米国「Automobile」によるビュイック・リーガルGSの試乗レポートを日本語で紹介します。


Regal GS

アトランタ北部の丘陵地帯の風景はボブ・ロスの絵画のように魅力的だ。そこは道も良く、運転を楽しむことができる場所だ。今回我々はそこで新型ビュイック・リーガルGSに試乗した。

リーガルはプロポーションが整っており、ボディには個性的なプレスラインも入っていて、GSは専用の前後デザインや19インチホイール、ブレンボ製ブレーキなどにより標準モデルとも差別化されている。リーガルGSはアメリカ南東部によく似合う車だ。

リーガルに搭載されるのはGM製の歴史の長い3.6L V6エンジンで、最高出力314PS、最大トルク39.0kgf·mを発揮する。トランスミッションは比較的設計の新しい9速ATで、変速は早いし、変速のタイミングも適切だ。この組み合わせによりスムーズな加速が実現しており、四輪にリニアにパワーが送られる。トルクベクタリング機能付きのツインクラッチリアディファレンシャルはステーションワゴン版であるリーガル TourXに使われるものに類似している。

リーガルGSには3種類のドライブモードが設定されている。デフォルトのモードでは快適性や経済性を重視した走りとなる。スポーツモードにするとステアリングが重くなり、変速もクイックになり、4WDシステムは後輪への駆動力を増加させ、サスペンションも硬くなる。3番目のモードであるGSモードではギアがホールドされるようになり、ステアリングはさらに重くなって、サスペンションもさらに硬くなる。

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走りは比較的アグレッシヴなのだが、ステアリングの重さに疲れるようなことはなかった。特にデフォルトモードは非常に優秀で、難しい山道でも問題なく走ることが出きた。

試乗日にはアトランタ・モータースポーツ・パークにも立ち寄り、駐車場でいくつかテストを行った。そこではスラローム走行(前進・後退)、加速テスト、制動テスト、180度スピンターンを行った。タイヤの空気圧はやや高めの50psiだったのだが、グリップ性能や操作性は高く、制動性能も高かった。

標準モデルであるリーガル スポーツバックとは違い、ContiSilentのロゴが入ったProContactの代わりにオールシーズンスポーツタイヤを履いているのだが、スポーツバックにあった快適性や静粛性はほとんどそのまま継承しており、かつよりスポーティーになっている。昔ながらの3ボックススタイルではなく、遮音性能的には不利なリフトバックスタイルをとっているのだが、高速域でも会話をするのは容易だ。

アイドリングストップ機能をオフにすることはできないのだが、チーフエンジニアのマーティン・ヘイズ氏いわく、この機能はしっかりチューニングされているそうだ。特に注目すべきは「ドライブスルーアルゴリズム」だそうだ。これにより、エンジンの停止後に11km/hを超えないと、再度アイドリングストップが作動することはないらしい。今回は街中でも運転したのだが、実際、渋滞時に不快に感じることはなかった。

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リーガルGSは安全装備も充実している。試乗車にはオプションのドライバーコンフィデンスパッケージが付いていた。このパッケージにはアダプティブクルーズコントロールや車線逸脱警報、衝突警報および自動ブレーキが含まれる。ほかにヘッドアップディスプレイも装備されており、これはサングラスを装着した状態でも読みやすかった。

価格は39,070ドルからで、パフォーマンスと先進技術の両立を求めている人にとってはかなりコストパフォーマンスの高い車と言えそうだ。試乗車は諸費用込みで44,110ドルだったのだが、これでもアキュラ・TLA Aスペックよりは1,000ドル以上安い。IS Fスポーツ AWD(47,825ドル)との価格差はさらに大きい。リーガルGSはこの2台よりもパワーがあるだけではなく、装備内容もかなり充実している。

最近のビュイックの主力車種はクロスオーバーSUVへと移り変わりつつあるのだが、新型リーガルGSは実力派のスポーツセダンであり、高速道路を快適かつ静粛に移動することもできれば、山道を楽しく走らせることもできる。


First Drive: 2018 Buick Regal GS