今回は、英国「Auto Express」によるポルシェ・ケイマンGT4の試乗レポートを日本語で紹介します。


Cayman GT4

数年前まで、ドライバーのために作られた本気のポルシェが欲しいなら、911 GT3を選ぶほかなかった。GT3が良い車なのは今でも変わらないのだが、今のGT3にはデュアルクラッチトランスミッションのPDKを搭載するモデルしか存在しない。3ペダルのMT車を求める人はさらに下のモデルに目を向け、基本に立ち返る必要がある。

しかし、それも悪いことではない。64,451ポンドのポルシェ・ケイマンGT4はMTしか設定されない崇高な2シータースポーツカーだ。一見、GT4はただの特別仕様車のように思える。しかし、911カレラSと共通の385PS 3.8Lフラットシックスエンジンを搭載し、GT3のコンポーネンツを用いた専用サスペンションを装備し、モータースポーツ部門が開発した本格的エアロパーツを装着するGT4は、単なる特別仕様車以上の存在だ。

GT4はポルシェが今ある資源を厳選して生み出したマシンだ。それだけで実力の高さは予想できてしまう。フィールも、安定性も、刃のように鋭い応答性も、驚くべき万能性も、どれもシャシのおかげだ。

非常にトリッキーなミシュランタイヤを履いているためグリップは絶大で、GT3 RSのような小径ステアリングを操作すればGT4を完璧に扱うことができる。

rear

サスペンションは硬く、オプションのカーボンファイバーバケットシート(918スパイダーと共通)を装着すると少し揺すられてしまうのだが、ダンパーが優秀なので接地性はしっかり保たれ、驚くような速度で正確にコーナーを抜けることができてしまう。

ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステムは標準で装備され、これを作動させることでシャシをより強固にすることができる。このシステムは舗装の良い道やサーキットで本領を発揮する。アダプティブダンパーのおかげで操作性は別次元にまで昇華する。車に何が起こっているのかが手に取るように分かるようになり、豊かなフィードバックのおかげでドライバーに自信が生まれ、とんでもないスピードで走ることができてしまう。

それでも、ミッドシップのポルシェから最大限の実力を引き出すのは簡単なことではない。6速MTを自分の手で操作して、自分の手で車の実力を引き出さなければならないからだ。

ケイマンGTSと比べると、シフトレバーの長さは20mm短くなり、シフトストロークも短くなっている。ギアもしっかり入ってくれるので、自信を持ってギアチェンジすることが可能だ。変速感覚は美しいとしか言いようがない。ただし、GT4には他のケイマンと同じ問題がある。ギア比がややロングすぎる。

interior

GT4は2速で130km/hまで出すことができてしまう。GT4は1,349kgと軽量だし、最高出力は385PSもあるのだが、ギア比のせいで思ったほど力強くは感じられない。ただし、音の迫力は十分にある。

それでもパフォーマンスは十分にある。0-100km/h加速は4.4秒で、巨大なフロントスプリッターやリアウイングが付いているにもかかわらず、最高速度は295km/hを記録する。それでも、シャシが優秀すぎるがゆえに、エンジンの普通さが際立ってしまう。100,540ポンドの911 GT3に搭載されるモータースポーツの血が流れるエンジンと比べるとなおさらだ。


Porsche Cayman GT4 2015 review