英国「Auto Express」によるフォルクスワーゲン・up! GTI の試乗レポートを日本語で紹介します。


up! GTI

随分と昔、フォルクスワーゲンはゴルフGTIという車を生み出した。それ以来、世界中の自動車メーカーがGTIに追いつくために奮闘してきた。そして2018年、フォルクスワーゲンは原点回帰し、初代ゴルフGTIの精神を受け継ぐまったく新しいup! GTIという車を生み出した。

up! GTIのカタログスペックは1976年に登場した初代ゴルフGTIにそっくりだ。3気筒ターボエンジンが生み出す115PSという最高出力もそうだし(ただし最大トルクは20.4kgf·mまで向上している)、0-100km/h加速8.8秒、最高速度203km/hという数値も初代ゴルフGTIとほとんど同じだ。

up! GTIはインテリアすらも初代ゴルフGTIに似せられている。ただし、内側には先進技術もしっかりと導入されており、42年前に生まれた車よりも安全かつ快適で、そしてずっと便利になっている。

価格は3ドアモデルがわずか13,750ポンド、5ドアモデルは14,150ポンドとなり、フィアット・500 アバルト(17,816ポンド)と比べると大幅に安く、しかも、up! GTIよりも遅くて実力も劣り、装備内容も乏しいルノー・トゥインゴGT(13,390ポンド)ともそれほど変わらない。

rear

up! GTIの目玉は3気筒エンジンだ。このエンジンは楽しめるだけの十分なパフォーマンスがあり、かつ17.8km/Lという高い燃費性能も実現している。

フォルクスワーゲンはエンジンのフィールや音を可能な限りスポーティーにするために工夫を凝らしている。たとえば、オーディオシステムを使わずにエンジン音を増幅させるため、サウンドシンポーザーが装備されている。窓すらも音を反響するような設計になっている。

実際に走り出してみると、3気筒エンジンの音はしっかりと響き、実際よりも速く走っているように感じられる。こういった小型ホットハッチは主に若者向けの車なので、こういった演出は需要に合っているだろう。

ほかには、地上高が15mm低くなり、スプリングやダンパーが強化され、17インチ鋳造ホイールが装備され、ブレーキ径もわずかに大きくなり、フロントにはベンチレーテッドディスクブレーキが装備される。

トランスミッションは6速MTで、up! GTIの性質や向いている市場を考えれば適切だろう。実際、up! GTIの走りはすばしっこく、乗り心地と操作性のバランスもうまくとれており、運転は非常に楽しい。ただし、up! GTI以上にパワフルなフィアット・500 アバルトほどに楽しいわけではない。

interior

回転数を上げると小さな911のようにも感じられるのだが、低回転域から驚くほど加速してくれる。5速で2,000rpm程度でも十分に力強く、3速で4,000rpmまで回せばかなり速く感じられる。ただし、圧倒的に速いわけではない。

問題があるとすれば、シャシが少しソフトなのでロールすることもあるし、電動パワーステアリングはややフィールに欠けている。それに、山道の下りを2分ほどハードに走っただけで、フロントブレーキがフェードしてしまった。とはいえ、動力性能に過度な期待を抱かない限り、GTIは非常に楽しい小型車だ。1976年に登場した先祖ほど革新的なわけではないのだが、予想以上に実力は高かった。

室内は上質で装備も充実している。GTIらしくタータンチェックのシートが付いているのだが、ほかに不必要な装飾はない。基本的に単一グレード構成で、5インチスクリーン(iPhone連携でナビも使用できる)、Bluetoothハンズフリーフォン、Beats 6スピーカーオーディオなどが装備される。室内空間は通常のup!と変わらず、フロントは十分に広く、5人が(一応)十分座ることができる。荷室も適度なサイズで、リアシートは6:4分割可倒式だ。


New Volkswagen up! GTI 2018 review