英国「Auto Express」による2代目レンジローバーのレビュー記事を日本語で紹介します。


Range Rover

どうすれば“伝説”の後継を生み出すことができるのだろうか。普通なら、成功の方程式に手を加えようとはしないはずだ。しかし初代でヴォーグが人気を博したことからも分かる通り、当時、高級4WD車の需要は伸びていた。その期待に応えるため、2代目レンジローバーは初代のキャラクターを損なわないまま、質感を大幅に向上することを目標に開発が進められた。

デザインディレクターのジョージ・トムソン氏はコードネーム「P38A」こと2代目レンジローバーの新しいデザインを生み出すことを任された。ベルトーネやピニンファリーナといったイタリアのデザインハウスからもデザイン案が提出されたのだが、実際に採用されたのはトムソン氏率いるチームが作った「ペガサス」コンセプトだった。

ブラックアウトCピラーやフローティングルーフ、ボンネット両端の峰など、レンジローバーの要となるデザイン要素は守られた。基本的には保守的なデザインとなったのだが、新型のほうが空力性能は改善している。特に風切り音は劇的に減少し、また新設計の4速ATが設定された結果、レンジローバーは静かで快適なクルーザーとなった。

rear

しかし、最大の変更点はインテリアだ。高級カーペットと木目パネル以外、すべてが刷新されている。1970年代的なヴィンテージ調から現代的なインテリアに変貌し、ステアリングスイッチなどの贅沢装備も追加され、ドライビングポジションも従来型よりずっと乗用車に近付いた。

ステアリングは進化した一方で、中身に関してはヘヴィーデューティーな初代レンジローバーから多くがキャリーオーバーされている。ただし、最上級モデルのHSEに搭載される4.6L ローバーV8エンジンは最高出力228PS、最大トルク38.7kgf·mまで向上している。また、初代に搭載されていたVMモトーリ製のディーゼルエンジンに代わり、BMW製の直列6気筒ディーゼルエンジンが新規設定された。

2代目レンジローバーはHパターンのシフトレバーを採用することでハイレンジとローレンジの切り替えがやりやすくなり、オフロードでも運転しやすくなっている。標準設定のエアサスペンションは高速域ではスタビリティを向上するために地上高を下げ、オフロードでタイヤが宙に浮いてしまった場合にはタイヤを押し下げることもできる。このシステムはダッシュボードのボタンを操作することでマニュアル調節することも可能だ。

interior

スチール製のラダーフレームシャシは新しい溶接技術を採用することで剛性を向上しているのだが、ホイールベースは初代レンジローバーのLSEと同じ2.74mだ。スペアタイヤを荷室下に移動する、燃料タンクを後席下に移動するなどの工夫により、衝突安全性も向上している。また、安全性向上のため、ドアビームの強化や四輪すべてをカバーするトラクションコントロールの装備も行われている。

実際に初代と2代目を乗り比べてみると、2代目のほうがステアリングが軽くてずっと運転しやすく、またスロットルの遊びも増している。オフロード走行時の乗り心地は依然として硬めで、3代目以降のモデルと比べるとさすがに劣るのだが、登場から20年近く経った今でもどんな障害にも負けそうにないくらいに頑丈に感じた。

最初の”現代的”レンジローバーとも言える2代目は初代から大幅な進化はしていないのだが、高級4WDとしての立ち位置を明白にし、現代の車に当たり前のように付いている贅沢装備をしっかりと装備していた。この車があったからこそ、当時BMW役員だったウォルフガング・ライツレ氏も後継車であるL322の開発に力を注いだのだろう。