今回は、英国「Auto Express」による新型 プジョー・3008の試乗レポートを日本語で紹介します。


3008

新しいSUVが登場しても、いちいちすべてに注目していられない。ありとあらゆる自動車メーカーがこぞって似たようなSUVやクロスオーバーSUVを出している。どれも同じように派手で、どれも同じように車高が高い。

しかし、プジョー・3008は一味違う。2009年に登場した初代3008はSUVというよりも5人乗りのMPVだった。当時、クロスオーバーSUVはまだ発展途上で、日産・キャシュカイが登場したばかりだった。セアト・アテカルノー・カジャーの登場などまだまだ先の出来事だ。

それからおよそ8年が経過し、3008は大きな変身を遂げた。初代モデルとはうって変わって、プジョー自身、新型3008が「SUV」であると明言している。今回はイギリス国内で新型3008に試乗し、その実力を試した。

見た目は従来とは明らかに違う。プジョーのチーフデザイナー、ジル・ヴィダルは新型3008をゼロからデザインし直したそうだ。エクステリアだけでなくインテリアの設計もゼロから行われており、シンプルで使いやすく、スタイリッシュなインテリアを目指してデザインしたそうだ。

新型3008にはプジョーの第2世代「i-Cockpit」が採用されている。おなじみの小径ステアリングホイールが装着されており、メーターを見るときはステアリングの上を覗く形になる。視線移動が少なくなるので安全性も高まるだろう。308のi-Cockpitと比べると3008のインテリアは大きく進歩している。メーター部分のスクリーンはカスタマイズ可能になっており、スピードメーターだけでなく、ナビや再生中のメディア、車両情報などを表示させることが可能だ。

interior

インフォテインメントシステムも大幅に改良されており、タッチスクリーンの下にはピアノ風の操作ボタンが付いているため、物理ボタンの少ない308と比べると大幅に扱いやすくなっている。タッチパネルの応答性も高くなっているし、グラフィックも向上しており、MirrorLinkおよびApple CarPlayにも対応している。

インテリアの質感も素晴らしい。3008と比べるとそこそこ質感の高いアテカのインテリアが平凡に思えてしまうし、キャシュカイは相対的に安っぽく思えてしまう。使われている素材の組み合わせも素晴らしく、ダッシュボード上部にはソフトなプラスチックが使われているし、それよりも下の部分にはメタル素材やファブリック素材も使われている。

実用性は高い。リアシートも広く、大人が3人並んで座っても余裕がある。全長がキャシュカイより長いため、レッグルームにも余裕があるし、荷室容量は591Lでキャシュカイ(荷室容量430L)に勝っている。

デザインや実用性も重要だが、同じくらい走りも重要だ。幸い、3008の走りに大きな欠点はない。SUVの中では走行性能が高いアテカと比較しても、3008の走行性能は十分高いと言える。運転を楽しめる車だ。

今回試乗したのは左ハンドルモデルなのだが、その点を除けば2016年12月に販売が開始されるイギリス仕様車とまったく同じだ。ステアリング径が小さく、最小回転半径も小さいため、街中でも扱いやすい。リアウインドウが小さいのでバックは少し難しいのだが、エントリーグレードの「Active」以外にはバックカメラが標準装備されるので、この問題に悩まされるユーザーは少ないだろう。

rear

乗り心地も非常に良かった。スピードバンプの衝撃もしっかり和らげてくれるし、かといってスピードを出して不安定になるわけでもない。110km/hで走らせても静かだし、少なくとも今回試乗した1.6Lのガソリンモデルなら、速めの流れについて行くのも簡単だ。ただ、このガソリンエンジンはそれほどトルクがないので、ディーゼルを選んだほうがいいのかもしれない。

試乗車にはセンターコンソールにスポーツボタンがついており、これを押すとステアリングが重くなってギア比も変化する。その結果、非常に機敏な印象に変わり、つい速く走りたくなってしまう。こんな走りをするSUVはあまりない。ステアフィールも適度にあるし、ロールもほとんど問題にならない。ただし、全体的な走行性能はアテカと比べるとわずかに劣る。

3008の最大の問題点は価格だ。最廉価グレードの「1.2 Active」は21,795ポンドで、最廉価グレードが17,995ポンドのアテカと比べるとおよそ4,000ポンドも高い。ただし、3008は最廉価グレードでも比較的装備が充実しており、メーターディスプレイも全グレードに標準装備されている。

おそらくリセールバリューもそこそこ高くなるだろうし、プジョーはさまざまなアフターサービスキャンペーンを行っているため、ランニングコストも安く抑えることができるだろう。ユーロNCAPで五つ星を獲得しているのも嬉しいポイントだ。


New Peugeot 3008 2016 review