英国「Top Gear」によるルノー・メガーヌ スポーツツアラーGTの試乗レポートを日本語で紹介します。
この車は名前が長すぎるので、「ルノー・メガーヌ スポーツツアラーGT」といちいち書いていたら記事のうち半分くらいが車の名前になってしまいそうだ。なので以降はいちいち「ルノー・メガーヌ スポーツツアラーGT」などとは呼ばない。
そもそも、この車は「ホットハッチ」から変身した「ホットワゴン」なのだろうか。実のところ、この車は4WDのフォルクスワーゲン・ゴルフR エステートやセアト・レオン クプラの競合車などではない。本物のホットハッチである「RS」は遅れて登場する。
メガーヌRSが登場するまではGTが最強のメガーヌとなる。GTには専用ボディパーツや18インチホイール、スポーツバケットシート、フラットボトムステアリング、パドルシフトが装備されるのだが、前輪駆動の2WDのみの設定で、最高出力は205PS止まりだ。
私は既にハッチバック版のメガーヌGTも運転しているのだが、あまり心惹かれる車ではなかった。技術的には先進的だし、走行モードもたくさん用意されているのだが、肝心のフィーリングが未熟だ。
走行モードの変更によって、エンジンやステアリングのレスポンスだけでなく、アンビエントライトやメーターの色を変えたり、エンジン音を増幅することもできる。
街中での取り回しと高速域でのスタビリティを向上するため、四輪操舵システムも装備されている。ただ、メガーヌGTは操作するのが特別楽しいわけでも、逆に特別快適性が高いわけでもない。装備内容に反して実情は平凡だ。
では、ステーションワゴン版であるスポーツツアラーGTはどうだろうか。荷室容量は5人乗車時で521Lで、壁にあるレバーを引いてリアシートを倒せば1,504Lまで拡大する。ちなみに、フォルクスワーゲン・ゴルフエステートは605/1,620L、プジョー・308 SWは660/1,775Lだ。ただし、ルノーいわく荷室長はクラス最長の2.8mだそうだ。
荷室開口部は下端が低くて広いのだが、デザインのために荷室に皺寄せが行っている感じはある。しかし、ボルボが証明したように、消費者はスタイリッシュであれば多少の荷室を犠牲にすることは厭わないので、大きな問題にはならないだろう。
別の部分に目を向けると、四輪操舵システム「4Control」の挙動は予測不可能で支離滅裂だ。それに、最高出力はわずか205PSなのに、昔のアストラVXRのようなトルクステアを発生するし、かといって速く感じられるわけでもない。
DCTの挙動も怪しい。街中を運転するのはもはや苦痛だし、シフトパドルは位置が高すぎてまともに操作できない。この車は装飾的で複雑だ。それゆえ、よりシンプルで見掛け倒しではないフォード・フォーカス エステートやシュコダ・オクタヴィアvRSのほうが優秀だ。
では、この車の良い部分はどこだろうか。コンフォートモードもしくはニュートラルモードにしてゆっくり走る場合は快適性も高い。タイヤノイズはちゃんと抑えられているし、インテリアは旧型メガーヌより圧倒的にまともになっている。見た目に比べると質感はそれほど高くないのだが、少なくともルノーは前進している。
メガーヌ スポーツツアラーGTの価格は27,450ポンドで、必要な装備はすべて揃っている。ただ、この価格ならフォードなりシュコダなりを選んだほうが良さそうだ。昔のメガーヌGTは今より装備も貧弱だったのだが、それでも走りはずっと良かった。せめてルノースポールが手掛ける最上級モデルには期待したいところだ。



