カナダ「Driving」による日産 370Zkiの試乗レポートを日本語で紹介します。


370Zki


370Z(日本名: フェアレディZ)は魅力的なスポーツカーだ。中でもZ NISMOは、少し高価ながらもクッキー&クリームのアイスクリームのごとく味わい深い、価値ある楽しい車だ。しかし、クッキー&クリームではなく、フローズンヨーグルト、もとい370ZロードスターのAT車を楽しむためにはどうすればいいのだろうか。

フローズンヨーグルトをさらに美味しくしたいなら、チョコレートをふりかけてみるのもいいかもしれない。では、Zロードスターにはどんな手を加えればいいのだろうか。車高を上げ、そしてタイヤの代わりにスキー板とキャタピラを履かせてみたらどうだろう。

「370Zki」という車名をどう発音すべきか(「370Z スキー」なのだろうか、それとも「370 ズキー」なのだろうか)という疑問は置いておくとして、この車はかなり奇抜だ。常識的に考えて、スポーツカーとスキーという組み合わせなど相性が良いとは思えないし、作ろうとした人間を止めたくもなりそうだが、しかし370Zkiは誕生した。

同じくらい奇抜なローグ ウォリアーという車に続いて誕生した370Zkiのベースとなっているのは日産ディーラーで普通に販売されている普通の370Zだ。実際、370Zkiの上半分はごく普通の370Zと変わらないように見える。違うのはそれほど派手なわけでもない専用のラッピングと、そしてヘッドランプに貼られている黄色いフィルムくらいだ。おそらく日産はスキーゴーグル風に見せようと黄色くしたのだろう。

しかし、下半分はまるでスノーモービルだ。元々後輪があった部分にはキャタピラが装着されている。そして前輪の代わりにスキー板を履いている。4WDのローグ ウォリアーとは違い、370Zkiは後輪駆動車だ。

rear

開発にはカリフォルニアのウェストサイド・グループというショップも参加している。およそ10週間の改造期間で、ベース車のドライブトレインがすべて取り外され、雪上車に適した改造パーツが取り付けられた。リアスプリングマウントやホイールスペーサー、エンジン・トランスミッションマウント、スキッドプレートは専用品に交換され、ブレーキラインや排気系の経路も変更されている。

キャタピラおよびスキー板はアメリカン・トラック・トラックのものを採用している。リアのキャタピラの大きさは長さ1,220mm、高さ760mm、全幅380mmで、フロントのスキーの全長は1,420mmだ。これにより車のジオメトリーは大幅に変わってしまっており、ルーフのセンサーが地面が水平でないと判断してしまうため、電動ルーフの開閉操作ができなくなっているそうだ。もっとも、このような車なのだから、わざわざルーフを上げる必要などないだろう。

地上高は大幅に高くなっているので上品な乗り降りはできないのだが、一度車内に乗り込んでしまえば見える景色は至って普通だ。インテリアはまったく変わっておらず、シートもナビもエアコンも、そしてありがたいことにシートヒーターも標準車と変わらずちゃんと使うことができる。ただし、メーター内では警告灯が点灯していた。タイヤが無いのだからタイヤ空気圧警告灯が点灯するのも当然だろう。

実際に走り始めてみると、言うまでもないだろうが普通の370Zとはまったく違う。そもそもベースとなっている370Z自体、それほど乗り心地の良い車ではないのだが、370Zkiはそれとは比較にならないほど乗り心地が悪く、圧雪路面を走っても耐え難かった。騒音も酷く、魅力的な排気音も完全に掻き消されてしまっていた。

それでも、運転はとても楽しかった。この車は操縦するのがかなり難しい。ステアリングはやや重く、それにこれはワンオフのプロトタイプ車ということもあり、運転する際はかなり緊張した。

interior

アクセルを踏んで雪を自分や同乗者に撒き散らし、コーナーでは大量の氷塊が車内に飛び込んでくる。リアのキャタピラはしっかりとグリップしてくれるので、滑りやすいとはいえ、立て直すのは簡単だ。スタッドレスタイヤを履いた370Zを運転したほうが雪道でのドリフト走行はしやすいだろうが、スタッドレスタイヤでは370Zkiのような走りは実現できない。

嬉しいことに、アメリカン・トラック・トラックで自動車用のキャタピラとスキーを購入すれば、誰でも普通の370Zを370Zkiに変身させることができる。

近いうちに気温が上がり、残った雪も溶けることだろう。そうすればようやく、370Zでドライブを楽しめる季節がやってくる。しかし、370Zkiなら冬すらも満喫することができる。370Zを車庫に冬眠させるのではなく、スキーを履かせてやればいい。もっとも、現実的にはルーフの付いたモデルで楽しむのがベストだろう。