエンジンも魅力的だ。ただ、ランニングコストや価格の高さを考えると、フィエスタSTほどコストパフォーマンスが高いわけではないし、実用性もそれほど高くない。ただ、値段を気にしないなら、ミニも魅力的な選択肢と言えるだろう。

3rd: フォルクスワーゲン・ポロGTI
快適に、そして楽に運転できるホットハッチが欲しいなら、ポロGTIを検討する価値はあるだろう。ポロGTIは実用性が高いし、速いし、快適性も高いのだが、その代償としてホットハッチにとって重要なユーモアを失ってしまっている。楽しさを捨てて快適性を取ったポロGTIは、我々からすれば本末転倒のように思える。