今回は、英国「The Sunday Times」による新型フォード・フィエスタ 1.0 EcoBoostの試乗レポートを日本語で紹介します。


Fiesta

庶民派コンパクトカー、フォード・フィエスタの人気ぶりから判断すると、フィエスタという車は数多くのイギリス人のライフスタイルに合っているのだろう。若者が免許を取って最初に所有する車としても、子供のいる家族の車としても、中年の危機を乗り越えた人の車としても、年金受給者の最後の車としても選ばれている。

1976年の登場以来、フィエスタは浮き沈みの激しい歴史を刻んできた。先代モデル(Mk 6)は名車と言えるほどの出来だったのだが、1989年から1997年まで販売された3代目フィエスタは残念な車だった。

2017年7月に発売された7代目フィエスタには、従来モデルからさらに進化するという使命がある。フォードいわく、新型フィエスタは大きな進化を遂げているそうだ。コンパクトカーの中でも安価な部類に入るにもかかわらず、自動で駐車してくれるし、車の前に子供が飛び出してきたら自動でブレーキをかけてくれるし、注意力が散漫になっても車線の内側に車を維持してくれるし、「コーヒーが飲みたい」といった言葉に反応してくれるし、B&O Playサウンドシステムで曲を楽しむこともできる。

ラインアップは従来モデルと同じくらいに豊富に用意されている。経済的なガソリンモデルやディーゼルモデル、スポーティーなホットハッチの「ST」、さらには、高級志向のサブブランド「Vignale」の名前を冠するモデルまで用意される。最も安い1.1Lガソリンエンジンを搭載する3ドアの「Style」は12,715ポンドで、最も高価な1.5Lディーゼルエンジンを搭載する5ドアの「Vignale」は21,225ポンドとなる。

フィエスタはイギリスで確固たる人気を得ているのだが、競合車の存在も決して無視はできない。ミニやフォルクスワーゲン・ポロは実力派の手強いライバルだ。それ以外にも、シトロエン・C3、キア・リオ、ヒュンダイ・i20、セアト・イビーサ、トヨタ・ヤリス(日本名: ヴィッツ)などとも競合する。

そんな状況でありながら、新型フィエスタのデザインが従来ほど良くない点は気になるところだ。旧型フィエスタは菓子屋に並ぶトブラローネのごとく街中で存在感を発していた。しかし、新型フィエスタはまるでプライベートブランドの低価格チョコレートのごとく地味だ。

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フォードはこのような失敗を繰り返してきた。初代フォーカスが2代目にモデルチェンジすると、まるで段ボール箱のような退屈なデザインになってしまった。最新型のS-MAXにも同じようなことが起きている。

インテリアに目を向けても目を引くものはない。デザイン自体はスマートなのだが、ステアリングのバッジを隠した状態で、目隠しをしたまま車に乗せられ、車内で目隠しを取られ、これは何の車だと問われたとしても、きっと誰にも答えは分からないだろう。ミニのドライバーに見せたら酷いインテリアだと感じるかもしれない。

それに、インテリア各所には安っぽいプラスチックが使われている。韓国メーカーがシェアを伸ばしている状況でこんなインテリアの車を作るのは危険だ。シートは小さくて残念だし、タッチスクリーンの向きはおかしく、まるで左ハンドル仕様と共通であるかのようだ。それから、パノラミックサンルーフの装備を検討している人に忠告がある。メッシュのブラインドは日光をまったく遮ってくれないので、車内では帽子が必須となる。

それでも、シートが小さくなっているとはいえ、快適な車であることは間違いない。ドライビングポジションは適切だし、タッチスクリーンのグラフィックは見やすいし、フォードのSync 3システムはかなり改善しているし、前席には開放感がある。リアシートに座らなければ小型車に乗っているという感じはしない。平均的身長の大人がリアシートに乗ると天井に髪が当たってしまう。荷室容量は292Lで、このクラスでは平均的な値だ。

おそらく、フィエスタの最大の魅力はその走りにあるだろう。新型モデルも例外ではない。走る楽しさはライバルにある程度の差をつけてクラス最高だ。ちょっとした移動でも笑顔になってしまう。車が大して好きでない人でもどういうわけか楽しめてしまう。

今回は1LのEcoBoost 3気筒ガソリンターボエンジン搭載車に試乗した。最高出力は99PSと、スペック的には大した数字ではない。しかし、実際に運転すると十分に力強く、快活な性格なので、高速道路でも不満なく走ることができる。このエンジンにはより高出力なバージョンも存在するのだが、正直なことを言うと、これでも大半のドライバーには十分だろう。なにより、今回の試乗では実燃費18km/Lを記録した。

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フィエスタを運転するのは、まるで大好きな友人と一緒に飲むようなものだ。確実に楽しい時間を過ごすことができる。

ステアリングやサスペンションの出来はフェラーリやポルシェにすら道を示すことができるレベルにある。フィエスタと同等の正確さや緻密さを持つ車はあらゆる価格帯で探してもほとんどない。

高速道路を6時間運転しても、安心して、快適に、そしてリラックスして運転することができた。フィエスタ以外のライバル車で同じことをしたら、きっと目的地で倒れ込んでしまうだろう。走りだけで評価するなら、新型も大成功作と言えるだろう。

しかし、競争は日に日に激しくなっている。ライバル車も進化を続けている。それに、旧型モデルに存在した陽気さが、新型では一部失われてしまっている。新型フィエスタが競合車以上に消費者の心を掴めるかどうかは、時が経てば分かるだろう。


Ford Fiesta Mk 7 review (2017 on)