今回は、英国「Auto Express」によるインフィニティ・G35(日本名: スカイライン)の試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2006年当時のものです。


G35

あと1年で、刺激的な新ブランド、インフィニティがイギリスに上陸する。インフィニティは日産の高級車部門で、トヨタの高級車部門、レクサスのようなものだ。インフィニティは充実した装備や先進技術、そして流麗なデザインで知られている。

インフィニティというブランドは米国市場ではすでに確立しており、SUVやセダンがラインアップされている。イギリスに初上陸する予定のモデルのひとつが最近アメリカと日本で発売されたばかりのG35というモデルだ。

流線形のボディと大型のフロントグリルやライト類はうまく調和しており、優秀なデザインに思える。ただ、欧州車と比べると個性に欠けるし、サイドのプロポーションはレクサス・GSにも少し似ている。

インテリアは見事だ。質感も高いし、ダッシュボードは実用的でありながら見た目も良い。バードビュー対応のナビゲーションシステムやアナログ時計も装備されており、スピードメーター、タコメーターは非常に見やすい。

リアシートのスペースもそれなりにあるのだが、背の高い大人が5人乗るとやや窮屈だろう。ドライビングポジションの調節幅は広いし、視界も良好だ。

実際に走りはじめてみると、どこに予算が注ぎ込まれているのかすぐに理解できる。旧型G35のシャシをベースに剛性が40%も向上されており、搭載されるエンジンは日産・350Z(日本名: フェアレディZ)と同型式ながら、設計はほとんど一新されている。

新エンジンには可変バルブタイミング機構が採用され、圧縮比が高くなり、吸気システムも刷新された。その結果、エンジンの最高回転数が高くなり、最高出力も向上している。それだけでなく、エンジン音や燃費性能も改善している。

G35は最高出力314PS、最大トルク36.5kgf·mで、非常に速い。0-100km/h加速は5.2秒で、BMW 330i よりもずっと速く感じられる。トランスミッションは6速MTもしくはパドルシフト付きの5速ATを選択できる。

グリップは強力でコーナリング性能も高く、走行安定性も高いし、ブレーキも優秀だ。ただし、今回試乗したSモデルには標準よりも硬いサスペンションが装着されていたため、乗り心地はあまり良くなかった。

ステアリングがやや曖昧なため、全体的な操作性ではBMWに軍配が上がる。だからといって、G35が楽しくないと言っているわけではない。G35はちゃんと運転を楽しめる車だ。それに、先進技術として、最上級グレードには四輪操舵システム「4WAS」も設定されている。

BMWのアクティブステアリング同様、4WASも走行状況に応じて切れ角を調整する。4WASによりハンドリングやスタビリティが向上するらしい。ただ、4WAS非搭載車と比べると、4WASを搭載するG35の走りはやや不自然に感じられた。

ともかく、3万ポンドほどという価格設定を考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。完成度はBMWほど高いわけではないのだが、330i の価格で 335i 並の性能を手に入れることができる。他とは違うスポーツセダンが欲しいなら、インフィニティのイギリス上陸を待つ価値はあるだろう。


Infiniti G35 S