今回は、米国「SlashGear」によるダッジ・チャレンジャーGTの試乗レポートを日本語で紹介します。


Challenger GT

1960年代中頃、イングランドのウェスト・ブロムウィッチに拠点を構えるジェンセンは4WDのマッスルカーを初めて世に出した。6,276ccのクライスラー製V8エンジンを搭載するジェンセン・FFだ。それから50年の歳月が流れ、ペンタスターエンジンを搭載する4WDのダッジ・チャレンジャーGTが登場した。

チャレンジャーGTの成り立ちはそれほど複雑ではない。チャレンジャーはチャージャーと共通のLXプラットフォームを用いており、チャージャーには4WDモデルが設定される。チャージャーの4WDシステムをチャレンジャーに移植するのはそれほど難しいことではない。ただ、4WD化による100kg近い重量増に対処するため、サスペンションの設計は刷新されている。

それでも、かかったコスト以上に新しい市場を開拓できる可能性がある。特に降雪地域においてはFRのチャレンジャーが敬遠され、他のセダンやSUVに顧客を奪われてきた。チャレンジャーの4WD化が実現すれば、天候上の理由でチャレンジャーを購入できなかった顧客だけでなく、降雪地でマスタングやカマロを検討している顧客を囲い込むこともできるだろう。

ただ、懸念事項もある。4WDのチャレンジャーGTに搭載されるエンジンはV6のみとなる。309PSの3.6Lエンジンでも性能は十分だろうが、V8には何物にも代えがたい魅力がある。それに、MTモデルも設定されない。チャレンジャーGTの8速ATも優秀なのは事実だが、3ペダルにこだわりたい人も一定数いるはずだ。

今回はメイン州ポートランドの雪道でチャレンジャーGTに試乗した。直前まで雪が降っており、一部路面は凍結していた。我々はニューハンプシャー州タムワースにあるクラブ・モータースポーツというできたばかりのカートサーキットを目指して走り出した。

州間高速295号線のドライ路面を走行しても、4WDシステムに違和感を覚えることはなかった。タイヤの空転だけでなく気温やワイパーの動作状況なども検知して前後駆動力配分が変動する。通常の走行状況では後輪のみが駆動するため、普通に走っている限りでは2WDと4WDの違いを実感することはない。

ポートランドのメトロ地域から伸びる二車線道路を走ると、2WDモデルとの違いを感じた。4WDモデルのサスペンションは重量級の装備を積載することを想定した警察仕様車と共通となっている。そのため、路面の凹凸を踏んだときや凍結路面走行中の乗り心地は2WDと比べると悪い。

とはいえ、グリップ性能はかなり高い。撮影のために雪の積もった未舗装路を走っても立ち往生せずに済んだ。ダート路面を走るとスタビリティコントロールが突然介入してくることもあったが、基本的には不安なく走ることができた。

目的地のクラブ・モータースポーツにはすでに13cmもの雪が積もっており、先客のおかげで路面は圧雪状態になっていた。ラリースクールの教官の助けを借りつつ、トラクションコントロールを切った状態でコースを走行した。滑りやすい路面ではV6のちょうどいい性能が有り難かった。重さはどうしても障害になってしまうのだが、それでも4WDのおかげで一度もスタックしなかった。

チャレンジャーGTに一定の需要があることは間違いないだろう。冬に4WDが不可欠だと考えている人は多いし、ダッジの中でも人気のあるチャレンジャーに4WDが設定されれば、きっと販売台数も増えるだろう。V6しかないのは残念かもしれないが、価格やランニングコストなどを考えれば、むしろちょうどいい選択なのかもしれない。


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