今回は、英国「Auto Express」によるトヨタ・GT86の試乗レポートを日本語で紹介します。


GT86

低価格な後輪駆動スポーツカーはあまりない。マツダ・MX-5(日本名: ロードスター)というライトウェイトスポーツカーもあるのだが、オープンモデルしか選べない。ちなみに、その姉妹車であるフィアット・124スパイダーにはターボモデルも設定される。

屋根付きのモデルが欲しいなら選択肢はさらに限られる。その最有力候補となるのがトヨタ・GT86だ。そんなGT86が改良されたので、今回はその実力を探ってみることにしよう。果たして、前輪駆動のアウディ・TTに勝る魅力があるのだろうか。

見た目の変化は非常に分かりづらい。グリルが大型化し、バンパーやフォグランプのデザインも変更され、新設計のLEDヘッドランプが採用されている。フロントスプリッターやリアスポイラーの設計も変更されている。ちなみに、落ち着いた雰囲気が好みならリアスポイラー無しの仕様を選択することもできる。外見上の最大の変化はLEDテールランプだろう。これによって夜間でも目立つようになった。

インテリアはわずかに高級感が増している。ドアとダッシュボードにアルカンターラやレザーが追加され、シートのステッチも変更された。オーディオ用のステアリングスイッチも装備され、運転中に操作しやすくなっている。メーター内には4.2インチディスプレイが追加され、各種走行情報が参照できるようになった。

interior

残念ながらエンジンスペックは変わっておらず、2.0L 4気筒ボクサーエンジンの最高出力は200PSのままだ。トランスミッションについても従来通りMTとATが設定される。

当然かもしれないが、走らせた印象は従来モデルとほとんど変わらない。それほどパワフルではないものの、コーナーで出来の良いシャシの実力を有効活用できるだけのパワーはある。積雪路面では十分すぎるほどのパワーなので、熟練ドライバーでも慎重に運転する必要がある。

操作性改善のためにステアリングやショックアブソーバーが改良されているらしいのだが、正直なところ違いはよく分からなかった。新旧モデルを直接乗り比べでもしなければ違いを指摘することはできないだろう。

コーナー途中やラウンドアバウト出口付近でスロットルを開きすぎると、トラクションコントロールがオンの状態でもテールが滑ってしまう。トラックモードにしてトラクションコントロールを完全オフにするとかなりの低速でも完璧なドリフトを決めることができる。ステアリングはシャープで重さも適度だし、乗り味は硬いながらも乗っていて苦痛なほどではない。どんな状況でも運転していて非常に楽しい。

rear

特徴的なボクサーサウンドは吸気系から絶えず室内に伝わってくる。7,000rpmあたりからは音量が次第に高まっていき、ついレッドゾーンまで回したくなる。実際の速度よりも速く感じられるため、ゆっくり走っていても楽しことができる。ただ、アイドリング中や高速走行中のエンジン音はやや耳障りだ。

ランニングコストがそれほど低くないのは残念だ。CO2排出量は180g/kmと少なくないし、複合燃費は12.8km/Lなので、ガソリンスタンドに立ち寄る頻度も多くなるだろう。ちなみに、MX-5のCO2排出量は161g/kmで、価格もGT86より約6,500ポンド安い。


New Toyota GT 86 2017 facelift review