今回は、英国「Auto Express」によるレクサス IS300hの試乗レポートを日本語で紹介します。


IS300h

エントリークラスの高級セダンには主に3台の選択肢がある。BMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツ Cクラス、アウディ・A4だ。いずれも素晴らしい車なのだが、最近ではこの3台ばかりが寡占する状態は終わりつつあり、レクサス・ISのような車も市場に入り込んできている。

ジャガー・XEやアルファ ロメオ・ジュリア同様、ISも他とは一風変わった高級車という立ち位置で勝負している。ISはモデル中期のマイナーチェンジを経て、フロントグリルやバンパー、ライトのデザインが変更され、よりスタイリッシュに変身している。個性派のアルファほど美しいわけではないのだが、かなり巧い変更だと思うし、特に「F Sport」のデザインはかなり良くなっている。

今回試乗したのは「Luxury」だったので、「F Sport」のようなスポーティーなバンパーやエアロパーツは装備されていなかったのだが、それでも個性的でスタイリッシュだった。そんなエクステリアと比べると、インテリアのシックさは物足りない。ただ、配置は合理的だし、質感は驚くほど高く、ISのセールスポイントと言えそうだ。

シートヒーター・クーラー付きのレザーシートを備える室内の居心地は非常に良く、ドライビングポジションもドライバーに応じて精密に合わせることができる。残念ながら、インフォテインメントシステムは従来通りセンターコンソール部にあるマウス風の小さなジョイスティックで操作しなければならず、かなり使いにくい。スクリーンは精細なのだが、操作性の悪さが足を引っ張ってしまっている。

interior

幸いにも、走りは非常に穏やかなので、そんな苛立ちを打ち消してくれる。それに、ハイブリッドパワートレインのおかげで室内は非常に静かだ。低速域ではエンジンが始動せず、電気の力だけで走る。ただ、エンジンが始動しても、この4気筒ユニットは非常に静かだし、風切り音やタイヤノイズも抑えられている。

低速域やクルージング中の静粛性は非常に高いのだが、加速中はややうるさい。CVTは基本的に問題なく動いてくれるのだが、アクセルを踏み込むと回転数が急上昇してしまう。室内にはフェイクのエンジン音が聞こえるようになっているのだが、それもスポーティーというよりは単に騒々しいだけで、それに加速性能もディーゼルエンジンを搭載するドイツの競合車と比べると劣る。

とはいえ、エンジンの最大トルクは22.5kgf·mで、モーターの最大トルクは30.6kgf·mなので、決して力不足というわけではない。IS200tも従来通り設定されるのだが、速さはハイブリッドとさほど変わらないし、燃費はハイブリッドより悪い。レクサスによると、IS200tはISの販売のわずか10%を占めるのみだそうだ。

ISのステアリングはクイックで、ステアリングのサイズや重さも適度だ。フィールに富んでいるわけではないのだが、十分楽しく運転することができる。コーナリング時のロールもあまりないし、3シリーズと互角とまでは言えないものの、予想以上に走行性能は良好だった。

rear

パワートレインの完成度は特別高いとは言いがたいのだが(特にバッテリーのせいで車重がかさんでしまっている)、ディーゼルエンジンを搭載する競合車と比較すると、税金面では有利となる。カタログ燃費は23.3km/Lで、320dの22.7km/Lを超えているし、17インチホイール装着車のCO2排出量は101g/kmなので、こちらを選択すればさらに税額を抑えることができる。しかも、低級グレードだと100g/kmの壁を破っているモデルも存在する。

バッテリーのせいで荷室も圧迫されており、トランク容量は450Lと3シリーズの480Lにも劣るのだが、それでも大きく離されてしまっているわけではない。リアシートは3シリーズより狭いし、ヘッドルームは背の高い人が乗ると不足するだろう。フロントシートは巨大なのだが、そのせいでリアシートのレッグルームが犠牲になっているというよりは、大きなセンタートンネルのほうがずっと問題だ。

レクサスは見た目も個性的だし、税金面で有利なので社用にも向いているだろう。IS300h Luxuryの価格は34,495ポンドで、BMWやメルセデスとそれほど変わらない。装備内容は非常に豊富なのだが、我々ならよりコストパフォーマンスの高いIS300h Advanceを選ぶだろう。事実、これが最量販グレードになると予想されている。


New Lexus IS facelift 2017 review