英国「Auto Express」によるポルシェ・911カレラTの試乗レポートを日本語で紹介します。


Carrera T

ポルシェはカレラTによって911にかつての魅力を取り戻そうとしている。カレラTはエンジンの出力自体は標準車と変わらないのだが、代わりに軽量化に力を注ぐことでパフォーマンスを向上している。これはポルシェが長らく続けて伝統の手法であり、必然、期待も高まる。

カレラTはパワフルなカレラSではなく無印のカレラをベースとしており、カレラと共通の最高出力370PSの3.0L水平対向6気筒エンジンが搭載され、トランスミッションは7速MTもしくは7速PDKから選択できる。

0-100km/h加速はPDKモデルのほうが速く、4.2秒を記録し、一方でMT車は4.5秒を記録する。それでも、より軽量なMTモデルのほうがTの信念には合っているし、MTモデルにはPDKモデルには設定されないLSDも装備される。

ポルシェはカレラTが具体的にどれくらい軽量化されているかについては明かしておらず、あくまで「同等スペックのカレラよりも20kg軽い」と公言するのみに留まっている。しかも、カタログの数値だけで比べると差は5kg程度しかない。劇的な軽量化とは言い難いし、1,500kg近い車重を考えるとなおさらだ。

軽量化の一環として、リアウインドウおよびリアサイドガラスに軽量ガラスが採用され、リアシートが撤去され(ただし追加費用を払えばシートを取り戻すことができる)、遮音材が一部省略されている。エンジン音だけ聴いていられれば満足という人のために、オーディオやナビを一切装備しないという選択肢も存在する。

スペック表を見るとカレラとの違いがよりはっきりする。カレラTにはPASMスポーツサスペンションが装備され、地上高は20mm低くなっている。LSDもPASMスポーツサスペンションもカレラでは選択できず、より高価なカレラSからの設定となっている。

カレラTにはオプションとしてアクティブリアステア(カレラSにオプション設定される)も設定され、カレラではオプション設定のスポーツエグゾーストは標準装備となっている。装備については複雑で分かりづらいのだが、代わりにオプションの選択肢は広く、自分に合ったスペックのポルシェを選ぶことができる。

rear

カレラTにはカレラよりもややアグレッシヴなフロントバンパーやグレーの20インチホイールおよびドアミラーが装備されるため、カレラより凄みを感じられる。ドアやエンジンカバーには「Carrera T」の文字が刻まれている。インテリアではシートに専用のファブリックのアクセントが入っており、短くなったシフトレバーには赤いシフトパターン表示が入る。

カレラTの室内は標準車と比べるとわずかにうるさいのだが(主に排気音の違いによるものだ)、その差はそれほど大きくない。それに、正直なことを言ってしまうと、重量の差もそれほどは感じられない。

ギアはわずかにショート化されているのだが、実際に運転してみると顕著な違いはない。結局のところ、カレラTは装備が変更され、よりシャープになった911カレラだ。なので、運転していて非常に楽しい。

ターボエンジンは公道には十分以上のパフォーマンスを発揮し、そのフィールはグランドツアラーというよりはまさしくスポーツカー的なものだ。シャシはどんな路面だろうと動じない強固さを持ち、ステアリングは正確でコーナリンググリップも強力だ。カレラTのセッティングは扱いやすく、スタビリティコントロールのおかげでコントロールを失うことなく自由度の高い走りを楽しむことができる。

7速MTは特別優秀なわけではないのだが、十分にダイレクトだし、エンジンもターボとはいえレッドラインまでしっかり回すことができる。扱いやすく、(2人での使用なら)実用性も高いし、長距離の移動を快適にこなすこともできる。しかしながら、「優れた車」と「名車」を隔てる何かが欠けているように思う。

85,576ポンドという価格は標準のカレラ(77,891ポンド)より高く、よりパワフルな420PSのカレラS(87,335ポンド)との差は少ない。カレラSの装備をカレラT並にするともう少し高くなるのだが、価格差を考えるとカレラSも魅力的に思える。

カレラTには専用の外装パーツも奢られているのだが、あくまでも普通の市販車であり、生産台数が限定されているわけではない。


New Porsche 911 Carrera T 2018 review