今回は、英国「Auto Express」によるポルシェ・718 ケイマンSの試乗レポートを日本語で紹介します。

従来のポルシェ・ケイマンはコーナリング性能こそがすべてだった。最高のバランスを実現したミッドシップシャシと最高のステアリングの組み合わせは、優秀なフラットシックスの影を薄くするほどに魅力的だった。
しかし、新型718ケイマンではエンジンに注目が集まっている。ただし、それは必ずしも諸手を挙げて歓迎できるわけではない。なぜなら、718ボクスターには定評ある水平対向6気筒エンジンに代わり、4気筒ターボエンジンが搭載されるからだ。
ここでひとつ重大な疑問が浮かぶ。ターボ化したケイマンは従来あった魅力を失ってしまったのだろうか。それとも、カタログスペック(最高出力、最大トルク)の向上にともなって車の完成度自体も従来より高くなっているのだろうか。今回は、最高出力350PS、最大トルク42.8kgf·mを誇る48,834ポンドの最上級モデル、ケイマンSに試乗した。
標準仕様の6速MTの場合、0-100km/h加速は4.6秒を記録し、最高速度は285km/hとなる。オプションのPDKおよびスポーツクロノパッケージを選択すれば、0-100km/h加速は4.2秒まで向上し、0-160km/hをわずか9.2秒で駆け抜けられるようになる。これは10万ポンド級の車の基準で考えても速い部類に入る。
それでいて、CO2排出量や燃費性能も改善している。標準のケイマンの場合、CO2排出量および燃費はそれぞれ158g/km、14.5km/Lで、6速MTのケイマンSは184g/km、12.3km/L、PDKのケイマンSは167g/km、13.7km/Lとなる。

ここまでのことを要約すると、従来よりも経済性が改善し、少なくともカタログスペック上はパフォーマンスも向上している。
実際に走った感想を述べる前に、デザインの話もしよう。内外装ともに見た目は良くなっている。エクステリアは目立つ部分(フロントエンド、リアエンド、ヘッドランプ、エアインテーク)の意匠が変更されており、従来よりロー&ワイドな印象となっている。
スプリングやダンパーは強化されており、スタビライザーも改良され、ステアリングは10%クイックになっている。今回の試乗車には1,133ポンドのオプションであるスポーツサスペンションも装備されており、車高は標準車より20mm低くなっていた。また、ケイマンSには新型911カレラと共通のブレーキシステムが備わる。
理論上は、ありとあらゆる点で実力を向上させているようだ。しかし、実際のところ、4気筒の新型ケイマンSの走りはどうなのだろうか。結論から言うと、ある一点を除いて素晴らしかった。
乗り心地、ステアリング、ハンドリング、グリップ、ブレーキ、トランスミッション、いずれも非常に優秀だ。従来のケイマンもあらゆるスポーツカーの中で指折りの実力を有していたのだが、新型718はさらにシャープになり、核心部分が大幅な進化を遂げている。このシャシの完成度はかなり高く、驚異的なグリップと正確性を持ちつつ、高い快適性も併せ持っている。

ただ、完成度が高いだけに一点かなり気になる部分がある。それはエンジンだ。直線を走る分には何の問題もない。2,000rpmより下の回転数だとわずかなラグはあるのだが、それ以上になれば非常に力強いし、速さも十分にある。特にターボの効果がはっきりと感じられる中回転域においては6気筒の従来モデルよりもかなり速く感じられる。
問題なのは、音に刺激が欠けている点と、6気筒モデルのような機敏なスロットルレスポンスが失われてしまった点だ。新型のエンジン音も決して悪くはないのだが、6気筒エンジンと比べてしまうと、良く言えば大人しく、悪く言えば退屈に聞こえてしまう。
エンジンだけは残念でならない。その点を無視すれば、新型ケイマンSはまさに理想的なスポーツカーだからだ。エンジン以外はどれも従来型より改善しているし、エンジンの違いはなかなか無視しがたい部分だ。
New Porsche 718 Cayman S 2016 review

従来のポルシェ・ケイマンはコーナリング性能こそがすべてだった。最高のバランスを実現したミッドシップシャシと最高のステアリングの組み合わせは、優秀なフラットシックスの影を薄くするほどに魅力的だった。
しかし、新型718ケイマンではエンジンに注目が集まっている。ただし、それは必ずしも諸手を挙げて歓迎できるわけではない。なぜなら、718ボクスターには定評ある水平対向6気筒エンジンに代わり、4気筒ターボエンジンが搭載されるからだ。
ここでひとつ重大な疑問が浮かぶ。ターボ化したケイマンは従来あった魅力を失ってしまったのだろうか。それとも、カタログスペック(最高出力、最大トルク)の向上にともなって車の完成度自体も従来より高くなっているのだろうか。今回は、最高出力350PS、最大トルク42.8kgf·mを誇る48,834ポンドの最上級モデル、ケイマンSに試乗した。
標準仕様の6速MTの場合、0-100km/h加速は4.6秒を記録し、最高速度は285km/hとなる。オプションのPDKおよびスポーツクロノパッケージを選択すれば、0-100km/h加速は4.2秒まで向上し、0-160km/hをわずか9.2秒で駆け抜けられるようになる。これは10万ポンド級の車の基準で考えても速い部類に入る。
それでいて、CO2排出量や燃費性能も改善している。標準のケイマンの場合、CO2排出量および燃費はそれぞれ158g/km、14.5km/Lで、6速MTのケイマンSは184g/km、12.3km/L、PDKのケイマンSは167g/km、13.7km/Lとなる。

ここまでのことを要約すると、従来よりも経済性が改善し、少なくともカタログスペック上はパフォーマンスも向上している。
実際に走った感想を述べる前に、デザインの話もしよう。内外装ともに見た目は良くなっている。エクステリアは目立つ部分(フロントエンド、リアエンド、ヘッドランプ、エアインテーク)の意匠が変更されており、従来よりロー&ワイドな印象となっている。
スプリングやダンパーは強化されており、スタビライザーも改良され、ステアリングは10%クイックになっている。今回の試乗車には1,133ポンドのオプションであるスポーツサスペンションも装備されており、車高は標準車より20mm低くなっていた。また、ケイマンSには新型911カレラと共通のブレーキシステムが備わる。
理論上は、ありとあらゆる点で実力を向上させているようだ。しかし、実際のところ、4気筒の新型ケイマンSの走りはどうなのだろうか。結論から言うと、ある一点を除いて素晴らしかった。
乗り心地、ステアリング、ハンドリング、グリップ、ブレーキ、トランスミッション、いずれも非常に優秀だ。従来のケイマンもあらゆるスポーツカーの中で指折りの実力を有していたのだが、新型718はさらにシャープになり、核心部分が大幅な進化を遂げている。このシャシの完成度はかなり高く、驚異的なグリップと正確性を持ちつつ、高い快適性も併せ持っている。

ただ、完成度が高いだけに一点かなり気になる部分がある。それはエンジンだ。直線を走る分には何の問題もない。2,000rpmより下の回転数だとわずかなラグはあるのだが、それ以上になれば非常に力強いし、速さも十分にある。特にターボの効果がはっきりと感じられる中回転域においては6気筒の従来モデルよりもかなり速く感じられる。
問題なのは、音に刺激が欠けている点と、6気筒モデルのような機敏なスロットルレスポンスが失われてしまった点だ。新型のエンジン音も決して悪くはないのだが、6気筒エンジンと比べてしまうと、良く言えば大人しく、悪く言えば退屈に聞こえてしまう。
エンジンだけは残念でならない。その点を無視すれば、新型ケイマンSはまさに理想的なスポーツカーだからだ。エンジン以外はどれも従来型より改善しているし、エンジンの違いはなかなか無視しがたい部分だ。
New Porsche 718 Cayman S 2016 review
取り上げていただきありがとうございます。
やはりエンジンについては引っ掛かる部分があるようですね。
周りも四気筒だからなぁという人もいて海外の反応がどんなものか気になっていました。
結局、車好きが引っ掛かるところは大体同じ見たいですね。
実物を見てもう少し検討してみようと思います。
レクサスのRCFも装備が充実しているので勧められているのですが、海外の反応ってありますか?
ジェレミー・クラークソンはボロクソに叩いていましたがちょっと気になります。
GTでLC500が取り上げられると思いますが果たしてジェレミーの反応はどうなるのかも気になるところです。