今回は、英国「Auto Express」によるBMW 318iの試乗レポートを日本語で紹介します。


318i

BMW 3シリーズといえばコンパクト高級セダンの頂点に立ち続けてきたモデルなのだが、最近ではジャガーやメルセデスのライバルも実力を上げ、その優位性が揺らいできている。

2015年のマイナーチェンジでBMWは再び頂点に立つことを宣言したのだが、以前に最上級モデルである6気筒の340iに試乗した際には特別良い印象を抱いたわけではなかった。もう3シリーズが支配する世界は終わったのだと感じた。

しかし、その後、イギリスにおける最量販モデルである320d M Sportに試乗し、3シリーズに対する印象は変わった。乗り心地も運転する楽しさも改善しているように感じられた。

しかし、320dがいかに優秀なグレードだといっても、高価なディーゼルモデルは嫌だと考えている人はどうするべきなのだろうか。

そんな人達のために、BMWはエントリーモデルの318iを復活させた。例に漏れず、車名の数字は実際の排気量を表しているわけではない。318iに搭載されているのは2シリーズアクティブツアラーやミニクーパーと共通の1.5Lという小排気量の3気筒ターボエンジンだ。

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3シリーズといえば、経済的な4気筒ディーゼルエンジンと甘美な直列6気筒エンジンで有名で、そんな車に3気筒エンジンは不似合いに思えるかもしれない。しかし、BMWの試みは見事に成功している。318iは本当に楽しい車だ。

アクティブツアラー同様、最高出力136PS、最大トルク22.4kgf·mを発揮するこの3気筒エンジンは驚くほどに滑らかだ。しかも、静粛性もかなり高く、3気筒っぽい音は最高出力が発揮される4,000rpm以上でしか感じ取ることができない。

0-100km/h加速は8.9秒とされている。この数字を疑うつもりはないが、この数字を出すためにはかなり慎重なギア操作が必要になるだろう。

当然かもしれないが、320dと比べると加速時には低速ギアを頻用して高回転域までしっかり回す必要がある。これは他の3シリーズと比べると異色な特性なのだが、コンパクトハッチバックから乗り換える場合はそれほど違和感はないだろう。

6速MTはBMWらしくかっちりしている。CO2排出量は129g/kmなので減税措置が受けられる。ただし、18.2km/Lというカタログ燃費を実現するのは難しく、今回の2,000kmにわたる試乗での平均燃費はおよそ14km/Lだった。

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それ以外の問題点として、アイドリングストップが解除されて発進する際のトランスミッションやクラッチペダルを介した振動が挙げられる。それに、3気筒モデルであることを隠すために318iのエンブレムを剥がしたとしても、排気管からはアイドリング時に安っぽいガラガラ音が聞こえる。

エンジン以外に目を向けると、今回のマイナーチェンジではサスペンションが改良され、ステアリングが刷新されている。試乗車には速度に応じてステアリングの重さが変わる、オプションのサーボトロニック(85ポンド)が装備されていた。

ただ、他の3シリーズの操作性は非常にナチュラルなのだが、フロントに搭載されるエンジンが軽い318iの場合、その感覚が少し薄まっているように感じられた。

BMWは高級セダンに3気筒エンジンを搭載する先駆者となった。意外なことに実力派で経済的な3気筒ターボエンジンはそれなりに3シリーズのキャラクターと合っているように感じられた。大半の人には320dが合っているだろうし、私が自分のお金で買うとしても320dを選ぶだろう。しかし、ガソリン車が欲しいのであれば、318iを検討する価値も十分にある。


BMW 318i 2015 review