英国「PistonHeads」によるホンダ・アコードタイプRのレビュー記事を日本語で紹介します。


Accord Type R

イギリスでは大衆メーカー製のスポーツセダンはそれほど受けない。イギリスではEP3をはじめとしてシビックタイプRにはカルト的な人気があるのだが、一方でシビックタイプRと同等の性能を有するアコードは不人気だ。

アコードタイプRは同社のインテグラタイプRとも競合した。インテグラタイプRは歴史に残るほど優秀なFF車で、アコードよりも安かったし、美しいとまでは言えないものの、アコードとは違って攻撃的な見た目のクーペだった。

インテグラという優秀な兄弟を持った結果、アコードの影が薄くなってしまった。アコードはV6エンジンを搭載するモンデオやベクトラ、156とも比較され、また同じ日本車の競合車にはラリーでもお馴染みのインプレッサターボもいた。運転する楽しさではインプレッサには敵わなかったのだが、それでもアコードにはインプレッサに肉薄するほどの実力があった。

スペックを見ただけでもアコードの凄さを理解できる。アコードと比べるとシビックすらも見劣りしてしまうかもしれない。アコードタイプRは一部の遮音材が省略されており、2.0Lのアコードと比べると57kgも軽く、車重は1,306kgだ。ちなみに、これは1,280kgのプジョー・RCZ Rと26kgしか変わらない。しかも、アコードタイプRはリアのバルクヘッドが強化されており、ボディ剛性は標準車よりも40%向上している。

アコードタイプRに搭載される2.2Lエンジンはプレリュードに搭載されるものの改良版なのだが、あらゆる部分が刷新されている。圧縮比は高く(11:1)なり、低フリクションピストンが採用され、インテークマニフォールドや排気管も刷新されている。

rear

最高出力は215PS/7,200rpm、最大トルクは21.8kgf·m/6,700rpmを発揮する。VTECエンジンとしては普通のスペックにも思えるのだが、排気量に余裕があるので低回転域におけるトルクは向上している。もっとも、低回転域の力強さでは同等スペックのV6エンジンには及ばない。

5速MTは変速比がショート化されているのだが、それでも4速で190km/hまで加速することができてしまう。そのため、加速性能はそれほど高くない。0-100km/h加速は7秒なのだが、0-160km/h加速には20秒近くかかってしまう。

LSDは標準装備されるのだが、ブレーキ(フロントディスクは300mm、リアは260mm)はオートカーには「衝撃的というよりは効率的なブレーキだ」と評されている。

当然、タイプRの性格は素のアコードとはまるで違う。標準車は味気なくて平凡な印象なのに対し、タイプRは俊敏で楽しく、運転に没頭できる。ステアリングのフィードバックはインテグラより改善しており、良質なハンドリングと適度な乗り心地を両立している。結果、「日本版シエラコスワース」とも評された。

今回試乗したのは2002年式の個体だ。今の基準からしても走行安定性や敏捷性は高く、エンジンは5,500rpmを超えると見事な性能を見せてくれる。RECAROシートも非常に魅力的で、閉塞感なくしっかりとホールドしてくれる。

interior

アコードタイプRの生産終了から10年が経った2013年現在、アコードタイプRはイギリスにはわずか1,000台ちょっとしか残っていない。初期モデルは1,000ポンド程度で購入できるのだが、2001年のマイナーチェンジ以前に製造されたモデルは5速に異音問題があるので気を付けたほうがいい。修理費用は1,000ポンド程度かかってしまう。

後期型モデルは2,000ポンド程度とやや高いのだが、トランスミッションの問題はない。また、初期モデルとは違い、レギュラーガソリンを使用することもできる。ただ、いずれにしても11万kmごとにタイミングベルトの交換が必要だ。

2003年にはアコードタイプRの販売が終了している。日本仕様車にはCL7にアコードユーロRが設定されたのだが、イギリスには少数が輸入されているのみだ。ちなみにユーロRには220PSのK20A型エンジンが搭載され、6速MTが組み合わせられる。

アコードタイプRにはS2000ほどの刺激やインテグラほどの名声はないのだが、それでも優秀なドライバーズカーであることは間違いない。速いながらも実用的で、家族で使うこともできる。今やシビックタイプRにもターボチャージャーが採用されているので、1990年代や2000年代のタイプRには希少価値も出てくるだろう。アコードタイプRは当時のホンダ車の魅力がしっかりと詰まっている。


Honda Accord Type R: PH Heroes