今回は、英国「AUTOCAR」によるフォード・フィエスタ STライン X の試乗レポートを日本語で紹介します。


Fiesta ST-Line

フォードは「STライン」がイギリスにおけるフィエスタの売り上げの5分の1を占めると予想している。STラインは通常のフィエスタと本格的ホットモデル「ST」の中間に位置するモデルだ。STラインが実際に人気を博すかどうかは、その実力によるだろう。

6月のフィエスタ登場時にヨーロッパで試乗したSTライン Xの印象は良かったのだが、その試乗は天気の良い日に舗装の滑らかなスペインの道で行っている。今回はウェールズのスノードニア国立公園の山道でSTラインに試乗し、その実力をよりつぶさに試してみることにした。

「STライン X」というグレードは上級グレード「Titanium X」の装備とSTラインの内外観を併せ持つグレードだ。実際、装備内容は充実しており、Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応の8.0インチタッチスクリーン(Xモデル以外は6.5インチとなる)、スポーツシート(レザーを使用)、STライン専用フラットボトムステアリングなども装備される。

エクステリアでは17インチホイールが標準装備となり、試乗車にはオプションの18インチホイールが装備されていた。バンパーはよりアグレッシヴなデザインとなっており、車高を低く見せるためにスカートも装備されている。

当然、素材となる素のフィエスタ自体が良くなければ話にならない。新型フィエスタは従来モデルと比べると、インテリアはかなり改善されており、デザインはかなり洗練されているし全体的な質感も向上している。ボディサイズは全長が71mm、全幅が13mm拡大しており、結果、室内空間も拡大して、リアシートのニールームは16mm増加している。

interior

安全性の向上にも力が注がれており、側面衝突の際の保護性を向上するためにBピラーとドアが強化されている。また、歩行者探知システムは暗所でも歩行者を探知できるようになった。STライン Xにはほかに、道路標識認識システムや疲労警報システム、雨滴感知式ワイパーも装備される。

STラインはスポーティーグレードとして不足ない走行性能を持ちつつも、日々の実用性は損なわないような位置のモデルとして設定されている。都市部での乗り心地は非常に良く、街中でしか乗らなければ標準モデルとの違いは見た目だけかと思ってしまう。

ダンピングは標準車よりもやや硬めになっているのだが、その違いは凹凸の激しい路面でしか体感できない。段差を踏むとタイヤが少しバタつくことがある。基本的に衝撃吸収性には優れているのだが、一方で急旋回時には標準モデルよりやや安定性が優れており、コーナリング時のロールもわずかながら抑えられている。

試乗車には3気筒EcoBoostエンジンの125PS版が搭載されており、数字以上に力強く感じられた。スロットルレスポンスの鋭さも影響しているのだろうが、中域の力強さも大きく影響している。140PS版と比べると数百rpmほど回転数を抑える傾向にあり、レッドゾーンまでの吹け上がりは劣るのだが、決して物足りなさはない。

6速MTはシフトストロークが短く、楽しく操作することができる。ヒール&トーの入力に対するエンジンの応答性も良好で、なおのこと楽しく運転することができる。

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出力は125PSと控えめなので速いわけではないのだが性能的には十分だ。本格的ホットハッチのような緊迫感溢れる走りというよりは、よりリラックスして運転することができる。それでも、飛ばしたままブレーキをかけつつコーナーへと進入すると後輪が滑ることもある。ブレーキ式のトルクベクタリングにより敏捷性が向上しているらしいのだが、運転中にそれを体感することはできず(これは褒め言葉だ)、走り味は非常に自然だ。標準装着されるミシュラン Pilot Sport 4のグリップ性能も非常に優れている。

長距離移動時には18インチタイヤが生み出すタイヤノイズが気になるかもしれない。ロードノイズはそれなりにやかましく、エンジン音はほとんど聞こえなくなる。ただ、高速域での安定性は非常に高く、運転中の疲労は少ない。シート自体の快適性も高いのだが、大柄な人はサポート性の高いシートをやや窮屈に感じるかもしれない。試乗車にはオプションのB&Oプレミアムサラウンドシステムが装備されていた。音の深さや明瞭さはかなり優秀だった。

STライン Xは万能な車なので、楽しく装備が豊富で、かつ経済性の高い車を求めている人にはぴったりだろう。競合車と比べると室内空間や荷室容量が狭く感じられるかもしれないが、インテリアの質感はかなり向上しているし、なによりシャシの出来はこのクラスとしては最高だ。

STラインの実力はかなり高いのだが、STライン Xの場合、価格が18,445ポンドとなってしまい、150PSの4気筒エンジンを搭載するセアト・イビーサFRと同じくらいの価格になってしまう。

シャシの出来の良さやインテリアの質感を考慮すればこの価格にも納得はできるのだが、競争の激しいこのカテゴリーではこの価格設定だとなかなか厳しいだろう。


Ford Fiesta ST-Line X 2017 review