Amazonプライム・ビデオで配信中の自動車番組「The Grand Tour」でおなじみのリチャード・ハモンドが英「Mirror」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、2010年に書かれたフォルクスワーゲン・シロッコRのレビューです。


Scirocco R

「走りより見た目」のクーペはたくさんある。気取りたいだけならそれでも良いのだろうが、それでは昔のモーリス・マイナーと大して変わらない。

フォルクスワーゲン・シロッコRはそういった車とはまったくの別物だ。見た目に即した性能を有する。そして肝心の見た目は良い意味でゴルフを潰したような感じだ。

シロッコRに搭載される2.0Lエンジンは最高出力265PS、最大トルク35.7kgf·mを発揮する。スペック的にはフォード・フォーカスRSやルノー・メガーヌR.S. 250を超えている。

rear

0-100km/h加速は5.8秒でこなす。この数字は今の時代では記録的とまでは言えないのだが、それでも驚異的な速さで、現実世界において不足を感じることはまずないだろう。

ブレーキも優秀で、高速域での剛性感もあるので、安心して運転することができる。今回は1,600kmにわたって試乗したのだが、速度無制限のアウトバーンにおいてもリラックスして運転でき、クルーザーとしても(経済性はそれほど高くないものの)適しているということが分かった。

シロッコRはあくまで車好きのための車であり、ファミリーユースには適していない。リアシートや荷室はそれほど狭いわけではないのだが、実用性を求めるのであればゴルフRを購入すべきだろう。

interior

ハンドリングは見事だ。オートカー誌の専門家たちはロータス・エリーゼを差し置いてシロッコRを最高のオールラウンドスポーツカー(3万ポンド未満)に選んでいる。

シロッコRは非常に優秀な車なのだが、決して安くはない。価格は28,295ポンドで、ナビやDSGなどを装備すれば簡単に3万ポンドを超えてしまう。しかし、ポルシェ・カイエンが買える金額であってもフォルクスワーゲンを買いたいと思う人はたくさんいるはずだ。