今回は、米国「Car and Driver」による特集記事「レクサスの侵攻」を日本語で紹介します。


LS400

アメリカ人の中で第二次世界大戦期に生まれた日本に対する恨みは大きく、戦後直後は日本製品を購入するアメリカ人などほとんどいなかった。当時のアメリカ人にとって、日本製品、日本車などガラクタでしかなかった。実際、その当時に限って言えば、それはある意味で事実だった。

ところがその後、アメリカと日本に差が生まれていくことになる。アメリカ人は豊かな戦後時代を歩み、富の象徴として装飾的な車を作り続けた一方で、日本人は密かに刀を磨き続けた。

最初の変化が訪れたのが1973年に起こった第一次オイルショックだ。ホンダやトヨタは燃費の良い乗用車をちゃんと開発していた。その結果、先見性のあるカリフォルニアの住人たちが節約のために日本車を購入するようになった。そして日本車が決してガラクタではないどころか、ほとんど壊れないということに気付いた。以来、西海岸には日本車が溢れるようになり、その流れはやがて東にも伝わり、古い偏見は消えていった。

日本企業は1980年代前半にも変化を経験した。当時は円安の時代だった。日本の自動車メーカーはアメリカ市場にドイツ車の半額程度で高級車を投入できるのではないかと考えた。ちなみに、当時のアメリカ製高級車の作りは粗悪だったのだが、ドイツ車と比べて圧倒的な強大なディーラーの力により安泰だと考えられていた。

ホンダの高級車ブランド、アキュラが最初に登場したのだが、戦略的にはトヨタのほうが一枚上手で、世界最高峰の高級車、メルセデス・ベンツ Sクラスに真っ向から挑む大型高級セダンを生み出した。その試みは成功した。初代LS400は見た目がSクラスにそっくりで、走りもSクラスにそっくりで、そして静粛性はSクラスよりも高かった。歴史の欠如など誰も気にしなかった。なぜなら、価格がEクラスと同等だったからだ。

そうして、ホンダの作るアキュラ、日産の作るインフィニティ、トヨタの作るレクサスは、信頼性、完成度、コストパフォーマンスの高い高級車として名を馳せることとなった。この3社には走りに対する姿勢の違いがあったのだが、どのブランドにも歴史や伝統はまるで存在しなかった。しかし、壊れないという点だけは明らかだった。これは高級車オーナーにとって非常に重要な事だ。お金だけでなく時間も節約することができる。

アキュラもインフィニティもレクサスも(特にレクサスは)ディーラーの評判が良く、車はドイツ車と違って壊れやすいわけでも高価なわけでもなかった。車に手をかけてやる必要もあまりなかった。日本の高級車の侵攻は、勤勉と努力という要素が歴史以上に重要であるということを証明した。


Luxury, Japan-Style: Revisiting the Original Lexus LS400