Amazonプライム・ビデオで配信中の自動車番組「The Grand Tour」でおなじみのリチャード・ハモンドが英「Mirror」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、2013年に書かれたランドローバー・レンジローバー TDV6 のレビューです。


Range Rover

新しいレンジローバーは実に4世代目のモデルだ。しかしながら、それぞれのモデルで開発時のランドローバーの親会社は違う。

初代レンジローバーが登場した1970年当時、レンジローバーを製造していたのはブリティッシュ・レイランドだった。2代目はBMW傘下の頃のレンジローバーが製造し、3代目はフォードの主導により開発された。そしてこの最新のレンジローバーはインドの大企業タタ傘下の今のランドローバーが作っている。

どの世代のレンジローバーも優秀で、世代を追うごとに豪華になっている。僕も何年かレンジローバーを所有していたことがある。僕が持っていたのはフォード時代のレンジローバーで、数年落ちの走行距離の短い中古のガソリンV8モデルを25,000ポンド未満で購入した。レンジローバーの値落ちは激しく、特に燃費の悪いガソリンモデルのリセールバリューは急落する。

今回はディーゼルエンジンを搭載するレンジローバー オートバイオグラフィー TDV6に試乗した。オートバイオグラフィーはレンジローバーの中でも最上級グレードであり、その下にはヴォーグSE、ヴォーグが設定される。

この試乗車と同じグレードを購入するためには口座から87,895ポンドを引き出す必要がある。しかも、これはオプションを除いた価格だ。かなり高額なので、かかる期待も大きくなる。

値札の数字だけでなく、車重の数字も莫大だ。新型レンジローバーはアルミ製のモノコックシャシを採用しており、ランドローバーいわく旧型比で最大400kgの軽量化を果たしているらしいのだが、ある自動車誌が実際に重さを計測してみたところ、旧型との重量差はほとんどなかったそうだ。

rear

残念ながら僕の所有している体重計は130kgまでしか計測できないので今回の試乗車の重さは分からない。ただ、レンジローバーの車重は平均でも2.5トンを超えるので、フォード・フィエスタ換算では2台分となる。

重いと燃費は悪くなるのだが、実際に車に乗り込んでみると燃費の悪さくらい簡単に許せてしまえそうだ。新型レンジローバーは「高級SUV」などではなく、正真正銘の「高級車」だ。競合車はポルシェ・カイエンでもトヨタ・ランドクルーザーでもなく、メルセデス・ベンツ Sクラスやマセラティ・クアトロポルテやベントレー・コンチネンタルだ。それどころか、ロールス・ロイスとさえ戦えそうだ。

運転席は本革張りで、シートヒーターやシートクーラーのみならず、マッサージ機能まで付いている。室内の質感はどこを見ても高く、偽物感のある部分は一切ない。これなら重さにも納得できる。

258PSの3.0L V6ターボディーゼルと339PSの4.4L V8ディーゼルを比べると、前者のほうが経済性は高いのだろうが、後者のほうが運転するのは楽しいだろう。さらに言えば、510PSの5.0Lスーパーチャージャー付きガソリンエンジンのほうがなお楽しいだろう。

とはいえ、V6ディーゼルも排気量は小さいながらも不足なく走ってくれる。8速ATは非常に滑らかだし、ギアの選択は常に正確だ。乗り心地も素晴らしく滑らかで、特に低速域での段差のいなしは見事だ。

9万ポンドの高級車をオフロードで走らせるような人がどれほどいるのかは分からないのだが、必要とあらば高い走破性を見せてくれる。テレインレスポンス2という先進的な電子制御システムが備わり、最低地上高は303mmと高い。

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旧型レンジローバーは水深700mmの水に入ることができたのだが、新型はエアインテークの形状を工夫することで水深900mmまで対応となっている。最近はイギリスでも洪水が頻発しているので、これは嬉しい部分だ。

荷室容量は909Lと広く、シートを畳めば2,030Lまで拡大する。上部のテールゲートだけでなく、レンジローバーのトレードマークでもあるロワーテールゲートも電動式となっている。

リアシート用のテレビ画面もオプション設定され、リアのレッグルームも拡大しているため、高級車としての実力は高い。

ベントレーやマセラティも高級SUVを投入していくつもりのようだ。それどころか、アストンマーティンすらもオフロードに向かおうと検討しているらしい。どのメーカーもレンジローバーを意識しているのだろうが、レンジローバーに勝つのはそう簡単なことではないだろう。


Richard Hammond test drive: Fourth generation Range Rover is worth the weight