今回は、英国「AUTOCAR」による新型 スズキ・スイフトの試乗レポートを日本語で紹介します。

2005年の登場以来、ヨーロッパでは100万台以上のスイフトが販売されており、そのうち127,000台がイギリスで販売された。2017年6月1日にイギリスでの販売が開始される予定の新型スイフトにも大きな期待がかかっていることだろう。
スイフトには、バレーノやイグニス同様、高強度鋼をふんだんに用いた軽量プラットフォーム「HEARTECT」が採用されている。これにより、従来比で30kgの軽量化と高剛性化を実現しているそうだ。最軽量モデルはわずか890kgで、今回試乗した1.0Lのマイルドハイブリッドモデルが925kg、そして1.2Lの4WDモデルでも980kgに抑えられている。
広いフロントガラス、上向きのヘッドランプ、微笑むようなフロントグリルなど、大まかな見た目にはスイフトらしさが残っている。しかし、全長は10mm短く、全高は15mm低く、全幅は40mm広くなっており、ホイールベースは20mm延長している。
インテリアは刷新されており、ダッシュボードのデザインも変わっているし、シートはより快適になっている。ホイールベースが伸びたおかげで室内空間も拡大しており、ヒップポイントは前席が20mm、後席が45mm低くなっている。荷室容量も25%拡大しており、265Lとなっている。
2ドアモデルは廃止されたのだが、5ドアモデルのリアドアハンドルはCピラーに隠れている。従来設定されていた9,000ポンドの最廉価グレード「SZ2」も廃止されているのだが、決してスイフトが上級志向のモデルになったわけではない。
エントリーグレードの「SZ3」には15インチスチールホイール、リアドラムブレーキ、DABラジオ、Bluetooth、LEDデイライト、エアコンが標準装備される。中間グレードの「SZ-T」には、16インチアルミホイール、リアパーキングカメラ、フロントフォグランプ、タッチスクリーンインフォテインメントシステム(スマートフォン連携可能)が付く。最上級グレードの「SZ5」には、4.2インチナビゲーションシステム、四輪ディスクブレーキ、自動ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警報が標準装備となる。

新型スイフトには2種類のエンジンが設定される。最高出力90PSの1.2L 4気筒ガソリンエンジンには5速MTが組み合わせられ、オプションで4WDも設定される。1.0L 3気筒ターボエンジンは最高出力111PS、最大トルク17.3kgf·mを発揮し、5速MTもしくは6速ATが組み合わせられる。こちらには4WDの設定はない。
いずれのエンジンにもオプションでマイルドハイブリッドが設定される。このハイブリッドシステムは0.37kWhのリチウムイオンバッテリーと発電機を使って制動時にエネルギー回生を行う。発電機にはスターターモーターの機能も付いており、アイドリングストップからの復帰時には静かにエンジンが始動する。また、急加速時にはモーターが3PS分のアシストを短時間行う。これによってCO2排出量が7g/km減り、燃費が1.5km/L改善するため、初年度の自動車税が20ポンド節約できる。ただし、マイルドハイブリッドのオプション費用はおよそ700ポンドもかかってしまう。
新型スイフトの走りは活発で俊敏で楽しい。開発にあたってはイギリスの道路でステアリングの応答性や乗り心地やハンドリングのテストも行っているそうだ。その成果はしっかりと出ている。
16インチモデルだと直線走行時にわずかに軽薄さや神経質さが出てしまうのだが、ステアリングを切るとそれも消える。ノーズはコーナーに鋭く切り込んでいく。可変ギアレシオ電動パワーステアリングは少し軽すぎる感じもするし、中立付近ではフィールに欠けているのだが、非常に正確だし、操作していて楽しいシャープさがある。
ボディも非常に落ち着いているのだが、旋回時にはわずかにロールが発生する。ただ、ロールさえ収まってしまえば、グリップも非常に豊かだし、バランスもとれていて、これ以上ないくらいに楽しい。路面のアンジュレーションにもそこそこしっかり対応してくれるのだが、舗装の悪い路面を走ると少しやかましい。ディスクブレーキは基本的に優秀なのだが、低速では少し効きすぎてしまう。
1.0L 3気筒エンジンは加速時だと少し騒々しい。スズキはフォードと同じようにクランクの重量バランスを意図的にずらすことで水平方向の振動を垂直方向の振動に変換し、この振動を特殊なエンジンマウントによって抑えている。しかし、この効果はアクセルを少し踏み込むと失われてしまう。

フォードのEcoBoostほどではないものの、このエンジンもそこそこ力強く、2,000rpm未満からしっかりとターボチャージャーが効きはじめる。カタログ燃費は23.3km/Lなのだが、実際に計測した平均燃費は18.4km/Lだった。
唯一残念なのは5速MTの出来だ。低速ギアのギア比のギャップが大きいため、扱いにくいし楽しさにも欠ける。6速ATだと燃費性能がわずかに低下するものの(パフォーマンスは変わらない)、扱いやすさはこちらのほうが上だ。
インテリアは従来よりも改善している。デザインも良くなっているし、シンプルなダイヤルは使いやすい。ただ、フィット&フィニッシュは普通なのだが、使われている材質の質感はシュコダ・ファビアやフォード・フィエスタなど同クラスのライバルに並べていないし、インフォテインメントシステムの操作もあまり直感的とはいえない。
前席は快適だしシートのサポート性もそこそこ高いのだが、収納スペースは少なく、グローブボックスは冗談のように狭い。リアシートは大人2人がレッグルーム、ヘッドルームに余裕を持って乗れる広さだし、荷室にはスーツケースが2個は収まる。
Bセグメント車を検討しているのであれば、スイフトは絶対に検討するべきだ。スイフトは控えめながら魅力的な車だ。軽量で活発で運転が楽しめるし、インテリアの居心地も良く、高級感を求めないのであれば、最有力候補とまではいかないかもしれないが、有力候補に挙げるべき車だろう。
Suzuki Swift review

2005年の登場以来、ヨーロッパでは100万台以上のスイフトが販売されており、そのうち127,000台がイギリスで販売された。2017年6月1日にイギリスでの販売が開始される予定の新型スイフトにも大きな期待がかかっていることだろう。
スイフトには、バレーノやイグニス同様、高強度鋼をふんだんに用いた軽量プラットフォーム「HEARTECT」が採用されている。これにより、従来比で30kgの軽量化と高剛性化を実現しているそうだ。最軽量モデルはわずか890kgで、今回試乗した1.0Lのマイルドハイブリッドモデルが925kg、そして1.2Lの4WDモデルでも980kgに抑えられている。
広いフロントガラス、上向きのヘッドランプ、微笑むようなフロントグリルなど、大まかな見た目にはスイフトらしさが残っている。しかし、全長は10mm短く、全高は15mm低く、全幅は40mm広くなっており、ホイールベースは20mm延長している。
インテリアは刷新されており、ダッシュボードのデザインも変わっているし、シートはより快適になっている。ホイールベースが伸びたおかげで室内空間も拡大しており、ヒップポイントは前席が20mm、後席が45mm低くなっている。荷室容量も25%拡大しており、265Lとなっている。
2ドアモデルは廃止されたのだが、5ドアモデルのリアドアハンドルはCピラーに隠れている。従来設定されていた9,000ポンドの最廉価グレード「SZ2」も廃止されているのだが、決してスイフトが上級志向のモデルになったわけではない。
エントリーグレードの「SZ3」には15インチスチールホイール、リアドラムブレーキ、DABラジオ、Bluetooth、LEDデイライト、エアコンが標準装備される。中間グレードの「SZ-T」には、16インチアルミホイール、リアパーキングカメラ、フロントフォグランプ、タッチスクリーンインフォテインメントシステム(スマートフォン連携可能)が付く。最上級グレードの「SZ5」には、4.2インチナビゲーションシステム、四輪ディスクブレーキ、自動ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警報が標準装備となる。

新型スイフトには2種類のエンジンが設定される。最高出力90PSの1.2L 4気筒ガソリンエンジンには5速MTが組み合わせられ、オプションで4WDも設定される。1.0L 3気筒ターボエンジンは最高出力111PS、最大トルク17.3kgf·mを発揮し、5速MTもしくは6速ATが組み合わせられる。こちらには4WDの設定はない。
いずれのエンジンにもオプションでマイルドハイブリッドが設定される。このハイブリッドシステムは0.37kWhのリチウムイオンバッテリーと発電機を使って制動時にエネルギー回生を行う。発電機にはスターターモーターの機能も付いており、アイドリングストップからの復帰時には静かにエンジンが始動する。また、急加速時にはモーターが3PS分のアシストを短時間行う。これによってCO2排出量が7g/km減り、燃費が1.5km/L改善するため、初年度の自動車税が20ポンド節約できる。ただし、マイルドハイブリッドのオプション費用はおよそ700ポンドもかかってしまう。
新型スイフトの走りは活発で俊敏で楽しい。開発にあたってはイギリスの道路でステアリングの応答性や乗り心地やハンドリングのテストも行っているそうだ。その成果はしっかりと出ている。
16インチモデルだと直線走行時にわずかに軽薄さや神経質さが出てしまうのだが、ステアリングを切るとそれも消える。ノーズはコーナーに鋭く切り込んでいく。可変ギアレシオ電動パワーステアリングは少し軽すぎる感じもするし、中立付近ではフィールに欠けているのだが、非常に正確だし、操作していて楽しいシャープさがある。
ボディも非常に落ち着いているのだが、旋回時にはわずかにロールが発生する。ただ、ロールさえ収まってしまえば、グリップも非常に豊かだし、バランスもとれていて、これ以上ないくらいに楽しい。路面のアンジュレーションにもそこそこしっかり対応してくれるのだが、舗装の悪い路面を走ると少しやかましい。ディスクブレーキは基本的に優秀なのだが、低速では少し効きすぎてしまう。
1.0L 3気筒エンジンは加速時だと少し騒々しい。スズキはフォードと同じようにクランクの重量バランスを意図的にずらすことで水平方向の振動を垂直方向の振動に変換し、この振動を特殊なエンジンマウントによって抑えている。しかし、この効果はアクセルを少し踏み込むと失われてしまう。

フォードのEcoBoostほどではないものの、このエンジンもそこそこ力強く、2,000rpm未満からしっかりとターボチャージャーが効きはじめる。カタログ燃費は23.3km/Lなのだが、実際に計測した平均燃費は18.4km/Lだった。
唯一残念なのは5速MTの出来だ。低速ギアのギア比のギャップが大きいため、扱いにくいし楽しさにも欠ける。6速ATだと燃費性能がわずかに低下するものの(パフォーマンスは変わらない)、扱いやすさはこちらのほうが上だ。
インテリアは従来よりも改善している。デザインも良くなっているし、シンプルなダイヤルは使いやすい。ただ、フィット&フィニッシュは普通なのだが、使われている材質の質感はシュコダ・ファビアやフォード・フィエスタなど同クラスのライバルに並べていないし、インフォテインメントシステムの操作もあまり直感的とはいえない。
前席は快適だしシートのサポート性もそこそこ高いのだが、収納スペースは少なく、グローブボックスは冗談のように狭い。リアシートは大人2人がレッグルーム、ヘッドルームに余裕を持って乗れる広さだし、荷室にはスーツケースが2個は収まる。
Bセグメント車を検討しているのであれば、スイフトは絶対に検討するべきだ。スイフトは控えめながら魅力的な車だ。軽量で活発で運転が楽しめるし、インテリアの居心地も良く、高級感を求めないのであれば、最有力候補とまではいかないかもしれないが、有力候補に挙げるべき車だろう。
Suzuki Swift review