今回は、英国「Auto Express」によるテスラ・モデル3の試乗レポートを日本語で紹介します。


Model 3

テスラ・モデル3には莫大な宣伝費用が費やされている。億万長者であるイーロン・マスク氏が経営するテスラだからこそ、これだけ大規模な広報活動が実現できた。

しかし、モデル3はそれだけ宣伝する価値のある車なのだろうか。今回は、カリフォルニア州にあるテスラのフリーモント工場周辺で、テスラの未来を担うであろうこの車に短時間ながら試乗することができた。

モデル3は現時点で既にグローバル合計50万台もの受注がある。イギリスにおける価格は最安モデルで35,000ポンド程度と予想される。マスク氏いわく、顧客が輸出にかかる費用を負担する必要はないらしいので、価格設定はどの国でも大きくは変わらないはずだ。ちなみに、右ハンドルモデルの製造は2019年初頭に開始される予定だ。

標準モデルの航続距離は355kmで、航続距離500kmの大容量バッテリーを選択することもできる。0-100km/h加速は標準モデルが5.6秒、大容量バッテリー搭載車が5.1秒となる。

エクステリアデザインからはモデルSやモデルXとの共通性を見て取ることができる。ラジエーターグリルが存在せず、ボディ形状が流線型なので、空力性能的には有利で、Cd値は0.23となる。

全長は4,694mm、全幅は1,849mmで、BMW 3シリーズと比べるとやや長くて幅も広い。意外なことに車重は軽く、1,610kgだ。

もし鍵を失くしても心配はいらない。モデル3は鍵を必要としない。携帯電話のBluetooth機能もしくはクレジットカード型(ルノーのクレジットカード型キーとは違い、本当にクレジットカードと同じくらいの厚さだ)のRFIDキーを使って車の解錠が可能だ。

interior

インテリアデザインは非常にミニマリスト的で、中央部には15インチのタッチスクリーンが配置されている。これはあらゆる操作に使う非常に重要なスクリーンだ。あらゆる操作というのは、文字通りあらゆる操作だ。

ミラー調節も、ステアリングのチルト・テレスコピック調節も、インフォテインメントシステムも、エアコンも、充電制御も、トランクの開閉も、すべてこのスクリーンを介して操作する。エアコン吹出口の開閉や角度変更すらもこのスクリーンで操作しなければならない。

ダッシュボードに使われている木目は非常にエレガントだ。センターコンソールやグローブボックスの収納容量もミニマリスト的だ。

ミニマリズムのテーマは他の部分でも見受けられる。一例として、室内にはドアハンドルがなく、代わりにボタンが付いている。車外からはアストンマーティン・V8ヴァンテージのようにドアハンドルの片側を押し込み、反対側から飛び出したドアハンドルを引っ張って開けるようになっている。

リアのレッグルームは広いのだが、モデルSやモデルXと比べると明らかに狭い。後席用のエアコン吹出口やUSBポートも付いている。子供がいる人にとっては嬉しいポイントだろう。リアシートは6:4分割可倒式となっており、フラットな荷室を作り出すことができる。

トランク容量は合計423Lで、荷室フロア下には広い収納スペースも用意されている。ボンネット下にもそこそこ広い荷室が存在する。ちなみに、テスラファンはこの部分をトランクと対比させて「フランク」と呼んでいる。

安価ながら、電気自動車らしい走りは健在だ。今回は短時間しか試乗できなかったのだが、モデル3の概略を掴むことはできた。どの速度からであっても、アクセルを踏み込むとシートに押し付けられるような加速を楽しむことができる。モデル3には後輪駆動車しか設定されないのだが、トラクションを失うようなこともなかった。

rear

ステアフィールも良好で、「コンフォート」、「スタンダード」、「スポーツ」の3種類のモードを選択することができる。モデル3にはエアサスペンションが装備できないのだが、乗り心地も良かった。

スピードメーターやトリップメーターも中央のスクリーンに表示されるため、慣れるのには少し時間がかかるのだが、慣れてしまえば見づらいということはない。スクリーンの左上には速度とオートパイロットの情報が表示され、走行中にその表示が消えることはない。

モデル3にはフロント6エアバッグとカーテンエアバッグが装備されており、高い安全評価を得ることになると期待されている。また、モデル3には4年/8万kmの車両保証と8年/16万kmのバッテリー保証が付いてくる。

モデル3の生産は間もなく開始されるのだが、テスラに年間50万台の製造能力が本当にあるのかは現時点では分からない。なので、予約しようと考えている人はなるべく早く予約したほうがいいだろう。

今回は短時間の試乗しかできなかったのだが、モデル3が低価格で装備の充実した電気自動車であることは確かだ。テスラがちゃんと量産体制を整えられているのであれば、テスラが電気自動車市場を支配するようになるのかもしれない。しかし、未来はまだ分からない。


New Tesla Model 3 review