今回は、英国「Auto Express」による、ホンダ・シビック 1.0ターボ、フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.0 TSI、ルノー・メガーヌ 1.2 TCe の比較試乗レポートを日本語で紹介します。

流行は日々刻々と変化していくものだが、コンパクトカーの人気は長らく続いている。その証拠に、最新型のホンダ・シビックは今や第10世代目となっている。
シビックには長い歴史があるのだが、新型シビックはそんな歴史にとらわれない、従来モデルとは大きく性格の違うモデルに変化している。一風変わった旧型モデルに代わり、新型シビックはより上級志向のハッチバックとなっている。また、新型シビックには最新の高効率・高出力エンジンや先進安全技術も備わっている。
しかし、伝統あるハッチバックはなにもシビックばかりではない。フォルクスワーゲン・ゴルフには7世代、40年の歴史がある。そんなゴルフの7代目は先日マイナーチェンジを行い、装備内容やエンジンラインアップ、グレード構成を刷新している。
一方、4代目となるルノー・メガーヌは比較的新しいハッチバックだ。しかしながら、デザイン、快適性、技術などを見ても、その実力は高い。ハッチバックには100年近い歴史があるのだが、果たして今回の比較で勝利を飾るのはどの車なのだろうか。
ホンダ・シビック

40年以上の歴史を経て、ホンダ・シビックは質素なシティカーから熟成されたファミリーカーへと進化している。10代目シビックは内外装ともに刷新されており、旧型モデルよりも控えめで上質なモデルへと変化している。エンジンラインアップも刷新されており、今回は23,040ポンドの1.0Lガソリンモデル「EX」に試乗した。
新型シビックは従来よりも成熟した車になっている。足回りの完成度は高くなり、ロー&ワイドになったおかげで操作性も改善している。そしてなにより、ホンダお得意の自然吸気エンジンを捨て、ダウンサイジングターボエンジンを搭載した点が今回の目玉だ。
試乗車に搭載されていた1.0L 3気筒ターボエンジンは最高出力129PSを発揮する。スペック上はゴルフよりも高出力だし、最大トルクも20.4kgf·mと強力なのだが、テストコースではより軽量なゴルフの後を追う形になってしまった。0-100km/h加速はゴルフよりも0.5秒遅い10.1秒を記録した。
公道でも、ゴルフの後についていくのはメガーヌと同じくらい大変だった。シビックのエンジンはよく回ってくれはするのだが、振動は他の2台よりも多く、フォルクスワーゲンよりもうるさかった。
燃料タンクの位置がフロントシート下からリアアクスル前方に移動したため、ドライビングポジションが従来よりも低くなっている。電動パワーステアリングはクイックで、グリップも豊富だし、スポーツモードにすればロールも気にならない。トルクベクタリングのおかげでライントレース性も高いのだが、フォルクスワーゲンのシステムと比べるとトルクベクタリングの介入が分かりやすい。コンフォートモードにすれば衝撃もしっかり吸収してくれるので、コンフォートモードでの乗り心地は足回りのソフトなルノーと同等だ。また、静粛性も高く、高速域での風切り音はゴルフより少なかった。
フォルクスワーゲン・ゴルフ

新型フォルクスワーゲン・ゴルフは2013年に登場した7代目ゴルフのマイナーチェンジモデルだ。フォルクスワーゲンはハッチバックの王者とも言えるゴルフの改良に最大限の力を注いでいる。最新エンジン、新型インフォテインメントシステム、先進安全技術など、変更点は多岐にわたる。今回は、最高出力109PSの1.0L TSIエンジンを搭載する20,120ポンドのSE Navに試乗した。
新型ゴルフの見た目はあまり代わり映えせず、見た目も同様に大きくは変わっていない。完成度の高い落ち着いた走りも従来と変わっていない。
しかし、まったく変わっていないわけではない。試乗車に搭載されていた1.0L 3気筒エンジンは従来モデルでは低燃費モデルのBlueMotionにしか搭載されていなかったのだが、新型ではそれ以外のモデルにも搭載されている。このエンジンは排気量こそ小さいものの、実力は高い。0-100km/h加速は9.6秒とホンダよりも0.5秒速く、排気量の大きいメガーヌよりも速い。
公道ではカタログスペック上ではゴルフより馬力のある他の2台よりも活き活きとしており、わずか1,500rpmでも滑らかに力強く加速してくれた。20.4kgf·mという最大トルクをわずか2,000rpmで発揮するため、エンジンを酷使する必要はほとんどない。とはいえ、このエンジンは6,000rpmのレッドラインまでしっかりと回ってくれる。
コーナーを走らせても印象は良かった。ゴルフの応答性は素早く、そしてダイレクトで、ステアリングの重さもちょうどよかった。グリップは豊富だし、ロールもほとんどなく、自信を持って運転することができる車だ。しかも、操作性と快適性のバランスもしっかりとれている。メガーヌほどに乗り心地が良いわけではないのだが、大きめの段差を踏み越えても暴れないし、エンジン音や風切り音、タイヤノイズも十分に抑えられている。
ルノー・メガーヌ

現行ルノー・メガーヌはデザインは流麗で高級感もあり、快適性も高いため、非常に競争力の高いハッチバックだ。今回試乗した1.2L TCeガソリンエンジンを搭載する19,750ポンドのDynamique S Navにはシビックやゴルフに十分太刀打ちできる実力があるだろう。
カタログスペック上の最高出力はメガーヌが一番優れているのだが、車重は1,340kgとシビックと同じくらい重い。そのため、テストコースではゴルフほど速く走ることはできず、ときに遅さを感じることもあった。0-100km/h加速はシビックよりも0.1秒遅い10.2秒を記録している。
最大トルクは20.9kgf·mと十分なのだが、6速での加速は物足りない。エンジンの実力を十分に出すためには高回転域まで回さなければならず、フォルクスワーゲンやホンダのエンジンと比べると低回転域ではフラットな印象だ。エンジンは滑らかだし静粛性も高いのだが、ゴルフのように楽しげな音を響かせるわけではない。
ドライブモードとして、「スポーツ」、「コンフォート」、「エコ」の3種類が設定されるのだが、いずれを選択しても車のキャラクターは大きくは変化しない。メガーヌは快適性を重視して設計された車なのだろう。少し運転しただけでもそれが理解できる。サスペンションはソフトで衝撃をいともたやすくいなし、風切り音やタイヤノイズ、エンジン音もしっかりと遮断されている。ゴルフほど落ち着いた走りなわけではないのだが、グリップも十分だし、ステアリングは正確で重さもちょうどいい。
結論
Winner: フォルクスワーゲン・ゴルフ
マイナーチェンジによる変更点は少ないものの、ゴルフほど優秀な車であれば細かい変更でも大きな違いを生み出す。最新のインフォテインメントシステムや新たに追加された装備は魅力的だし、新設計の小排気量ガソリンエンジンはパフォーマンスと経済性をしっかり両立できている。1.6 TDIはもはやほとんど不要だろう。なにより、ゴルフの最大の魅力である質感や実用性の高さは変わっていない。
2nd: ルノー・メガーヌ
快適性が高くスタイリッシュなメガーヌはファミリーハッチバックとして理想的だ。それに、コストパフォーマンスの高さや室内空間の広さも魅力的だ。ゴルフほど走りがシャープなわけではないのだが、乗り心地はソフトで静粛性も高く、質感も高い。ただ、リセールバリューの低さやエンジンのパフォーマンスには不満が残る。
3rd: ホンダ・シビック
今回の勝負は接戦だったのだが、シビックには他の2台を打倒できるほどの強みがなかった。シビックも室内は広いし、走りも悪くないし、安全性も高く、装備内容も充実している。けれど、ランニングコストや動力性能ではゴルフに劣るし、コストパフォーマンスや快適性ではメガーヌに劣る。
Honda Civic vs Volkswagen Golf vs Renault Megane

流行は日々刻々と変化していくものだが、コンパクトカーの人気は長らく続いている。その証拠に、最新型のホンダ・シビックは今や第10世代目となっている。
シビックには長い歴史があるのだが、新型シビックはそんな歴史にとらわれない、従来モデルとは大きく性格の違うモデルに変化している。一風変わった旧型モデルに代わり、新型シビックはより上級志向のハッチバックとなっている。また、新型シビックには最新の高効率・高出力エンジンや先進安全技術も備わっている。
しかし、伝統あるハッチバックはなにもシビックばかりではない。フォルクスワーゲン・ゴルフには7世代、40年の歴史がある。そんなゴルフの7代目は先日マイナーチェンジを行い、装備内容やエンジンラインアップ、グレード構成を刷新している。
一方、4代目となるルノー・メガーヌは比較的新しいハッチバックだ。しかしながら、デザイン、快適性、技術などを見ても、その実力は高い。ハッチバックには100年近い歴史があるのだが、果たして今回の比較で勝利を飾るのはどの車なのだろうか。
ホンダ・シビック

40年以上の歴史を経て、ホンダ・シビックは質素なシティカーから熟成されたファミリーカーへと進化している。10代目シビックは内外装ともに刷新されており、旧型モデルよりも控えめで上質なモデルへと変化している。エンジンラインアップも刷新されており、今回は23,040ポンドの1.0Lガソリンモデル「EX」に試乗した。
新型シビックは従来よりも成熟した車になっている。足回りの完成度は高くなり、ロー&ワイドになったおかげで操作性も改善している。そしてなにより、ホンダお得意の自然吸気エンジンを捨て、ダウンサイジングターボエンジンを搭載した点が今回の目玉だ。
試乗車に搭載されていた1.0L 3気筒ターボエンジンは最高出力129PSを発揮する。スペック上はゴルフよりも高出力だし、最大トルクも20.4kgf·mと強力なのだが、テストコースではより軽量なゴルフの後を追う形になってしまった。0-100km/h加速はゴルフよりも0.5秒遅い10.1秒を記録した。
公道でも、ゴルフの後についていくのはメガーヌと同じくらい大変だった。シビックのエンジンはよく回ってくれはするのだが、振動は他の2台よりも多く、フォルクスワーゲンよりもうるさかった。
燃料タンクの位置がフロントシート下からリアアクスル前方に移動したため、ドライビングポジションが従来よりも低くなっている。電動パワーステアリングはクイックで、グリップも豊富だし、スポーツモードにすればロールも気にならない。トルクベクタリングのおかげでライントレース性も高いのだが、フォルクスワーゲンのシステムと比べるとトルクベクタリングの介入が分かりやすい。コンフォートモードにすれば衝撃もしっかり吸収してくれるので、コンフォートモードでの乗り心地は足回りのソフトなルノーと同等だ。また、静粛性も高く、高速域での風切り音はゴルフより少なかった。
フォルクスワーゲン・ゴルフ

新型フォルクスワーゲン・ゴルフは2013年に登場した7代目ゴルフのマイナーチェンジモデルだ。フォルクスワーゲンはハッチバックの王者とも言えるゴルフの改良に最大限の力を注いでいる。最新エンジン、新型インフォテインメントシステム、先進安全技術など、変更点は多岐にわたる。今回は、最高出力109PSの1.0L TSIエンジンを搭載する20,120ポンドのSE Navに試乗した。
新型ゴルフの見た目はあまり代わり映えせず、見た目も同様に大きくは変わっていない。完成度の高い落ち着いた走りも従来と変わっていない。
しかし、まったく変わっていないわけではない。試乗車に搭載されていた1.0L 3気筒エンジンは従来モデルでは低燃費モデルのBlueMotionにしか搭載されていなかったのだが、新型ではそれ以外のモデルにも搭載されている。このエンジンは排気量こそ小さいものの、実力は高い。0-100km/h加速は9.6秒とホンダよりも0.5秒速く、排気量の大きいメガーヌよりも速い。
公道ではカタログスペック上ではゴルフより馬力のある他の2台よりも活き活きとしており、わずか1,500rpmでも滑らかに力強く加速してくれた。20.4kgf·mという最大トルクをわずか2,000rpmで発揮するため、エンジンを酷使する必要はほとんどない。とはいえ、このエンジンは6,000rpmのレッドラインまでしっかりと回ってくれる。
コーナーを走らせても印象は良かった。ゴルフの応答性は素早く、そしてダイレクトで、ステアリングの重さもちょうどよかった。グリップは豊富だし、ロールもほとんどなく、自信を持って運転することができる車だ。しかも、操作性と快適性のバランスもしっかりとれている。メガーヌほどに乗り心地が良いわけではないのだが、大きめの段差を踏み越えても暴れないし、エンジン音や風切り音、タイヤノイズも十分に抑えられている。
ルノー・メガーヌ

現行ルノー・メガーヌはデザインは流麗で高級感もあり、快適性も高いため、非常に競争力の高いハッチバックだ。今回試乗した1.2L TCeガソリンエンジンを搭載する19,750ポンドのDynamique S Navにはシビックやゴルフに十分太刀打ちできる実力があるだろう。
カタログスペック上の最高出力はメガーヌが一番優れているのだが、車重は1,340kgとシビックと同じくらい重い。そのため、テストコースではゴルフほど速く走ることはできず、ときに遅さを感じることもあった。0-100km/h加速はシビックよりも0.1秒遅い10.2秒を記録している。
最大トルクは20.9kgf·mと十分なのだが、6速での加速は物足りない。エンジンの実力を十分に出すためには高回転域まで回さなければならず、フォルクスワーゲンやホンダのエンジンと比べると低回転域ではフラットな印象だ。エンジンは滑らかだし静粛性も高いのだが、ゴルフのように楽しげな音を響かせるわけではない。
ドライブモードとして、「スポーツ」、「コンフォート」、「エコ」の3種類が設定されるのだが、いずれを選択しても車のキャラクターは大きくは変化しない。メガーヌは快適性を重視して設計された車なのだろう。少し運転しただけでもそれが理解できる。サスペンションはソフトで衝撃をいともたやすくいなし、風切り音やタイヤノイズ、エンジン音もしっかりと遮断されている。ゴルフほど落ち着いた走りなわけではないのだが、グリップも十分だし、ステアリングは正確で重さもちょうどいい。
結論
Winner: フォルクスワーゲン・ゴルフ
マイナーチェンジによる変更点は少ないものの、ゴルフほど優秀な車であれば細かい変更でも大きな違いを生み出す。最新のインフォテインメントシステムや新たに追加された装備は魅力的だし、新設計の小排気量ガソリンエンジンはパフォーマンスと経済性をしっかり両立できている。1.6 TDIはもはやほとんど不要だろう。なにより、ゴルフの最大の魅力である質感や実用性の高さは変わっていない。
2nd: ルノー・メガーヌ
快適性が高くスタイリッシュなメガーヌはファミリーハッチバックとして理想的だ。それに、コストパフォーマンスの高さや室内空間の広さも魅力的だ。ゴルフほど走りがシャープなわけではないのだが、乗り心地はソフトで静粛性も高く、質感も高い。ただ、リセールバリューの低さやエンジンのパフォーマンスには不満が残る。
3rd: ホンダ・シビック
今回の勝負は接戦だったのだが、シビックには他の2台を打倒できるほどの強みがなかった。シビックも室内は広いし、走りも悪くないし、安全性も高く、装備内容も充実している。けれど、ランニングコストや動力性能ではゴルフに劣るし、コストパフォーマンスや快適性ではメガーヌに劣る。
Honda Civic vs Volkswagen Golf vs Renault Megane
Autocarでも似たような比較で、ゴルフシビックともに1Lターボモデルと308の比較をしていましたが、やはりこちらもゴルフのほうが評価は高かったです
日本にはどちらも1リッターモデルは国内導入されていませんが、是非日本にも入れて欲しいです