英国「Auto Express」によるフォルクスワーゲン・ゴルフRとホンダ・シビックタイプRの比較試乗レポートを日本語で紹介します。


Golf R vs Civic Type R

フォルクスワーゲン・ゴルフRはゴルフの中で最もホットなモデルなのだが、パフォーマンスパッケージの追加によってなおのことホットになった。ただし、これが装備できるのはDSG車のみだし、34,910ポンドのゴルフRにさらに2,300ポンドの追加費用を支払う必要もある。そんなゴルフRには、新たな挑戦者、ホンダ・シビックタイプRに打ち勝つという使命がある。

シビックタイプRと標準のゴルフRを比べると、価格はシビックタイプRのほうが安いし、運転する楽しさでもホンダが勝っている。では、新しくなったゴルフRパフォーマンスパッケージは、シビックタイプRとどのような戦いを繰り広げるのだろうか。


フォルクスワーゲン・ゴルフR

Golf R interior

ゴルフRが登場したのは2014年のことで、2017年には他のゴルフとともにマイナーチェンジが行われている。その後、2,300ポンドのパフォーマンスパッケージも追加された。

パフォーマンスパッケージには幅の広い19インチアルミホイールや大径ブレーキ、リアスポイラー(ダウンフォースを増加する)が含まれる。また、スピードリミッターも解除され、最高速度は267km/hとなる。エンジンスペック(310PS/40.8kgf·m)は不変だが、パフォーマンスは驚異的で、4WDシステムとクイックなDCTのおかげで発進加速は残酷なほどに速い。

0-100km/h加速ではホンダに楽々と勝てるのだが、無変速での加速はそれほど速くない。4速固定での50-80km/h加速はホンダと同じ3.4秒を記録し、5速固定での80-110km/h加速ではホンダよりわずかに遅かった。

エンジンは低回転域からパフォーマンスを発揮し、元気の良いのホンダ製ユニットと比べると楽しさで劣る。ゴルフRの場合、エンジンを酷使しなくてもパフォーマンスを引き出すことができるのだが、シビックのほうが喜びは大きい。同様に、DCTも変速は素早いのだがホンダのマニュアルと比べると楽しくはない。

試乗車にはアクラポヴィッチ製のチタンエグゾーストが装備されていたため、やや個性に欠けるゴルフのエンジンにいくらか個性が付加されていた。このおかげで排気音はレーシーになるのだが、価格は高く、2,975ポンドのオプションとなる。

ステアリングは正確なのだが、ホンダほどクイックではないし、少し軽く感じる。ただ、グリップは十分にあるので、自信を持って運転できるし、気負わずに速く走らせることができる。ただし、頻繁にサーキットで走らせることがないなら、わざわざパフォーマンスパッケージを付ける意味はあまりなさそうだ。確かにブレーキは強力なのだが、基本的に公道走行時のフィールは標準のゴルフRとさほど変わらない。

ゴルフRで重要なオプションは850ポンドのDCCだ。これによってサスペンションセッティングをコンフォート、ノーマル、スポーツの3種類のうちから選択することができるようになる。コンフォートおよびノーマルでも硬いのだがそれなりにしなやかで、イギリスの道路でもタイプRと同じくらい運転しやすかった。スポーツモードは耐えられないほど不快なわけではなく、シビックタイプRの+Rモードほどアグレッシヴなわけでもない。

いずれの走行モードでも安定性は高く、かなり飛ばさない限りでは荒い路面でも暴れてしまうようなことはない。


ホンダ・シビックタイプR

Type R interior

シビックタイプRが登場してもう20年以上が経つのだが、現行型は昔のような高回転型の自然吸気VTECは失われたとはいえ、おそらくは最高傑作だろう。2.0Lターボエンジンは最高のエンジンとは言えないのだが、320PS/40.8kgf·mというスペックのおかげもあって驚異的に速い。

0-100km/h加速は5.9秒で、ゴルフRより1.3秒遅い。これはゴルフRのローンチコントロールシステムや4WDシステムが影響している。

ただし、50-110km/h加速は4.3秒でゴルフRとの差は0.1秒まで縮まる(依然ゴルフRのほうが速いのはDSGの変速の早さのおかげだろう)。いずれにしろ、滑らかなMTを採用するホンダのほうが運転するのはずっと楽しい。

3速固定の50-80km/h加速はわずか2.2秒でゴルフRより0.2秒速く、5速固定での80-110km/h加速はゴルフRより0.5秒速かった。無変速だとシビックタイプRのエンジン性能や軽さが光った。

優秀なLSDのおかげもあり、コーナー出口からの加速は爆発的だ。エンジンが圧倒的なパフォーマンスを発揮し、シャシもそれにしっかりとついていく。ゴルフRも電子制御ディファレンシャルや4WDが生み出すトラクションのおかげでかなり速くコーナーを抜けることができるのだが、ホンダほど車との一体感はない。タイプRのほうがステアフィールも豊かで、飛ばそうが穏やかに運転しようがワインディングではタイプRのほうが楽しい。

ゴルフRの強力ながらも無感動なユニットと比べると、シビックのエンジンのほうが個性も豊かだ。強力な中域トルクや高回転域で得られる興奮のおかげで、レッドゾーンまで回すのがとても楽しい。このように感じるのはターボエンジンではなかなかない。

タイプRのアダプティブダンパーにはコンフォート、スポーツ、+Rの3種類のモードが存在する。スポーツモードでもロールがほとんどないので、公道で+Rモードを使う必要性はほとんどないのだが、サーキットでは+Rモードの本領を発揮できる。タイプRのコンフォートモードはゴルフRのコンフォートモードと同等で、かなりしなやかなので日常的に運転することも苦にはならない。


結論

1st: ホンダ・シビックタイプR
オールラウンダーとしてはタイプRのほうが優秀で、価格もゴルフRより安い。無変速ではタイプRのほうが速いし、ゴルフRよりシャープでワインディングロードでは運転するのが楽しいし、快適性もそれなりに高く、実用性はゴルフRより高い。唯一残念だったのはインフォテインメントシステムの使いづらさだ。


2nd: フォルクスワーゲン・ゴルフR
ゴルフR パフォーマンスパッケージは実用性や快適性と高いパフォーマンスをうまく融合できているのだが、それは標準のゴルフRも同じだ。パフォーマンスパッケージは高価であるにもかかわらずシビックタイプRを超えられるほどの魅力を付加することはできていない。それに、ホンダのほうが実用性は高いし、運転する楽しさでもホンダに負けている。