今回は、英国「Auto Express」による BBR マツダ・MX-5 ターボの試乗レポートを日本語で紹介します。


BBR MX-5

MX-5(日本名: ロードスター)は評価に値するスポーツカーだ。見た目は精悍だし、個性もあり、運転も楽しく、ボディが小さいのでイギリスの狭いワインディングロードにぴったりな車だ。

MX-5に搭載される自然吸気エンジンも気に入っている。このエンジンにはノンターボらしい応答性やダイレクト感がある。ただ、MX-5は価格設定こそホットハッチと同等なのだが、パフォーマンスに関してはフォード・フォーカスRSの足元にも及ばない。

そこに目をつけたイギリスのチューナー、BBRはMX-5用のターボキットを開発した。ブラックリーに拠点を置くBBRという企業は1980年代からMX-5のチューニングを行い、MX-5用のターボキットの開発を続けてきた。BBRはイギリスでは有名なチューナーであり、新型MX-5用のターボキットにも注目が集まっている。

「ステージ1」ターボキットは4,995ポンドとなる。このキットには2014年から製造されているツインスクロールターボチャージャーのほか、専用エグゾーストマニフォールド、ECUアップグレード、専用インダクションキットが含まれる。

これにより、最高出力は88PS向上して251PS、最大トルクは11.5kgf·m向上して32.6kgf·mとなっており、0-100km/h加速は約5秒を記録する。このキットは外すことも可能で、12ヶ月間の保証も付いており(最大36ヶ月間まで延長可能)、ベース車の安全装備や快適装備は変わらず使うことができる。

interior

このキットはRFにも装備することができる。MX-5の2.0Lモデルであればどのグレードをベースにすることも可能だ。今回の試乗車にはOZアルミホイールやハイグリップタイヤが装備されていたのだが、見た目を標準車とほとんど変わらない仕上がりにすることもできる。

スペックだけ見ると良さげに思えるのだが、果たして、実際はどのような走りをするのだろうか。結論から言うと、MX-5の良い部分はほとんど継承しつつ、出力向上によって爽快感がプラスされている。

ターボらしく低回転域からトルクがしっかり出るので、一般的な走行シーンで扱いやすくなっている。それに、BBRのターボチャージャーはターボであることを過剰に意識させず、この点はかなり嬉しい。

最高出力の発生回転数はノーマルのエンジンよりも高い7,150rpmであり、出力特性も非常に自然だ。低回転域で力強いばかりでなく、レッドゾーンまで回すのも楽しいし、専用エグゾーストのおかげで音も良い。

当然、出力が高く、車重も軽いため、パワーウェイトレシオはロータス・エリーゼのエントリーモデルよりも優れている(MX-5ターボのパワーウェイトレシオは4.23kg/PS、エリーゼのパワーウェイトレシオは5.87kg/PS)。しかも、MX-5ターボは最上級グレードをベースとしたモデルでもエリーゼよりは安い。

rear

運転していて速さに不満を抱くことはないし、飛ばすほどに走りが研ぎ澄まされていく。ロータスやケータハムのような本格スポーツカー同様、グリップの限界を極めるような走りをするのだが、車の状況が手に取るように理解できるので、不安など抱かずに車を操ることが可能だ。

マニュアルトランスミッションはベース車同様に魅力的で、ハードな運転をしても高揚感が得られる。試乗車はサスペンションとブレーキも強化されており、このせいで乗り心地は若干悪化していたのだが、その代わり、コーナリング性能はかなり改善している。

フロントエンドは鋭くターンインするし、パワーが増えているのでラインの修正もやりやすくなっている。それに、パワーが増加したといっても、扱いきれないほどではない。ステージ1キットは制限速度のある公道に適した性能となっている。

実用面でも心配は無用だ。唯一、クラッチの重さは街中で運転していると気になるのだが、インテリアはベース車と変わらず、ナビやDABラジオやクルーズコントロールも共通だし、快適なシートもそのまま使われている。排気音は高速道路だとノーマル車よりもわずかにうるさい程度だ。


BBR Mazda MX-5 Turbo 2017 review