今回は、米国「AUTOWEEK」によるキャラウェイ・コルベット SC757 Z06 エアロワゴンの試乗レポートを日本語で紹介します。


Aerowagen

「シューティングブレークも作ったほうがいい」という声が上がるスーパーカーはたくさんある。シューティングブレークとはすなわちステーションワゴンの親戚だ。厳密に言えば、ステーションワゴンの形状をしていて、サイドドアの枚数が2枚の車のことをシューティングブレークと言うらしい。いずれにしろ、シューティングブレークとは特殊なモデルだ。

ブルネイ国王が特注で作らせたフェラーリ・456も、ビッザリーニが製造したフェラーリ・250GT SWB ブレッドバンもシューティングブレークだし、他にベントレーやアストンマーティンのシューティングブレークもある。しかし、どうしてシューティングブレークが必要とされているのだろうか。中には、最高のパフォーマンスを持ちながら、ある程度の実用性も兼ね備えた車を求める人もいるだろう。あるいは、大金を費やしたジョークとして作られた車もあるだろう。

そもそも、シューティングブレークとは、ショットガンと猟犬をリアに載せ、ウズラやキジを狩りに行ける車として誕生した。シューティングブレークとは実用性を追加したスポーツカーであり、最新のスポーツカー、キャラウェイ・コルベットにもシューティングブレークの「エアロワゴン」が登場した。果たして、エアロワゴンはどのような経緯で誕生したのだろうか。

キャラウェイの創業者であるリーヴズ・キャラウェイ氏は以下のように語っている。

開発を担当したのは、私とポール・デウッチマンとピート(リーヴズ・キャラウェイ氏の息子)とマイク・ゾナー(キャラウェイの常務)の4人でした。そもそも、C7コルベットはほとんど完璧で、かつて我々がやってきたような改良は必要なく、我々に何ができるのか考えあぐねていました。なので、これまで誰もやったことのないようなことを実行してみることにしました。

シューティングブレークを作ろうというアイディアを最初に出したのはポールでした。我々開発チームはポールの完成予想図を気に入り、彼のアイディアを採用することに決めました。もともとのデザインの良さは活かしつつ、ステーションワゴンとしての実用性も追求することにしました。

これは2013年頃の話だ。エアロワゴンの計画が表沙汰になるとインターネット上では議論が巻き起こったりもした。それからいくらか時間が過ぎて、ようやくエアロワゴンが誕生した。ルーフなどにはキャラウェイらしくカーボンファイバーがふんだんに使われている。それに、標準車のZ06と比べると、エアロワゴンには多くのアドバンテージがあるそうだ。

リーヴズ氏は以下のように語っている。

シューティングブレーク化によるデメリットはありません。空力性能は改善していますし、標準のZ06との重量差は500g以内に抑えていますし、当然、室内空間は拡大しています。なにより、基本的な部分は標準車と何ら変わっていません。

標準のコルベットの荷室容量は425Lなのだが、シューティングブレーク化によってそこからどれだけ拡大しているかは明らかにされていない。リーヴズ氏いわく、載せられるゴルフバッグの数が2個から3個に増えているそうだ。ただし、車に乗れるゴルファーが2人である点は変わらない。いくらシューティングブレークと言えども、リアシートを付けられるほどの空間的余裕はない。しかし、運転席から肩越しに後ろを見れば、広くなっていることははっきりと分かる。

rear

スペック表を見ただけでは分からない進化として、空力性能の向上がある。エアロワゴンの空力性能に関して、リーヴズ氏はこんなことを話していた。

設計にあたっては、ダウンフォースの確保よりもドラッグの低減を優先しました。カムテール理論をご存知でしょうか。フロント部分が流線型に近い車の場合、リア部分を垂直に切り落としたような形状にしたとしても、空力特性がほとんど変わらないという理論です。

エアロワゴンキットはコンバーチブル以外のC7コルベット全モデルに装着することができる。コルベットはどのモデルも優秀なのだが、今回は最強のZ06に試乗した。標準モデルのZ06は最高出力659PS、最大トルク89.9kgf·mを発揮する。これだけでも十分高性能なのだが、キャラウェイは単なる高性能では満足しなかった。

試乗したZ06のエアロワゴンにはキャラウェイのSC757キットも付いていた。このキットにはイートンの2,300cc TVSスーパーチャージャーやキャラウェイの3層インタークーラーなどが含まれる。その結果、最高出力767PS (757bhp)、最大トルク107.4kgf·mというとてつもないスペックを叩き出す。

キャラウェイの発表では、0-100km/h加速が2.7秒、0-400m加速が10.5秒(211km/h)だそうだ。標準のZ06と比べると0-100km/h加速はおよそ0.2秒速く、0-400m加速はおよそ0.5秒速い。果たして、そんな車の走りはどのようなものなのだろうか。それをこれから試してみることにしよう。

試乗車を受け取って走りはじめてすぐ、フロントエアダムを擦ってしまった。大きな傷ができたわけではなかったのだが、車高が低いので、運転する際は細心の注意を払う必要がある。

一般道を軽く流しているだけでも、その実力の片鱗を感じ取ることができた。アクセルを踏むたびにその息吹が感じられ、うっかり足に力を入れすぎてしまうとリアタイヤが暴れてしまう。コーナーでアクセルを踏みすぎるとリアタイヤが大きく滑りだす。キャラウェイが響かせる音色は決して単調なものではなく、どこか官能的だ。

見た目も非常にスタイリッシュだ。コルベットに広大な荷室を求める人はそれほど多くないとは思うのだが、エアロワゴンの見た目は普通のコルベットと明らかに違っている。つまり、個性を出すことができる。「シューティングブレーク」でググったときに出てくる昔のシューティングブレークほどに革新的なデザインとまでは言い難いのだが、コルベットのプロポーションとうまく調和している。

ウインドウは小さいながらもちゃんと後方視界を確保できるのだが、私のように胴長な体型だとやや見づらい。そういう場合はやや頭を下げた状態で後ろを見るとしっかり視界を確保することができる。

高速道路の加速車線でSC757の本領が発揮された。試乗車は7速MTモデルよりも速い7速ATモデルで、ロサンゼルスの街中でもATのほうが扱いやすいだろう。では、早速アクセルを踏み込んでみることにしよう。

Luggage

基本的に、後ろを見ない限り、運転中にエアロワゴンと標準車の違いなど分からないのだが、急加速をすると違いが感じられる。特に舗装が悪い場所でスピードを出すと、後ろのほうからガタピシと軋むような音が聞こえてくる。ただし、今回試乗したのは正真正銘の第一号車だ。ピート・キャラウェイ氏いわく、ゴム緩衝材の追加やヒンジ部の強化によって騒音は低減するだろうとのことだ。

一方で、我々が求めている音、すなわちフルスロットル時の排気音も大迫力だ。お気に入りの山道で2日連続で走らせたのだが、マッスルカーとしては見事な走りを見せてくれた。スポーツカーとして考えても実力は高く、パワーウェイトレシオは2.08kg/PSとスーパーカーの領域にある。ただし、さすがに高価なスーパーカーと比較してしまうと、剛性感や快適性が物足りない。

物足りない部分はほかにもある。ステアリングはどのドライブモードにしてもクイックすぎるし不正確だ。少なくとも、スーパーカーのレベルにはない。ただし、マッスルカーの基準で考えると、かなり優秀な部類に入るステアリングだ。それに、オートマチックトランスミッションは滑らかだし変速も早い。エンジン出力に関しては、767PSで物足りないと思う人はいないだろう。

美しいZ06にこのようなルーフを付けるべきかについては議論が巻き起こるところだろう。ひょっとしたら、この記事のコメント欄でも論争が巻き起こるかもしれない。

リーヴズ氏はこう語っている。

賛否両論あるとは思いますが、気に入ってくれている方もたくさんいるようで嬉しく思っています。また、エアロワゴンを否定する方もいるのですが、実車をその目で見ればおそらく意見も変わるでしょう。

なので、ぜひともその目でエアロワゴンを見てほしい。近いうちにキャラウェイの認定ディーラーに並ぶだろうし、コルベットに15,000ドル追加すれば、より個性的なエアロワゴンを実際に手に入れることができる。


Callaway SC757 Z06 AeroWagen first drive: Baby got back