カナダ「Driving」による新型マツダ6(2018年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


Mazda6

マツダ6(日本名: アテンザ)がミドルサイズFFセダンの中で大きなシェアを握れていないのは自動車業界の七不思議のひとつだ。内外装ともに美しく、自動車メディアはこぞってマツダ6の走行性能を褒め称えている。燃費性能や価格に問題があるわけでもない。

それでも欠点を挙げるなら、わずかに粗さの残る2.5Lの自然吸気4気筒エンジンや、硬めの乗り味、そして競合車と比べると見劣りするNVH性能は問題かもしれない。なにより、ホンダ・アコードでも、トヨタ・カムリでも、フォード・フュージョンでもないので、ブランド力に欠けている。

新型マツダ6は文字通り力をつけた車となっている。シャシも進化しているのだが、なにより注目すべきは、253PS/42.9kgf·mの2.5L 4気筒ターボエンジン(7人乗りクロスオーバーSUVのCX-9と共通)だろう。エクステリアも変更されており、インテリアはより上質になり、パフォーマンスと質感の両面で競合車を超えていくことだろう。

190PS/25.7kgf·mの自然吸気2.5Lエンジンはキャリーオーバーとなり、新たに気筒休止機能が追加された。トランスミッションは全車6速ATのみの設定となる。マニュアルトランスミッションを好む人には残念かもしれないが、カナダ仕様車には6速MTが設定されない。

マツダは車の根本的な魅力を損なうようなミスは犯さなかった。日本車メーカーがあちこちにアクセントを加えて華美に飾り立て、巨大で派手なフロントグリルを装着する一方で、嬉しいことにマツダは”魂動”デザインに忠実であり続けている。

新型マツダ6もグリルはわずかに大きくなったし、グリル内のメッシュの意匠も変更されているのだが、高級感は損なわれていないし、標準装備のアダプティブLEDヘッドランプやメッキのアクセントのおかげもあって、より凛々しい顔つきとなっている。それ以外にも、ホイール(標準は17インチで、19インチも選択できる)のデザインやリア部のデザイン(LEDテールランプおよび排気管)も変更されている。

従来モデルもインテリアは競合車と比べて十分に上質だったのだが、新型ではさらに質感が高くなっている。マツダによると、ダッシュボードで変わっていないのはステアリングと細かい部品のみだそうだ。

interior

新型のダッシュボードはドアパネルから続く水平基調のデザインとなっている。内装はシンプルかつ上質で、作りもしっかりしている。エアコン周りのメッキアクセントなど、細かい部分を見てもこだわりが見て取れる。シートも新設計で、インフォテインメントスクリーンは7インチから8インチに大型化されている。

グレード構成は単純化されている。ベースグレードは27,000ドルの「GS」で、ファブリックシート、2.5L自然吸気エンジン、17インチアルミホイール、前後シートヒーター、デュアルゾーンオートエアコン、LEDヘッドランプ、ブラインドスポットモニター(リアクロストラフィックアラート付)、スマートシティブレーキサポートなどが標準装備となる。

中間グレードが31,600ドルの「GS-L」で、ムーンルーフ、レザーシート、ステアリングヒーター、パドルシフト、ワイパーデアイサー、i-ACTIVSENSE各種装備(全車速対応アダプティブクルーズコントロール、歩行者探知機能付衝突回避システム、車線逸脱警報、レーンキープアシスト、車間距離警報、オートハイビーム)が追加装備される。2.5Lターボエンジンを選択する場合は追加で2,000ドル必要となる。

上級グレードとなるのが35,800ドルの「GT」で、全車ターボエンジンを搭載し、19インチアルミホイール、ナビゲーションシステム、自動防眩ミラー、フロントシートベンチレーター、BOSEオーディオ、ヘッドアップディスプレイ、シリウスXMラジオなどが追加装備される。

最上級グレードは38,800ドルの「Signature」で、ほぼフル装備となり、もはや高級車の領域にまで至っている。インテリアにはナッパレザーとサテンウッドが使われ、ダッシュボード下部およびドアパネルにはウルトラスエードが採用されている。他にも360度モニターや前後パーキングセンサーなどが標準装備される。

今回は2.5Lの自然吸気エンジンを搭載する「GS-L」と2.5Lターボエンジンを搭載する最上級グレード「Signature」に試乗した。自然吸気エンジンでも十分な性能なのだが、ターボエンジンのほうが静かだし、滑らかだし、なにより速かった。ターボラグも存在しない。

バーノン郊外のワインディングロードではマツダ6の走行性能の高さが光った。マツダのキャッチコピー”Driving Matters”に恥じぬよう、ダンパー、ブッシュ、ステアリングギア、サブフレーム、サスペンションジオメトリーなど、多くの部分が変更されているそうだ。

rear

電動パワーステアリングは正確で重さもちょうど良く、前輪からの適度なフィードバックが伝わってきた。グリップ性能、応答性、操作性のすべてが優れており、自信を持って運転することができる。パドルシフトを操作した際のトランスミッションの応答性も良好だ。マツダ6はワインディングロードを楽しむことのできる車だった。

マツダのG-ベクタリングコントロールがコーナリング時にエンジンのトルクを抑えることで、コーナリング性能がわずかに向上している。減速方向の力が働くことで前輪に荷重がかかり、グリップ性能が向上してターンイン時の応答性が改善する。ただ、この技術は運転していてもなかなか実感が湧きづらい。

エルゴノミクスは良好で、ドライビングポジションも適切だし、メーター類も見やすく(「Signature」ではデジタル化されている)、エアコンの操作系も合理的だ。

ただし、マツダコネクトに関してはあまり好きにはなれなかった。中央のダイヤルを使って大半の操作を行うのだが、使っているとややこしさを感じる場面が多々あった。現時点でApple CarPlayやAndroid Autoには対応していないのだが、2018年中には対応するそうだ。

NVH性能の向上にも力が入っている。フロントおよびフロントサイドガラスが厚くなり、ドアの密閉性も高くなり、フロア板もより厚くなり、遮音材も多数追加されている。また、風切り音低減のためにドアミラーやワイパーのデザインも変更されている。結果、車内は非常に静かになった。ただ、乗り心地を重視するなら17インチホイールを選択したほうがいいだろう。

消費者がクロスオーバーSUVに目を向けるようになり、ファミリーセダンの需要はどんどん減っている。マツダは比較的小さな自動車メーカーなのだが、フラッグシップセダンであるマツダ6の改良に苦心し、ターボエンジンの追加や質感の向上などによって商品力を着実に高めている。運転することが楽しくなる走行性能や圧倒的な高級感を持つ新型マツダ6はかなり魅力的な車に仕上がっている。


First Drive: 2018 Mazda6