英国「Auto Express」によるダチア・ダスターの試乗レポートを日本語で紹介します。


Duster

ダチアは2012年にイギリスに上陸し、コストパフォーマンスの高さで自動車業界を驚かせた。それから6年が経ってもダチアの基本的な部分は変わっておらず、新型ダスターも最も安いクロスオーバーSUVのままだ。

新型となり、エクステリアデザインが変更され、装備はさらに充実したのだが、依然として価格は安い。しかし、車の買い方が変わる一方、ダスターの魅力も変わらず存在するのだろうか。今回はそれを検証するため、イギリスで新型ダスターを試すことにした。

新型ダスターを見てまず気付くのは新しいファミリーフェイスだ。デザインは旧型からはっきりと進化しており、ダチアによるとすべてのパネルが変更されているそうだ。なので、新旧の違いはすぐに分かる。フロントグリルはよりワイドに、ベルトラインはよりシャープになり、リアエンドのデザインは刷新されている。

発売当初は自然吸気ガソリンエンジンを搭載するモデルのみの設定となる。依然としてATの設定はないのだが、2WDと4WDから選択でき、グレードも4種類設定される。2018年夏にはdCiエンジンを搭載するディーゼルモデルが追加され、2019年には高出力のガソリンターボモデルも追加される予定だ。

やはり注目すべきは「Access」グレードの9,995ポンドという価格だろう。このグレードだとラジオやエアコンは装備されないのだが、LEDデイライトや前席パワーウインドウは全車標準装備だし、運転席のサポート性も高い。

rear

その上のグレードが「Essential」で、こちらにはDABラジオやエアコンが装備される。価格は11,595ポンドからで、ボディカラーの選択肢も増える。ほとんどの顧客が選ぶであろう「Comfort」にはさらに、タッチスクリーンナビゲーション、パーキングカメラ、アルミホイール、クルーズコントロールが装備されるし、「Essential」との価格差もわずか1,500ポンドだ。

最上級グレードの「Prestige」にはダスターの倍の価格で販売される車と同等の装備が備わる。14,395ポンドという価格で、17インチダイヤモンドカットアルミホイールから一部レザーが使われるヒーター付きのシートまで装備される。

アクティブセーフティ、パッシブセーフティいずれも充実している。ダチアによると、顧客は価格の安さを重視している一方で、装備を妥協してもいいとは考えていないそうだ。ダスターにはルノーと共通の装備が多く備わっており、ブラインドスポットモニターやカーテンエアバッグ、マルチビューカメラ、オートライトなどが装備される。これらの装備は上級グレードにしか付かないのだが、車体のフレームは全車で強化されている。

実際に車内に座ってみると、2012年に発売された初代モデルから大幅に進化していることを実感できる。さすがに品質でドイツ車や日本車には敵わないのだが、それでも耐久性は高そうだ。ガラスがかなり厚くなり、遮音材も追加されたので、100km/h走行時の静粛性も向上している。前席のクッションも増加し、着座位置の調節幅も広がっている。運転席にはアームレストも追加された。

ダッシュボードのレイアウトは地味ながらも機能的で、計器類も読みやすいし、「Comfort」に装備されるタッチスクリーンの応答性はルノーのクリオやキャプチャー、カジャーよりも良好だった。その下に配置されるピアノ調のボタンも現代的だった。

interior

運転してみると、1.6Lのノンターボガソリンエンジンは依然として弱々しいのだが、それでも個性は存在する。かなり回さないとパフォーマンスは発揮できないのだが、しなやかでバランスの良いシャシのおかげで運転するのは驚くほど楽しかった。「運転するのが楽しい車」と言えるレベルにあるし、これより運転がつまらないSUVもたくさん存在する。

新しくなった電動パワーステアリングは軽いながらもクイックで、グリップ性能も良好だった。シフトストロークの長いMTはまだ足りない部分も多いのだが、ブレーキは問題なく、不安なく車を止めてくれる。乗り心地は低速域だと少し落ち着きが足りないのだが、高速域では滑らかになり、シートのサポート性の高さもあって、240kmにわたる今回の試乗でも大きな不満はなかった。当然、4WDモデルなら不整地を走ることもできる。

低価格ながら、室内空間も広い。家族に十分な空間を備え、ベンチシートは大きいし、ISOFIXにもしっかり対応している。「Access」のリアシートは一体可倒式で、「Essential」は6:4分割可倒式となる。荷室は完全なフラットにはならないのだが、最大荷室容量は1,623L(2WD車)で、フォルクスワーゲン・ゴルフエステートと比べても3L多い。ダチアによると、旧型より20%多い合計30L分もの収納スペースがあるそうだ。