今回は、英国「Auto Express」によるメルセデス・ベンツ E220d の試乗レポートを日本語で紹介します。


E-Class

1クラス下のCクラス同様、EクラスもフラッグシップモデルのSクラス譲りの流麗で上質で経済的な車に仕上がっており、BMW 5シリーズやアウディ・A6に挑んでいく。

大型フロントグリルや長いボンネット、尻下がりのリアエンドは、他のメルセデスファミリーとの共通性を感じさせる。また、デザインの変更は実用性にも影響している。ホイールベースが従来よりも65mm延長されたため、室内は広くなっている。また、新設計の4気筒ディーゼルエンジンも搭載される。

新設計の2.0Lターボディーゼルエンジンはガラガラ音の気になった従来の2.1Lエンジンに取って代わるエンジンであり、従来よりも大きく改善している。コールドスタート時にも静かになっているし、アクセルを強く踏んでも騒音はかなり抑えられている。

V6エンジンほどの滑らかさや静粛性はないのだが、最高出力は195PSで、40.8kgf·mというトルクがわずか1,600rpmから発揮されるため、新型のE220dは従来型のE250dよりも速い。0-100km/h加速は7.3秒で、最高速度は240km/hを記録する。中回転域のトルクも十分にあるため、追い越しも容易い。

経済性も向上している。カタログ燃費は25.6km/Lで、CO2排出量は102g/kmと、A6 TDIおよび520dより7g/km少ない。ただし、Eクラスのほうが価格は2,000ポンド高い。

このディーゼルエンジンと組み合わせられるのはメルセデスの9速ATだ。このATはメルセデスの性格と合っており、クルージング中は滑らかに変速してくれる。ただし、スポーツモードやスポーツ+モードにするとBMWの8速ATに滑らかさでは劣る。とはいえ、快適性は高い。高速域でも非常に静かだ。

rear

グレードは2種類設定される。「SE」は35,935ポンドで、「AMG Line」はそれより2,495ポンド高い。いずれも装備内容は豊富で、パーキングセンサーやリアカメラ、自動駐車システム、ナビゲーションシステム、LEDヘッドランプは標準装備となる。

試乗車にはエアサスペンションも装備されていた。このサスペンションは流れるような乗り心地を実現している。コンフォートモードにすると段差を浮くように乗り越え、走りも全体的にソフトになる。「SE」には17インチホイールが標準装着されるのだが、オプションの18インチホイールを履いてもちゃんと衝撃は吸収され、舗装の悪い道も快適に運転することができる。

スポーツモードやスポーツ+モードにすると車全体が引き締まり、旋回がよりアグレッシヴになる。それでも、少しスピードを出しすぎるとすぐに限界が見えてしまう。グリップは十分にあるのだが、ステアリングフィールはほとんどないので、きっとEクラスはコンフォートモードで走るべき車なのだろう。ちなみに、エアサスペンション非装着車の走りについてはまだ確認できていない。

公平な目で見ると、実用性ではEクラスがライバル車より秀でている。全長が長いおかげで荷室容量は540Lと広く、リアのヘッドルームやレッグルームも広大だ。しかし、一番変わったのは前席だ。

Sクラスと共通性のある流麗なダッシュボードが装着されており、上質なレザーも使われているため、かなりの高級感がある。試乗車にはオプションの12.3インチワイドスクリーンディスプレイも装備されていた。

運転席の目の前にあるディスプレイには速度や回転数などの重要なデータが表示され、走行モードによって表示を変更することも可能だ。また、この画面に小さくナビ画面を表示することもできる。グラフィックも良く、Sクラスのディスプレイより先進的に思えた。

interior

アウディのバーチャルコックピット以上に魅力的で、Eクラスと比べるとA6や5シリーズが古臭く思えてしまう。Eクラスにはまだまだ数多くの先進技術が投入されている。LEDヘッドランプは非常に頭が良く、対向車に即座に反応してくれるし、デジタルビークルキーを使えばスマートフォンで解錠が可能となる。

スマートフォン関連の新技術は他にもある。リモートパーキングパイロット機能を使えば専用アプリを介して車を遠隔操作することができる。これを使えば、ドアパンチの心配をすることなく狭い駐車スペースから車を出すことができる。ただし、この機能は有償のオプションだ。

安全装備も充実している。メルセデスは自動車安全技術のパイオニアとして知られているが、Eクラスクラスには初のドライブパイロット機能が装備される。メルセデスいわく、ドライブパイロット機能は「自動運転への新たな一歩」らしい。レーダー式のクルーズコントロールと自動操舵ステアリングを使い、最高210km/hまで同一車線内での自律走行が可能なばかりでなく、道路に車線が描かれていない場合でも、他の車の後ろを追走することができる。

方向指示器を出せばアクティブレーンアシストがカメラやレーダーから得たデータをもとに自動的に車線変更をしてくれる。ただ、イギリスの法規上の問題から、この機能はイギリス仕様車には設定されない。

これまでと変わらず、Eクラスは楽々と運転できる車だ。長距離移動は快適にこなせるし、ワインディングロードを走らせたとしても、十分に操作性が高いので、安心して運転することができる。アウディやBMWも2017年中に新型モデルを出してくるのだが、少なくとも現時点では、質感や快適性、先進性、経済性では他社よりも秀でている。

目新しさのないデザインを気に入らない人もいるだろうし、ライバル車と比べると値段も高いのだが、それ相応の装備はちゃんと付いている。BMWやジャガーと比べると運転の楽しさは劣るのだが、全体的な実力は着実に上がっている。


New Mercedes E-Class 2016 review