730

まず、ミニバンをサーキットでテストするなんて馬鹿げているということを前置きしておこう。SGMW(上海通用五菱)は、上海汽車、ゼネラルモーターズ、五菱汽車の3社による合弁企業だ。そんなメーカーが製造する宝駿 730は力もなく、コーナーで少しでもスピードを出そうとすると破綻してしまう。

しかしながら、中国の消費者にとっては、こんな車でもちゃんと意味を成す。価格はドル換算で10,000~12,000ドル程度であり、この価格で7人乗りの(一応は)まともに走るミニバンが買えてしまう。

4気筒 1.8Lエンジンは3,000rpm以上まで回してしまうとかなりやかましい。ただ、5速ATは基本的に回転数を3,000rpm未満に抑え続けてくれた。最高出力は137PS、最大トルクは18.9kgf·mなのだが、ボディサイズはアメリカの一般的なミニバンよりは小さいし、そもそも中国の狂気的なほどに混雑した街中ではパワーを発揮する場面があまりない。

730 interior

インテリアは非常に実用的で、昔の中国車とはまるで違っていた。車内にはWindowsタブレットに似た操作感のタッチスクリーンが装備されている。ただ、プラスチックは安っぽいし、シートは平板でサポート性に欠けるし、インテリアデザインは10年かそれ以上は遅れている。

とはいえ、価格がわずか1万ドル程度であることは留意しておいてほしい。これだけ安ければ欧米市場でも欲しがる人は一定数いるだろう。もっとも、ビジネスとして成立するのかは分からないが。