今回は、英国「Auto Express」によるアウディ RS3サルーン(日本名: RS3セダン)の試乗レポートを日本語で紹介します。


RS3 Saloon

ハッチバックにはどれだけの馬力を詰め込むことができるのだろうか。2011年に登場した初代RS3は340PSと非常にパワフルだったのだが、4年後に登場した新型RS3は最高出力がなんと367PSまで向上している。

しかし、メルセデスはさらにパワフルな371PSのメルセデスAMG A45を生み出した。アウディはそれに対抗するように、より軽量で速く、そしてパワフルになったRS3を2017年に登場させた。

2017年夏に登場した新型RS3には2種類のボディスタイルが用意されている。従来通りの5ドアハッチバックに加えて、より流麗な4ドアセダンが初めて追加された。

最高出力はメルセデスよりも19PS多い400PSで、実際、加速性能もメルセデスより優れている。0-100km/h加速は公称値4.1秒で、従来型RS3より0.2秒速く、メルセデスより0.1秒速い。

新設計のアルミ製クランクケース、アルミ製オイルポンプ、軽量プーリー、マグネシウム製アッパーオイルパンが採用され、5気筒エンジンの設計も刷新されたことで、従来型よりも26kgの軽量化を果たしている。操作性を向上させるため、前後トレッドはいずれも拡大されており、サスペンションも強化されている。

rear

その結果、低い回転数から暴力的に加速し、1,500rpm以上では物足りなさを感じることがない。7速DCTは従来通り滑らかだし、変速は瞬時に行われる。

試乗車にはオプションの排気システムが付いていたため、排気音を増加させることもできた。しかし、標準の排気システムにも可変バルブが付いており、ダイナミックモードにすると排気音が大きくなる。この排気音には中毒性があり、飛ばすと暴力的な音を響かせる。

砂をかぶったオマーンの道路で運転すると振動が気になったのだが、雨の多いイギリスで乗るなら、定評あるクワトロ4WDシステムのおかげでグリップが確保され、安心して運転することができるだろう。新型RS3は後輪に駆動力を100%送ることも可能になっており、改良されたESPシステムのおかげもあって非常に楽しい車に仕上がっている。運転する楽しさではBMW M2には依然として敵わないのだが、舗装の悪いイギリスの田舎道ならアウディのほうが速く走れるだろう。

ステアリングの重さは適度だし、十分に正確なのだが、オーバースピードでコーナーに突っ込むとアンダーステアを呈してしまう。とはいえ、操作性は素晴らしく、コーナリング中にロールを感じることもなかった。試乗車に装備されていたカーボンセラミックブレーキは踏みはじめにやや効きすぎる感じはあったものの、制動力は強力だった。

これまでのRS3は、純血のスポーツカーでありながら、実用性も兼ね備えていた。新型RS3セダンも、TT RSと同等の性能を有しながら、実用に耐えるリアシートと390Lのトランクを兼ね備えている。高速域における快適性も高いし、インテリアは質感も高く遮音もしっかりしている。ただし、舗装の悪い高速道路を走ると、19インチタイヤが生み出す騒音は少し気になる。

interior

RS3の問題点は価格と維持費だ。価格はまだ発表されていないのだが、45,000ポンド程度と予想されている。カタログ燃費は12.0km/Lなので、2.0L 4気筒エンジンを搭載するメルセデスAMG A45(カタログ燃費14.5km/L)よりガソリン代は高くつくだろう。

標準のA3は2016年にマイナーチェンジを受けており、RS3のデザインもマイナーチェンジ後モデルのA3をベースとしている。フロントバンパーや楕円形の排気管はRS3スポーツバックと共通だ。

レザーとアルカンターラが使われたインテリアのデザインは完成度が非常に高い。インテリアレイアウトだけ見るとメルセデスAMG A45より魅力的だし、安価なフォード・フォーカスRSでは勝負にすらならない。アウディの「バーチャルコックピット」は標準装備で、エアコンやインフォテインメントシステムの操作系は直感的に扱うことができるし、ちゃんと手の届く場所に配置されている。


New Audi RS 3 Saloon 2017 review