Amazonプライム・ビデオで配信中の自動車番組「The Grand Tour」でおなじみのリチャード・ハモンドが英「Mirror」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、2015年に書かれたランドローバー・レンジローバースポーツSVRのレビューです。


Range Rover Sport SVR

今年の元日、僕はランチのために家から近くのホテルまで14人もの人を車で送迎した。バスを借りることはせず、ランドローバー2台だけで送迎を行った。その際に使用したのが、7人乗りのディフェンダーと同じく7人乗りのディスカバリーだ。

ディスカバリーのほうは欠点も多いし、妻が学校の送迎用に使っているので車内が女性的になっているのだが、僕はどちらの車も気に入っている。

残念ながら、今回借りたレンジローバースポーツSVRは大人4人もしくは大人4人と子供1人しか乗せられない。その代わり、この車はニュルブルクリンクを8分14秒で走ることができる。これはSUV史上最速のラップタイムだ。それに何の意味があるのかはよく分からないのだが、いずれにしても凄いことは確かだ。

レンジローバーSVRを生み出したのはジャガー・ランドローバーのスペシャルビークルオペレーションズ(SVO)部門だ。ジャガー・ランドローバーはBMWやメルセデスがMやAMGで稼いでいることを羨んだのだろう。93,450ポンドという価格を考えると、レンジローバースポーツSVRもかなり稼げる車になっているはずだ。

搭載されるのはお馴染みのスーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンなのだが、最高出力は550PSまで増加している。0-100km/h加速は4.7秒でこなし、標準のレンジローバースポーツのスーパーチャージャー付きモデルと比べるとおよそ0.5秒速い。

rear

速さの秘密はエンジンだけではなく、専用設計の8速ATも寄与している。これにより、低速ギアでより大きなトルクを発揮することができるようになっている。

車内へと乗り込むと、刺繍の施された美しいレザーシートに迎えられる。リアの中央席は子供もしくは超スリムなバレエダンサー用としか思えないほどに狭い。実用性は壊滅的なのだが、少なくとも見た目は特別感や高級感がある。

エクステリアも同様に上質だ。標準のホイールは21インチなのだが、試乗車にはオプションの22インチホイールが装備されていた。タイヤは非常に幅広なので、ホイールアーチ部分には小さなエクステンションが付いている。

パフォーマンスが向上しているうえ、車重は2.3トンと非常に重いのだが、ブレーキ自体は標準車と共通だ。フロントブレーキをホイール越しに覗くと、ブレーキキャリパーの部分にカーボンファイバー製の羽根が付いていることに気付く。これはキャリパーに空気を送って冷却するためのものだ。

前後バンパーはSVR専用デザインであり、サイドのプロテクターやエグゾーストも専用品だ。SVRの排気音は素晴らしく、ボタン操作で排気管内のフラップを開けると、排気音は一層官能的になる。

interior

言うまでもなく、SVRはとてつもなく速い。そして、その速さを実現するためにサスペンションにはしっかりと手が入っており、エアサスペンションは標準車より硬いセッティングとなっている。

結果、巨大SUVとしては異例なほどに優れたハンドリングを実現しているのだが、その代わり、標準車にある快適性は失われている。ほとんどの人間にとっては、サーキットでの速さより快適性のほうが重要なはずだ。

SVRは標準のレンジローバースポーツの最上級グレードよりも1万ポンドほど高い。パフォーマンスの高さや追加装備内容を考慮すると、この価格はそれほど高いわけではない。

速くて恰好良い、特別なレンジローバースポーツが欲しいなら、この車を選んで間違いはないだろう。ただし、人をたくさん乗せられる万能なSUVが欲しいなら、標準のレンジローバースポーツを選んだほうがいい。


Range Rover Sport SVR 4x4 review by Richard Hammond: Gear up to play extreme sport