今回は、英国「Auto Express」によるスバル・XVの試乗レポートを日本語で紹介します。


XV

英国市場にXVが投入されるのは2018年になる予定らしいのだが、今回、量産前のモデルに試乗することができた。旧型XVは堅牢で走りも良かったのだが、価格や快適性ではライバルに比肩できなかった。新型ではそれが改善しているそうだ。

デザインは明らかに進歩している。新型XVは非常にスタイリッシュだ。新設計フロントグリルやヘッドランプのおかげでフロントはずっとモダンな印象となっているし、サイドやリアのシャープなデザインラインのおかげでよりロー&ワイドな印象となっている。

ホイールアーチ周りのプラスチック製プロテクターや堅牢そうなアルミホイールはオフロードカーらしさを演出しているのだが、過剰な派手さはない。

インテリアも変更されているのだが、エクステリアほど大きく変わっているわけではない。よりシンプルで上質なインテリアとなっており、ソフトな素材も多く使われているのだが、刷新されたとまでは言えない。ツインスクリーンのレイアウトは変わっていないし、計器類やステアリングは旧型とほとんど変わっていない。エクステリアほどモダンな印象はないし、競合車と比べると安っぽく感じられる。

少なくとも、新設計の8インチインフォテインメントスクリーンの応答性は良くなっている。これはAndroid AutoおよびApple CarPlayに対応しており、イギリス仕様車には全車に標準装備される予定だ。ただ、シュコダ・コディアックをはじめとした欧州製の競合車と比べると見劣りする。グラフィックは古臭いし、操作も直感的ではない。

シートは大型化してより快適になり、サポート性も改善しているので、オンロードにもオフロードにも適している。センターコンソールには新たにX-MODEボタンが追加されている。これは滑りやすい路面に最適化された走行モードで、これを押すとヒルディセントコントロールが作動する。

interior

今回はオフロードコースでの試乗も行ったのだが、滑りやすい砂利の急斜面(上りも下りも)における走破性の高さには驚かされた。

スバルは自社のフルタイム4WDの性能に誇りを持っており、その実力の高さは本物だ。XVのオフロード性能はクラス最高レベルだ。ただし、このクラスのクロスオーバーSUVを購入する層は多くが2WDモデルを選び、オンロードでしか運転しない。

走破性の高さゆえに、XVは競合車よりもやや高価だ。現時点ではイギリス仕様車の正式な価格設定は発表されていないのだが、価格は旧型XVとそれほど変わらないらしい。

今回、一般公道で試乗することはできなかったのだが、その代わり、オーストリアのサーキットで運転することができた。旧型モデルの乗り味はイギリスの道を走るには少し硬かったのだが、新型の乗り心地は改善している。ロールも抑えられているし、ステアリングはある程度シャープになっている。旋回時にはコーナー内側のブレーキが作動し、ラインをトレースしやすくなっている。非常に俊敏な印象だ。マツダ・CX-5ほど運転していて楽しいわけではないのだが、それでも走りは良いと思う。

ただし、パワートレインにはあまり魅力がない。自然吸気2.0Lのボクサーエンジンは滑らかだし応答性も高いのだが、最大トルクは旧型から変わっておらず(20.0kgf·m)、最高出力は5PS向上して156PSとなっているのだが、変化は感じ取れない。最近のターボエンジンに慣れると、低回転域のトルクが物足りなく感じる。エンジンのパフォーマンスを十分に発揮するためには高回転域まで回す必要がある。

リニアトロニックはCVTの中では優秀なほうだし、新型ではより自然な印象となっているのだが、アクセルを踏み込むと回転数が急上昇してしまう。そうしないと十分な加速はできない。なので、エンジンは依然としてやかましいし、古さも感じる。

rear

普通に走っている分にはそこそこ燃費も良いのだが、経済性を重視するのであれば他のモデルを選ぶべきだろう。XVには1.6Lおよび2.0Lのガソリンエンジンしか設定されず、ディーゼルは用意されない。

室内は広々としている。荷室はやや狭いのだが、リアシートのレッグルームおよびヘッドルームは十分にあり、大人が乗っても不満は感じない。

スバルの先進安全技術「アイサイト」は標準装備となる。スバルいわく、このステレオカメラ式の安全技術は他社が採用しているミリ波レーダー式の安全技術よりも正確性が高いそうだ。

それが事実かどうか確かめる術はないのだが、いずれにしろXVにはプリクラッシュブレーキやアクティブクルーズコントロール、アクティブレーンキープ、後側方警戒支援システム、ハイビームアシストが装備される。ユーロNCAPによる試験は近日中に行われる予定なのだが、日本仕様車の衝突安全性試験の結果を見る限り、その安全性は非常に高そうだ。

新型XVは様々な点で従来モデルから進化している。オフロード性能は向上しているし、走行性能も改善し、安全性能も高くなっている。いずれも旧型オーナーにとっては喜ばしい進化だろう。ただ、新規顧客を獲得するのは難しいかもしれない。快適性やコストパフォーマンス、経済性では競合車に劣るからだ。


New Subaru XV 2018 review