今回は、英国「Auto Express」によるレクサス・LC500h の試乗レポートを日本語で紹介します。


LC500h

高性能なグランドツアラーにハイブリッドシステムとCVTの組合せはあまり似合いそうにない。しかし、グランドツアラーもハイブリッドカーもレクサスの得意分野なので、LC500hのような車が登場するのも当然の流れだったのだろう。

まずはこの人目を引くデザインを堪能しようじゃないか。ボディラインは非常に複雑なので、正統派の美しさとは言えない。しかし、スピンドルグリルに小さなヘッドランプ、非常に位置の低いフロントフェンダー、フローティングルーフ、立体的なテールランプなど、目を引くものはたくさんある。

2010年に登場したLFA以来、レクサスからワクワクするような車は出てこなかった。しかし、トヨタの豊田章男社長率いるLCの開発チームは、これまで見たことのないような車を生み出すことを目標にしたそうだ。

保守的な人のためにV8モデルも設定されるのだが、新しい物好きには先進的なハイブリッドモデルが受けるだろう。

CVTはこれまで、いわゆるラバーバンドフィールが欠点とされてきた。レクサス自身、CVTが完璧なトランスミッションではないことを認めている。ハイブリッドシステム開発担当の大島康嗣氏はこう話している。
私もCVT車に乗っているのですが、改善の余地はまだあると感じています。

rear

大島氏率いるチームはCVTの後方に4速ATを搭載した。これをステップ変速可能なCVTと組み合わせることで、10速ATに近い変速フィールを実現している。

レクサスはこれを「マルチステージハイブリッドシステム」と名付けている。驚くべきことに、このシステムは違和感なく作動してくれる。普通のCVTだとアクセルを踏み込んだ際に回転数が急上昇してそのまましばらく回転数が変わらないのだが、LC500hでは4速ATがシフトダウンし(10速ATで9速→6速相当)、以降の挙動も通常のATと変わらない。しかも、変速は通常のATより滑らかだ。

「変速」する前にしばらく回転数が停滞するようなこともあるのだが、室内に入ってくるエンジン音は自然で心地良い。複雑なシステムながらも、音を楽しむことができる。

0-100km/h加速はV8モデルよりもわずかに遅いだけだ。ハイブリッドシステムにより重量が増えた結果、わずかに硬くなっている感じはあるのだが、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+のどの走行モードを選んでも不快ではない。

LC500hにはグランドツアラーとして十分な速さがある。グリップは十分だし、ステアリングはフィードバックに富んでいるわけではないながらも正確だし、コーナーを跳ぶように走ることができる。

interior

今後登場するレクサスのGA-L(Global Architecture-Luxury)プラットフォーム採用車にも期待が持てそうだ。このプラットフォームは今後、新型LS、次期型GSおよびISにも採用されていく予定だ。

LCのインテリアは細部まで美しく、ドアパネルの流れるようなラインは印象的だ。しかし、エルゴノミクス的には難もある。ボタンはたくさんありすぎるし、レクサスお馴染みの使いづらいリモートタッチも健在だ。

質感は格別だし、シートは快適だ。「Sport」および「Sport+」グレードではサポート性の高いシートが装備される。「Sport」はルーフがカーボンファイバー製になり、「Sport+」にはさらにLSDや後輪操舵システム、アクティブリアウイングも装備される。


New Lexus LC 500h 2017 review